第4話 俺、勉強する。
魔法剣士になると宣言してから約5年の年月が経った。
1日の日課は、主にこうだ。
まずは午前中にブレーブの熱血剣指導。初めての時はかなりキツかったな。
4歳になってからようやく立ち歩けるようになって早々、
「リフレ、これからは父さんが剣を教えてやるからな!」
とか言い出しやがって、立ち歩くのでやっとなのに剣を振らされたんだけど、ほんとに疲れたよ。
だけど、スパルタ教育ってほどでもない。ちゃんと休みはくれるし、相談も乗ってくれる。だからこんなのやめたい。とか、逃げ出したいとか、あまり思ったことがない。
教え方も上手だしな。
それに、ブレーブはかなり凄腕の剣士で、剣王流の準1級剣士だそうだ。
どうやら剣術にも種類があるらしく、階級も存在するらしい。
数ある流派の中でも、剣王流・大剣流・獣王流・龍王流は四大流派と呼ばれている。
剣王流は、国の騎士たちがよく使う流派で、かつての第1次魔人戦争で剣王と呼ばれた剣士が生み出したもので、当時魔族より弱かった人族が、魔族に勝利するきっかけを作ったそうだ。
大剣流は、文字通り大きめの剣を使い強力な戦士を生み出す流派。獣王流は、冒険者向けの、周りの地形を活かし、色々な武器を多彩に扱う戦い方をする流派。龍王流は、主に暗殺系で、短剣の二刀流らしい。ブレーブ曰く、あまり敵対しないほうがいいそうだ。これも、準2級以上は世界でも少数しかいないらしい。ブレーブはそんな中の1人なのかと考えると、なんかすごいな。
まあ、5年間の熱血指導で、剣王流4級剣士の称号を獲得した。どうやらここまでは簡単だが、3級になるのは相当努力する必要があるらしい。まあ、頑張ろう!
午後は、ジェニーに魔術を教えてもらう。こっちは激アツってほどではなく。穏やかって感じだ。ジェニーはいつもいつも、
「自分のペースでいいのよ〜」
とか言って、ブレーブとは真逆だな。けど、教え方はものすごく上手で、的確だ。そのおかげで、この五年間で、土と火は3級、水は4級、風は5級を取得した。ジェニーもすごいすごいって喜んでくれる。このひとは褒めて伸ばそうとしてくれるタイプだな。いやぁ〜、こんな美人さんに褒められるなんて、このわたくし、靴舐めでも馬乗りでも何なりといたしますっ!
冗談はさておき、俺はここ5年間でかなり成長した。したはずだ。なのだが.........
「リフレ、学校に行かないか?」
「嫌です。」
「たったの8年間だ。だから...」
「嫌です。」
ここにきてこの親父、学校という話題を持ちかけやがった。
学校だと?そんなの絶対に嫌だ。町の学校だぞ?どうせ御貴族様の令息様か令嬢様にいじめられるに決まってらぁ。そんなのごめんだぜ。俺は前世で散っ々いじめを受けたんだ。絶対に行かないぞ!
「ねぇ、リフレ。私も、リフレを学校に通わせたほうがいいとおもったの。いつもリフレには、魔術と剣術ばかりだったから、それだけじゃ大人になってから生きていけなくなっちゃうから、だから、ね?どうかしら?」
「そう言われましても...」
「そうか、わかった。そんなに嫌なら行かなくてもいいぞ。」
学校は確かに嫌だけど、俺はこの世界の知識が無さすぎるかもな。
あとそんな言い方をされたらちょっと困るな。よし、
「それなら父さん、母さん、1つ提案なんですが…」
「なんだ?行ってみろ。」
「家庭教師を雇うのはいかがでしょうか?」
「あーなるほどな。それがあったか。俺はもちろんいいぞ。ジェニーはどうだ?」
「そうね、いいんじゃない。それでいいと思うわ。じゃあそうしましょ。」
ということで、俺に家庭教師が雇われることになった。
誰が来るんだろうか。できれば若い女性がいいな。
おっさんとかでも優しかったらいいけどな。まあ勉強するだけだから、そんなの興味ないけどな!
「さてと、誰が来るのかなー。」
そう思いながら、俺はベッドの中で寝静まるのであった。
◾️
「ここがロックベリー家か。」
そう呟いたのは、黒い帽子に黒いローブを羽織っている人だ。顔がよく見えないが、体型的に女性であることは分かった。その女性は、青白く長い髪を靡かせながら、リフレの住む家の扉まで歩いていった。
「リフレ・ロックベリー。お手並み拝見と行こうじゃないか…」
そう言いながら不気味な笑みを浮かべて……….
◾️
1週間後、家庭教師の応じてくれた人が、家にやってきた。
見た目は、メチャクチャな美女で、もうそれは素晴らしかった。だが、それとは裏腹に、彼女の目は、まるで全てを見通せるような目をしていた。その美貌で普通の人間には隠せるかもしれないが、俺にははっきり見えた。
とりあえず、俺の部屋で最初の授業を行うことになったが、この人が何をしているのか聞いてみるか。
「こんにちは、私が今日から家庭教師としてリフレ君に勉強を教える、サラディア・ボワール。よろしくね。」
「よろしくお願いします。ところで、サラディア先生。僕からは、何が見えますか?」
「えー?なんのことなのかなー?」
「ごまかさないでください。先生が今見ているのは僕ではなく、僕の内側に見える何かですよね?」
「………….」
「どうなんですか?嘘は通じないと思ってください。」
黙り込んだってことは間違いない。何かを見たのか。
それなら俺はしっかり追及するぞ。ブレーブやジェニーが、止めるタイミングを伺っていたが、そんなの知ったこっちゃない。
「………君は、もしかしたら天才かもしれないね。」
「ちゃんと言ってください。」
「あー。もうわかったよ。じゃあまず、リフレ君は、『加護』については知ってるかな?」
「かご…?」
「何、知らないの?じゃあ教えてあげるよ。
『加護』というのは、今から約100万年前、創造神アルス様が神から人への贈り物として与えた、全ての人が持つ能力のことさ。その種類は様々で、中でも七星王の加護は伝説級で国から宝として扱われるほどなんだ。
あ、七星王っていうのは、大昔世界で絶えなかった争いを止めた7人の英雄のことさ。まあそれはそうとして、加護は1人に1つくらいで、多い人は5個以上所持しているんだ。まあ、私が見ていたのは、それなんだ。ちなみに私は、鑑定の加護って言って、対象の能力をみとお」
めちゃくちゃ熱心に話してもらったな。加護か…必ず誰しもが持っているなら、俺にもあるってことか。
「先生、1つ質問いいですか?」
「ん?何かな?」
「僕が持っている加護は何ですか?」
「あーそうだね…申し訳ないけど言えない。」
「なんでです?」
「それが、君の両親から頼まれたんだよ。」
「頼まれた?」
「そうなんだ。もし君がろくな加護を持っていなかったとしても、自信を失わせないようにってね。」
なるほど、2人とも考えたな。やっぱいい親だな。
「わかりました。それでは、僕は聞かないことにします。」
「そう言ってもらえると助かるよ。おや?もう昼になるね。それじゃあ、授業を始めるよ。」
「よろしくお願いします。」
こうして、俺の勉強が始まった。




