第3話 俺、魔法を使う
「どういうことだ?」
俺は、もう2歳になった。
赤ちゃんなりのよちよち歩きはできるようになってはいる。
これは普通だな。だが、俺はそれだけじゃない。
「もう喋れるようになったのかよ...」
驚くじゃないか。でもいいか。
最近ようやくこの世界の文字が読めるようになってきたからな。
というわけで、いつも通り俺は書庫に行った。
この家の書庫には本がいっぱいあるからな。
この一年間でいろいろ読んだものだ。
わからない文字は、ジェニーが教えてくれるし、
寝る前には、ブレーブも一緒に読み聞かせをしてくれるし、
大体の本は読んだ。しかし..............
「魔導書っぽいのはないんだよなぁ」
ほんとにどこにもない。
結構な期間探し続けているのにない。
「今日は諦めるかぁ...」
なんて1人で呟きながら、帰ろうと思ったら、
「ん?なにあれ?」
木箱があって、その中に本がびっしり詰まっていた。
「この中なら入ってるんじゃね?!」
喜びながら全力で探したら、
「あった!」
あったぞ!すげー!
表紙にもちゃんと『魔導書』って書いてあるぞ。
なんだよ。こんなとこにあったのに、
なんで見逃したんだろうな。
まあいっか。いやしかし、やっと見つけたぞ。
「よし、俺も魔法に挑戦だ!」
なんて言いながら、俺は魔導書を読み始めた。
◾️
「へぇー、なるほどねー」
何もわかってない人が言うセリフを言ったけど、
わかってないわけじゃないぞ。
ちゃんと勉強してる証拠だよ。
どうやら魔法を使うには、魔力が重要らしい。
この世界には魔力というものが存在していて、
人の体にも宿っているそうだ。使い方は2つある。
まず1つは、魔力を闘気として体に纏うことで、
肉体を大幅に強化することができる、魔力闘気としての使用。
これは、上級の戦士くらいにならないと難しいらしい。
もう1つは、魔術として、魔力の形を変換し、放出する。
これは、詠唱さえあれば、誰にでもできるそうだ。
あと、この世界では魔法のことを、魔術と呼ぶそうだ。
まあどっちでもいいがな。
ふむ、どれどれ。あー、これはどの世界でもいっしょだな。
魔術は主に、四大魔術である、火・水・土・風があるそうで、
全ての魔術において階級が存在するのか。
下から、5級・4級・3級・凖2級・2級・凖1級・1級の
7段階あるらしい。検定かよ。
下位の簡単な魔法を使うのが、5〜3級でこれが一般の魔術師レベルらしい。
中位の少々難しい魔法を使うのが、凖2・2級で、これはかなりの腕前を持つ魔術師のレベルらしい。
そして上位の凖1・1級。これは、地形を変化させるレベルの異常な力で、
大陸の形も変えられるらしい。それほど異常な力なのだが、
このレベルに到達しているのは1属性に2、3人しかいないそうだ。
そして、魔術の発動方法。これだ。ようやく見れる。
ふむふむ、魔術の発動には、魔法陣、詠唱があり、最近では無詠唱での発動も可能だそうだ。
でも無詠唱は、子供のうちから魔術の練習をしないと習得できないらしい。
「って、もうこんな時間かよ」
外を見ると、もう日が暮れそうになっていた。
今日は無理そうだ。明日することにしようかな。
「でも、水なら安全だし大丈夫だろ」
って思ったけど、
「いや、土だな」
よし、土にしよう。
やり方は簡単。頭の中で、魔力が土となり形ができていくのをイメージする。
手にじわじわと感覚が来たら、放つ!
『ロックキャノン!』
そういうと、手から砲弾型の岩が放たれて、壁に大穴が空いた。
音デカすぎてバレるかと思ったけど、ちょうど2人とも外に出ていたからバレなかった。
それより、これって確か4級の魔術だよな。
「俺、成功しちゃった?」
俺はとりあえず、土属性4級魔術師の称号を獲得した。
ーー翌日ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺を起こしに来たジェニーが壁の穴を見て問い詰めてきた。
「リフレ、何があってこうなったの?」
「ええとですね.........」
まずいな、こういう時の言い訳を考えるのを忘れてしまった。
どう言い逃れるのが最適か?前世にもなかった大ピンチだな。なんせ、
家の壁ぶち壊したからな。どうするべきか。よし、正直に行こう。
それが大切な気がする。ひとまず真実と謝罪だな。
「どうなの?」
「ごめんなさい。魔術を使ったらつい壁が壊れてしまいました...」
いやどういう言い訳の仕方だよ!
許してもらえるわけないだろ、何考えてんだ。あーやらかした。
どうなるんだ?魔術使用禁止令か?そんなの無理だって。俺の娯楽が.........
「ねえ、どの魔術を使ったの?」
ああ、自白しよう。逃れられない。
「えっと、土魔術4級のロックキャノンです。」
なんで言われるんだ?表情がよく見えない。怖っ!これが母親だな。
まあいい、だめならブレーブに頭下げて剣を習えばいいしな。
「え!それって本当?ウソ!すごーい!やっぱりさすがあの人と私の子ねー!」
え?どういうこと、てっきり怒られると思ったんだけど...
「やっぱり才能があるわ!2歳でいきなり4級魔術を使えるなんて!
まだ2歳なのに喋れるようになった時に、この子はすごい子になるっておもったけど、やっぱりその通りだったわ!ちょっとあなたー!」
その声でブレーブが部屋に走ってきた。
「どうした!っておわっ!」
「すごいでしょ?まだ2歳なのよ!この子立派な魔術師になれるわ〜!」
「いや、でもなー」
「なに?どうかしたの?」
「その、こいつは魔術師として育てるのか?」
「そうに決まってるじゃない!こんなに才能ある魔術師なんて、ほかにいないわよ。
あ、もしかして剣士にしたいとでもいうの?」
「いや、そうじゃなくて、俺はリフレの言うことを尊重したいと思ってるんだよ。だから、リフレに聞いてから決めたほうがいいんじゃないかな?」
お父上、あなたの言うことがごもっともです。
ほんとにさっきから俺を無視して決めてさー、これは俺に決めさせてくれよって思ってたんだけど、ブレーブ、ナイスアシスト☆
敬意を込めてウィンクしたら、首を傾げられた。
「で、リフレはどっちになりたいの?魔術師?それとも剣士?」
魔術師って答えて欲しそうなジェニーと、剣を教えられそうにないとか思って残念そうな顔をするブレーブがこちらを向いて答えを待っている。どっちって言われても、俺は悩んだらこうすると決めている。よし、
「父さん、母さん、魔法剣士っていうのは、ダメかな?」
そう、可能なら両方を取り上げる。これが俺が悩んだ時のスタイルだ。
「あー!それがあったか!」
「確かにそうね!名案ね!でもそんなことできるの?大変よ?魔法剣士なんて。」
ジェニーの言っていることは納得いく。魔法剣士は、魔法を訓練しながら、剣の修行も同時にするので、体力的にもキツくなるし、1つに集中することができないから、そこまで強くなれないと言う難点がある。
だがそれを乗り越えれば、確実に最強になれるのだそうだ。
「大丈夫、やってみたいからやる」
大人っぽく言ったら、変に思われるので、単純に言った。
さて、これからは魔法剣士を目指そう。
そう思い、よちよち歩きで、ろうかをあるくのだった。
まずは、立って歩けるようになることからだな。




