加速するゲーム
新敵・加賀美蒼登場
爆裂ブラインドショット+ナイフ+殺意100%
しかも夜の遺跡=影最強フィールド
もう完全に死合だ
――仕事帰りの夜道。
左腕の奥に残る熱だけが、昨日の現実を証明していた。
スマホ画面、シロのアイコンが静かに点滅。
「……どうしたの? 零」
俺は歩きながら、システム画面を呼び出す。
【プレイヤー:霧島零】
現在の順位:83位(+369)
総合戦闘力:B+ → A-(急上昇)
【スキル】
・影武装(最終段階)
・斬撃波(影刃対応)
・血の刻印(覚醒済)
【血の刻印 詳細】
倒した敵の総数に応じて基礎能力が上昇
(現在値:プレイヤー1体+使徒級複数体 → 能力約2.8倍)
※さらに敵を倒すたびに永続強化
「……2.8倍って、頭おかしいだろ」
シロが静かに言う。
「今までは雑魚敵ばかりだったから、
血の刻印が覚醒するほどの“質”が足りてなかったのね」
「でも昨日の相手は……間違いなく上位クラスのプレイヤーだった」
「元々機転が利くタイプだとは思ってたけど、
こんなポテンシャルがあるなんて、私も予想外だわ」
「……俺も驚いてるよ」
シロが、少しだけ優しい声で続ける。
「あなたは、殺すたびに強くなる体質……
まさにこのゲームに最適化された存在になりつつある」
俺は苦笑い。
「最悪の才能だな」
「……次のクエストは?」
画面が自動で開く。
【メインクエスト更新】
目的:中央ターミナルへの鍵の入手
ステージ:遺跡(夜)
鈴の音が、頭の中で鳴り始めた。
チリン。
チリン。
「……本物は、どんな奴なんだろうな」
シロが、少しだけ震えた声で答える。
「……会えば、わかるわ」
帰宅。
いつものルーティンを済ませ、電気を消す。
◇
――夜の遺跡フィールド。
月は雲に隠れ、石柱と崩れた神殿が深い闇に沈んでいる。
シロ「静かすぎる……」
足音を殺して進む。
突然、シロが鋭く叫んだ。
「上から来る! 避けて!」
俺は横に跳ぶ。
ズドン!!
着地地点に黒い矢が突き刺さり、石畳が粉々に砕ける。
「よくわかったな。助かった」
シロ「蛇だから、ってことにしておくわ」
次に三本の矢が降り注ぐ。
影で体を滑らせ、全て躱す。
背後、気配。
振り返ると同時に影盾を展開。
ガキン!!
ナイフと盾が激突。
月明かりが一瞬だけ雲の隙間から差し込み、
男の顔を照らす。
「……惜しかったね。首一本分だった」
声は軽い。
でも瞳は完全に殺意で濁っている。
「僕は加賀美蒼。よろしく、霧島零くん」
「俺の情報、どこで――」
「昨日23位の有馬を殺したのも君だろ?」
「……名乗られてないから分からないな」
「まぁいいや」
加賀美が弓を構える。
次の瞬間、二本の矢が同時に放たれる。
俺は影盾を正面に。
バコォォォン!!
矢が盾に触れた瞬間、爆発。
衝撃で体が後ろに吹き飛び、
背中から石柱に激突。
息が詰まる。
まだ終わらない。
着地と同時に、
次の矢が俺の足元を正確に狙って着弾。
バコォォォン!!
地面が爆発し、
俺は宙に舞う。
「全部爆裂矢かよ!」
シロ「連続で来る! 避けられない!」
俺は舌打ちし、加賀美に向かって全力疾走。
距離を詰めるしかない。
加賀美は後退しながら、
三本の矢を同時に放つ。
「三本が限界か」
影刃を伸ばし、
正面の矢を真っ二つに斬る。
だが、斬った矢の陰から――
もう一本。
「ブラインドショット!?」
顔面直撃。
バコォォォォォン!!
視界が真っ白。
耳鳴りが止まらない。
加賀美の声が遠くで響く。
「……終わりだね」
だが。
ズブッ!
煙の奥から、
漆黒の影の槍が加賀美の左肩を貫いた。
血が噴き出す。
加賀美「――っ!?」
俺は煙を払い、
影で作った仮面を顔に装着して現れる。
顔面に受けた矢は、
仮面の表面を僅かに焦がしただけだった。
「……奇襲かけてきた奴のセリフとは思えねえな」
加賀美が肩を押さえ、
初めて顔を歪める。
「……やるじゃん」
月が完全に顔を出し、
遺跡全体が青白く染まる。
加賀美が弓を握り直す。
「……まだ、終わらせないよ」
俺は仮面の下で、静かに笑った。
「俺もだ」
シロが低く、震える声で。
「……零。
あいつ、本気になった」
「……ちょうどいい」
殺意と殺意が、
遺跡の闇の中で真正面からぶつかり合う。




