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覚悟[1/2]

探索任務のはずが、いきなり無言の狂戦士登場

→ ビル丸ごと崩壊

→ ついに真実が口から出た。


「プレイヤー同士の殺し合いが本当のルール」


もう逃げ場ない。

零、初めて人間を殺す覚悟を決めた……

――ピピピピ。

06:30。布団で目覚める。

スマホ画面、シロのアイコンが静かに点滅。

「……零、今日のクエストが来てるわ」

地図アプリを開く。

【緊急任務】

タイプ:探索

ステージ:高層ビル群・屋上エリア

目的:指定のお宝を入手

報酬:不明

失敗罰:不明

制限時間:なし

俺は眉をひそめる。

「……探索任務? 初めてだ」

シロが即座に答える。

「私も聞いたことないわ。

 こんな任務、存在しないはず」

「……難易度もめちゃくちゃだな」

シロが冷静に続ける。

「あなた最近、おかしなことに巻き込まれすぎてる。

 廃病院の資料、鵺の異常マッチング……

 そして今度は“お宝探し”」

俺はスマホを握りしめる。

「……行くしかない」

電気消して、布団に沈む。

――高層ビル群・屋上エリア。

風が強い。

眼下に広がる夜景は無限に続き、

周囲は同じような高層ビルの屋上が、

無数に連なっている。

【システムアナウンス】

『指定のお宝を入手せよ。

 形状・内容は非公開。

 ヒントは一切なし』

シロが呆れたように呟く。

「……無茶苦茶ね。

 お宝の形も教えずに探せって」

俺は屋上を歩き始める。

コンクリートの床、錆びた給水タンク、

折れたアンテナ、風で転がる空き缶。

ギギギ……ギギギ……

背後の屋上扉が、ゆっくり開いた。

出てきたのは、

若い男だった。

20代前半。

ボロボロのジャケット。

右手に、日本刀のような武器を握っている。

顔は俯いたまま、表情が見えない。

俺は両手を上げる。

「なぁ! 参加者か?

 もしそうなら武器を下ろしてくれ!

 俺は敵じゃない!」

男は無言。

シロが肩から首を伸ばし、

低く言う。

「ねぇ、彼変よ。

 ずっと俯いたままだわ」

「おーい! 聞こえるか!

 意思の疎通ができたら手を挙げてくれ!」

男が、ゆっくりと右手を挙げる。

次の瞬間、

勢いよく振り下ろした。

キィィィン!!

空気を裂く甲高い音。

目に見えるほどの斬撃が一直線に飛んでくる。

「なっ!?」

俺は咄嗟に影を変化させ、

巨大な盾を展開。

衝撃で腕が痺れる。

「あぶねぇ……!」

シロが叫ぶ。

「感心してる場合じゃないわ!

 あいつ突っ込んでくる!」

男は無言で、

一直線に俺たちに向かって疾走してくる。

「なんなんだよ、あいつは!」

「いったん退却よ!」

俺は背を向けて全力疾走。

屋上の端まで10メートル、5メートル――

止まれば即斬られる。

「ねぇ、まさか飛ぶつもり!?」

「……」

「プランはあるの――キャアアアアアアアアアアアア!!!!」

俺は向かいのビルへ全力で跳んだ。

落下しながら、

対岸のビルの壁面に映る俺自身の影を、

ネット状に変形・固定。

ズンッ!

影のネットが壁に張り付き、

衝撃を吸収しながら俺たちは壁面にしがみついた。

「一か八か……決まったぁ……!」

シロが半泣きで叫ぶ。

「やるなら先に言いなさいよ!!」

「ごめん」

振り返ると、

元の屋上の端に男が立っている。

俯いたまま、

無言で俺たちを見下ろしている。

俺は窓ガラスを影刃で割り、

ビル内部へ飛び込んだ。

暗い非常階段。

埃と錆の匂い。

シロが低く言う。

「……来てる」

瞬間、

ガシャアアアアアアアアン!!!

上のフロアから、

大量のガラスとコンクリートが割れる轟音。

「あいつ、そのまま突入してきたのか!?」

「下に降りるわよ!」

俺たちは非常階段へ全力疾走。

ズウゥゥン……

ズウゥゥン……

床全体が震動する。

「なんだこの揺れは!?」

「音が近くなってくる……!」

ドオオオオオオン!!!

天井が爆発的に崩落。

土埃と瓦礫の雨の中から、

俯いたままの男が姿を現す。

刀を振りかぶったまま、

床を踏み抜きながら降りてくる。

「あいつ、床を破壊しながら降りてきてるのか!?」

「早く! 階段を駆け下りて!」

俺は手すりを掴み、

2段3段どころか、

手すりを蹴って前転しながら落ちるように降りる。

シロが半泣きで叫ぶ。

「でも地上に降りたらどうするのよ!」

「分からない! とりあえず距離を取る!」

「今回も任務内容がまるで違う!

 どういうことなのこれ!」

俺は手すりと手すりの間をくぐり抜け、

螺旋階段をまるで落下するように一気に最下階まで。

ドウゥン!!

着地の衝撃で膝が痺れる。

次の瞬間、

ドゴオオオオオオオオオン!!!

上から大量の瓦礫が雪崩のように降り注ぎ、

ビル全体が傾き始める。

「まずいまずいまずい!」

俺は正面玄関のガラスドアを影刃で一閃。

ドアごと吹き飛ばし、

道路へ転がり出る。

背後で、

高層ビルが地響きを立てて崩落していく。

轟音と土煙が街を覆う。

俺は這うようにして立ち上がり、

崩壊するビルの影から離脱。

シロが震える声で言う。

「……あいつ、まだ生きてるかもしれない」

土煙の中、

瓦礫の山がゴゴゴと鳴る。

ゆっくりと、

あの男が立ち上がった。

全身は埃まみれ、

俯いていた顔を、

初めて上げる。


「……なぜ、戦わない」


静かな、感情のない声。

「この世界にいる以上、

 戦わなければならない」

俺は一歩踏み出し、叫ぶ。

「参加者同士で戦う必要が分からない!

 普段の化け物から、全員で生き残るべきだ!」

男が首を傾げる。

「? 何を言ってやがる」

「あんなもんはただのモブだ。

 ランキングを上げるための道具に過ぎない」

俺は息を呑む。

「……じゃあ、この夢喰いの真の目的はなんだ?」

男は、

まるで当たり前の事実を言うように、

静かに告げた。

「そんなもん、

 プレイヤー同士の殺し合いに決まってんだろ」

次の瞬間、

男が地面を蹴った。

刀が、

真っ直ぐ俺の首を狙って振り下ろされる。

俺は影刃で受け止める。

ガキィィン!!

衝撃で腕が痺れる。

シロが低く叫ぶ。

「零! あいつ、本気よ!」

男は無言で連撃を続ける。

一撃ごとに、

瓦礫が粉々に砕ける。

俺は後退しながら叫ぶ。

「なんでだよ!

 俺たちは同じ被害者だろうが!」

男の目が、

初めて感情を帯びる。

――嘲笑。

「被害者?

 違うな」

「俺たちは“選ばれた”んだ。

 最強の座を賭けて、

 最後の一人になるまで殺し合う」

「それが、このゲームのルールだ」

シロが震える声で呟く。

「……零。

 あいつ、完全に洗脳されてる」

男が刀を構え直す。

「どうやら今回はお前を殺せば、俺は次のステージに上がれるらしい」

俺は影刃を握りしめ、

「クッ・・・やるしかないか」

男が、

初めて笑った。

「さぁ、

 やりあおうか!」

風が止む。

瓦礫の上で、

俺と男は向き合う。

シロが、

掠れた声で言う。

「……零。

 こいつを殺さないと、

 私たちはここから出られない」

俺は、

静かに呟いた。

「……分かってる」

――第5話・前編 完――

「最後の一人になるまで殺し合う」

これが夢喰いの真実だった……


相手は完全に洗脳済み。

「観察者は俺に言った。お前を殺せば次に上がれるって」


零、もう後戻りできない。

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