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運命か偶然か

シロとの会話で最大級の違和感が爆発しました……

「敵は常に同等実力」のはずなのに、

なぜ零とシロ(隠しダンジョンボス)がマッチングしたのか?


答えはただ一つ――

「誰かに強制的にぶつけられた」


観察者の影が、ついに濃厚に……

――古い村落・鵺討伐直後。

俺は地面に膝をつき、

血まみれで息をしている。

鵺の体は完全に霧散した。

ただ、蛇の尾だけが、

小さく震えながら残っている。

「……わたし……生きてる……の?」

女の声。

掠れているが、確かに人間の声。

俺は這って近づき、

掠れた声で返す。

「……どういうことだ?」

蛇がゆっくりと首をもたげる。

「……ごめんなさい。

 自己紹介したいんだけど……名前が思い出せなくて……」

小さくため息を吐くような音。

「私は、もともと夢喰いのプレイヤーだったの。

 かなり頑張ってたはずなのに、

 使徒に倒されてから、もう10年くらいずっと使徒として動いてた。」

10年。

「でも、私の意思とは別に、もう一人の人格が私の中に入ってきて。

 使徒としての仕事は全部、あの人格が操ってた。」

蛇は言葉を続ける。

「最初は必死で止めようとした。

 でも、心が鎖みたいなもので繋がれてて、体を取り戻せなかった。」

「それで気づいた。

 私の体が使徒になったんじゃない。

 使徒の体に、私の魂が入ったんだって。」

システムの仕組み。

「使徒の体に適応する人格が入れられる」

そういう設計らしい。

「やがて、私は抵抗するのをやめた。

 眠るように意識を閉ざして……」

蛇が俺を見上げる。

「でも、今日、あなたと戦って。

 精神の奥底に眠っていた私の魂が、急に呼び起されたみたい。」

「……それで?」

「私が理解できるのは、ここまで。

 ごめんなさい……役に立てなくて」

俺は静かに呟いた。

「……いや、十分だ」

蛇が小さく首を傾げる。

「名前、思い出せないなら、

 俺が付けてやる。

 ……シロでいいか?」

蛇が一瞬固まり、

そして小さく頷いた。

「……悪くないわ。ありがとう」

俺は立ち上がる。

「まだ強制覚醒が来ない。

 フィールドが残ってるってことは、何かある」

シロが冷静に周囲を見回す。

「神社付近に、新しい戦闘跡があるわ」

移動する。

神社の裏手――

瓦礫が新しく崩れ、

血痕と折れた長刀、防具の破片。

「これは俺たちの戦闘じゃない」

シロが冷静に分析。

「参加者が死んでも、夢が覚めても、持ち物は消えるはず。

 でもこれはまだ残ってる」

「……つまり、このフィールドにまだ誰かがいる?」

「高い確率でね」


俺たちは再度村を探索。


────────────────────

─────────────

─────────


シロが肩の上で静かに言う。

「そういえば死にかけたけど、よく私を倒せたわね。

 これでも使徒の中では強いほうだと思っていたのだけれど」

俺は瓦礫を踏みながら答える。

「運がよかっただけだよ。

  あの時はシロが内側で戦っててくれたし、まともに戦って勝てる見込みもなかった。」

「ええ・・・ 私も倒してしまうのではないかと思ったわ」

「普段の敵とは比べ物にならなかった。

 システムのランクなんて当てにならないな」

シロが即座に否定する。

「……いいえ?

 夢喰いの敵は常に同等の実力が用意されるわ。

 ランダムに敵が用意されてたら、このゲームが成り立たない」

俺は足を止める。

「……ん?どういうことだ」

「ランダムに実力にそぐわない敵を用意し続けたら、パワーバランスが崩れてしまうもの。」

「てっきりあなたが新たな“挑戦者”かと思ったわ」

「挑戦者? シロはどういう立場だったんだ?」

シロが淡々と告げる。

「私は隠しダンジョンのボスを務めていたわ。

 かなりの実力者から、たまたま迷い込んだ初心者まで、

 何年も相手にしてきた」

耳を疑った。

俺に当初システムから告げられた内容とは大きく異なるものだ。

「でも俺は普段と何も変わらないクエスト案内だったぞ」

シロが初めて声に僅かな動揺を滲ませる。

「ええ、そうなのよ。

 私もいつもと違う場所に突然呼び出されて……

 まるで誰かに“強制マッチング”されたみたいに」

俺たちは顔を見合わせる。

「……システムの外から干渉されてるってことか?」

「可能性は高いわね。

 観察者……って、あなたも聞いたことがある?」

俺は一瞬、廃病院のモニターを思い出す。

「……ああ」

シロが静かに続ける。

「なら、私たちがここで出会ったのも偶然じゃない。

 誰かが私たちをぶつけた」

沈黙が落ちる。

俺は歩き出す。

「……なら、答えは中央ターミナルにあるんだろうな」

細道を抜けると、

山の入り口の鳥居が現れた。

薄闇の中に、

長い髪の人影が立っている。

背中を向けて、

地面に何かを書いている。

俺は声を上げる。

「おい――!」

瞬間、白い靄が世界を覆う。

シロが冷静に告げる。

「強制覚醒よ。

 また逃げられた」

人影がゆっくり振り返る。

顔が見えた瞬間――

視界が真っ白。

――ピピピピ。

06:30。布団で目覚める。

スマホ画面に蛇のアイコン。

シロの声が響く。

「……零。

 次こそ、あの人に会うわよ」

俺はスマホを握りしめ、

小さく頷いた。

――第4話・前編 終わり――

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