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1話
白川理沙は、毎朝6時に目を覚ます。
携帯のアラームを止め、ゆっくりとベッドから起き上がると、窓を開けて潮風を吸い込んだ。
「今日もいい天気だな…」
と心の中で呟きながら、遠くに見える水平線を眺める。
海の静かな波音が心地よく、彼女の一日が始まる。
理沙が住む家は、祖母から引き継いだ翡翠カフェの2階にある。
古びた階段を降り、カフェのドアを開けると、まだひんやりとした朝の空気が店内に流れ込んだ。
理沙は軽く肩を回して、「よし、今日も頑張ろう」と気合を入れる。
掃除を終えた床は朝日に照らされ、ぴかぴかに輝いている。
テーブルを拭き、椅子を整えながら、彼女はいつもと変わらない朝の風景に少し安心感を覚える。