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それぞれ

その後ライン交換をし、天野さんに餌と草だけを見てもらい、それを購入する。


値段は千円ちょっとで、確かに安かった。


「たしかに……これなら払えそうだ」


「そうですよね。あとは、私がすぐにケージを送ります……その、住所とか……」


「ああ、そうだね。それじゃ、送っておくよ」


「……よしっ」


「うん? ガッツポーズしてどうしたの?」


「い、いえ! なんでもないです!」


うーん、最近の女の子はわからん。

それにしても……なんか、どっかで会った気がするんだけど。


「本当にありがとね。お礼にお昼でも食べさせてあげたいけど、今は荷物があるし……」


「お、お昼……魅力的……す、すみません、これから仕事があって」


「あっ、そうなんだ。バイトしてて偉いなぁ」


「少し嫌なこともありますけど、楽しんでやってますから平気です」


「いや、本当に偉いよ。それじゃ、バイト頑張ってね」


「はいっ! あとで連絡します!」


きちんとお辞儀をして、駆け足で去っていく。

きっと忙しいのに、俺に付き合ってくれたのだろう。


「サクラ、良い子だったな?」


「プー!」


「うんうん、また会えると良いな」


しかし、うちの子に癒されたか……。


これは、お金云々ではなくて、そういうことを考えていいかも。


あとは、俺も何かしらのバイトをしないとかなぁ。


そんなことを思いながら、俺は家への道を歩いていくのだった。







……ど、どうしよう? ずっと、ドキドキが止まらない。


「久しぶりに、カズマさんに会えた……!」


走りながらも、嬉しさで身体が熱くなってくる。

この五年間、ずっと探してたから。


「でも、覚えてくれてなかったなぁ……仕方ないけど」


あの時は小学生で、身長も小さくて幼かったし。

あと、今回は変装もしちゃったし。

それでも気づいて欲しかった乙女心です。


「でも……もしも、カズマさんに迷惑がかかったらやだし」


一応、それなりに有名なのでファンの方がいます。

それを裏切るとかはないけど、カズマさんにヘイトが向かうのは嫌かなぁ。

それに最近では、どこで人に見られてるかわからないし。

写真でも取られたら、面倒なことになっちゃう。


「それにしても、相変わらず優しそうだったなぁ」


身長も百七十ちょっとで、体型もすらっとしてた。

決してイケメンってわけじゃないけど、笑うと目がなくなる感じが昔から好きだった。

私が魔物に襲われた時も、あの笑顔で『大丈夫?』って言ってくれた。


「私、にやけてなかったかな? 変な子だと思われてたらどうしよう?」


うさぎさんをダシにして、連絡先を交換しちゃったけど……大丈夫かな?

こいつ、やけにグイグイくるなとか思われてないかな?

……うぅ〜不安だよぉ〜。


「でも、これで次に会う約束もできるし……あっ」


その時、私のスマホが鳴る。

通知には、チームリーダーの名前がある。

きっと、私がこないからかけてきたのだろう。


「はい、もしもし」

『ハルカー! 今どこー?』

「す、すいません! 今、ダンジョンに向かってます!」

『ううん、無事なら良いのよ。貴女が遅刻するなんて珍しいから。それじゃあ、気をつけて来なさい』

「はいっ! 心配かけてごめんなさい!」

『良いのよー、むしろ休んでも良いわよ? 最近の貴女、少し疲れてるし』

「いえ! 行きますっ! やる気に満ちてるんで!」

『そ、そう? それじゃ、待ってるわ』


そこで電話が切れる。

そして私は、タイミングよくきたタクシーに乗り込む。


「そうだ、思い出した」


私は探索者であるカズマさんに憧れて、それで探索者を目指すことにした。

私も人助けをしたり、人に勇気を与えられる存在になりたいって。

それが人気者だとかアイドルと言われ……少し嫌になってた自分がいた。

でも、それでも勇気を貰ってくれる人がいるなら……それでも良いかな。





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