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長い一日を終える

 その後、談笑をして二十三時過ぎに店を出る。


 天野さんは若い女の子だし、早めに帰さないといけない。


 俺もサクラが待ってるから帰らないと。


「ごめんね、俺が送ってあげたいところだけど……」


「へ、平気ですっ」


「はっ、あたしがついてるんだから平気さ」


「いや、水無月さんも女性ですし……」


 ダンジョン内や魔物相手以外では、この二人もただの女の子だ。

 それがあるから、政府も国民も探索者の人権を認めてるところはある。

 もちろん、そこらの女の子とは比較にならないくらい強いけど。


「……アタシを女の子扱いするとはねぇ」


「だから言ったじゃないですか。カズマさんは、優しいんですって」


「どうやら、そのようだね。まあ、平気だからアンタは早く帰んな」


「そうですよっ、サクラちゃんが待ってますから」


「……そうですね。では、二人共気をつけてお帰りください」


 そこで二人と別れ、俺は家路を急ぐ。

 家に到着する頃には、二十三時半近くになっていた。


「ただいまー……って、サクラ?」


「プー!」


 玄関にて、サクラがお座りして待っていた。

 そして、俺の足にしがみついてくる。

 その表情は不機嫌に見え『遅いじゃないのよっ!』と言っていた。

 ……どうやら、寂しがらせてしまったらしい。


「ごめんごめん、遅くなったな」


「フンスッ」


「抱っこかな? ちょっとまってな、ちゃんと手洗いうがいしてからだ」


 洗面所に行くと、トコトコとついてくる。

 それがなんだか、とても可愛い。

 寂しがらせたのは可哀想だけど、必要とされてるって実感する。


「これで、よしと……ほら、ソファー行こう」


「フスッ!」


 リビングのソファーに座ると、勢いよく膝に乗ってくる。

 そして、頭を撫でるとすぐに『グー』と鳴き出す。


「よしよし、ごめんな」


「プスー……」


 さっきまでの不機嫌は何処へやら、すっかりご機嫌な様子である。

 なんともチョロいが、それが可愛い。

 撫でながら、今日の出来事を話す。


「実はな、昨日きた女の子が探索者のハルカちゃんだったんだ。いやー、本当に驚いたよ」


「フスフス……」


「また会いにきてくれるってさ。お前はすごいなぁ〜? あの子はアイドルで有名な女の子で、全国にファンがたくさんいるのに。その子が、お前のファンだってさ」


「フスッ……」


 一瞬だけ顔を上げて『何を言ってるのかしら?』という表情をした。

 何故か、馬鹿にされたような気がするのは……気のせいだろうか?


「とりあえず、明日は休みだからのんびりと過ごそうか」


「フンスッ!」


「わかったわかった、明日は遊ぼうな」


 撫でながらも目の前のパソコンを起動して、今日のコメントを見てみる。

いつのまにか登録者数が二万を超え、十万回再生もされていた。


『ァァァァ! きゃわいぃぃ!』

『モッフル! モッフル!』

『いやァァァァ!! ふわふわもちもち!』


 ……なんか、やばそうなコメントも増えてきたな。

 いや、悪い意味ではないからいいけど。

 さらにスクロールしていくと……また、不思議なコメントを見つける。


『あれだけ引きこもっていた息子が、一緒に動画を見てたら学校に行ってくれましたっ!』

『動画を見てたら、腰の痛みが取れてましたっ!』

『彼女と喧嘩をしてたのに、この動画で仲直りしましたっ!』


 ……こういうのは、よくわからない。

 別に、この動画のおかげって訳じゃないし。

 多分、たまたまタイミングがあっただけだろう。


「……ただ、あまりに多いと不思議だなぁ」


 すると、『ピロン』とラインの通知音が鳴る。

 そこには、無事に帰宅しましたという天野さんからの連絡が入っていた。


「おっ、よかったよかった……ん? 続きが書いてあるな」


「フスッ?」


「なになに……本当に、また遊びに行ってもいいですか……なるほど」


「フスッ!」


 その顔は『許可するわ!』と言っていた。

 本当に、少しずつ何が言いたいのかわかってきた気がする。

 サクラは……本当に、ただのうさぎさんなのだろうか?


「どうなんだ?」


「プー?」


「……わかるわけないか。さて、今日は疲れたから寝るか」


「フンスッ」


 すると、サクラが俺を見上げる。


「……もしかして、一緒に寝たいのか?」


「プー!」


「……まあ、いいか。んじゃ、ちょっと待ってろ」


「フスッ!」


 俺はパジャマにだけ着替えて、布団の中に入る。

 すると、サクラが俺の脇に収まって饅頭になった。

 あっという間に寝る準備完了である。


「グー」


「あらら、ご機嫌ですね。サクラ、おやすみ」


「プスー」


 暖かい体温に触れていると、俺もすぐに眠気がやってくる。


 そして、瞼が重くなり……夢の中へ。














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