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ヒロイン視点

 私の頬を刃が掠める。


 でも、今の私には怖いものなんてない。


 だって、大好きだったあの人に会えたからっ!


「ヤァ!」


「ギシャー!?」


 相手の鎌の付け根を薙刀で斬り払う!

 そして、上段からの振り下ろしで相手を両断!


「ギ、ギ……」


「ふぅ、倒せたかな」


 すると、後ろから肩をぐいっと引き寄せられる。

 振り返ると、リーダーが怒りの形相で睨んでいました。

 ……あちゃー、やっちゃった。


「ちょっと!? ハルカ! 顔から血が出てるじゃない! ヒーラー! 早く来てちょうだい!」


「あっ、カレンさん。まあまあ、落ち着いてくださいよー」


「あっ、じゃないよ! 一人で前に出すぎだっ!」


「ご、ごめんなさい」


 カマケイオスと言われる、カマキリが巨大化したようなこの敵は強く、本来なら私の役目は足留めだった。

 だけど、それを無視して倒してしまいました。


「まったく、相変わらず戦いのことになると勇敢なんだから。普段は、大人しい女の子だっていうのに」


「えへへ、すみません……別に猫をかぶってるわけじゃないんですけど」


「んなことは、わかってるよ。それにしても、そんなに《《アイツ》》会えたことが嬉しかったのかい?」


「 そ、それは……はぃ」


 さっきまで、カズマさんといたから嬉しくて。

 お家まで行って頑張った料理まで食べてもらって……きゃー!

 彼女もいないって! ど、どうしよう!?


「ちょっと、帰っておいで? ひとまず片付いたとはいえ、まだダンジョンの中だから」


「す、すいません……でもでも! 全然女の子として意識してくれないんですっ! それに、気づいてもくれないし……」


「はいはい、まずは落ち着きなって」


 地面に座り、タイミングよく来たヒーラーの方に傷を癒してもらう。

 昔の人には考えられないみたいだけど、今の世界には魔法がある。

 魔物を倒した時にレベルを授かり、そこで適性もわかったり。

 武器なら、短剣、剣、槍、斧、弓、拳、盾、投げ。

 魔法なら、火、水、風、土、氷、雷、光、闇と。

 私は槍の派生である薙刀の適性と、火属性魔法の適性がある。


「ふぅ……落ち着きました」


「それなら良かったよ。というか、バレたいなら変装をしなけりゃ良いじゃん」


「そ、それは……乙女心というか、気づいて欲しいけど気づいて欲しくないっていうか」


「全く、どっちなんだい?」


「そ、そもそも、迷惑をかけたくないんです」


 それでカズマさんが会ってくれなくなったらやだし。

 あと、今の何者でもない天野だったら普通の女の子として見てもらえるかなって。

 もしバレたら……カズマさん、どんな態度になるか怖いもん。


「まあ、アンタは男に人気だからねぇ。随分とエロい身体に育っちまって」


「え、エロ……なんてこというんですか!?」


「ははっ! すまんすまん! 巫女服も似合ってるし。ただ、すまないね」


「それはいいんです。スポンサーさんは大事ですから」


 探索者は企業提携を結んでいて、それでダンジョン攻略を補助して貰っている。

 なので、あちらの意向に従う場合もある。

 むしろ、A級探索者であるカレンさんがいるからこれで済んでいた。

 酷いところだと、水着とか要求されるとか……視聴率が取れるからって。


「そう言ってくれると助かるよ。それにしても、随分と調子がいいね。あいつに勝つには、私だって一苦労するのに」


「なんだか、すごく動きが良いんです。全身に力が漲るっていうか……不思議な感覚なんですけど」


 なんだろ? 最近変わったことといえば、カズマさんに会えたこと。

 ……あと、サクラちゃんに会ったことくらいだ。


「あれかい? 恋のチカラってやつかい?」


「ふえっ!? もう! からかわないでください!」


「ははっ! ごめんよ! ただ、油断だけはするんじゃないよ?」


「はいっ! もちろんですっ!」


 今思うと……サクラちゃんに触れた時、なんだか暖かいモノが流れた気がした。


 実は、サクラちゃんが力をくれたとか……まさかね。







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