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12/24

動画を撮る

 夕方まで時間があったので、早速配信をしてみることした。


 部屋に掃除機をかけ、カーテンなどを閉める。


「おっと、その前に本人に許可を取らないと。サクラ、ちょっと良いかな?」


「プー?」


 俺が声をかけると、ダンボールから出てトタトタと寄ってくる。


「実は、サクラのことを配信したいんだ。言ってもわからないとは思うけど……そしたら、みんな癒されるかなって」


「フンスッ!」


 その表情は『仕方ないわねっ!』と言っているように見える。

 俺の思い込みかもしれないが、多分合っているような気がした。


「ありがとな。それじゃあ、早速撮っていこう」


「フスッ」


 カメラを設置して、その前でサクラを膝の上で抱っこする。


「さて、俺のyoutubeチャンネルはどうなって……はっ?」


 動画を撮る前に確認しようと思ったら、そのチャンネル登録数が五千人を超えていた。

 視聴回数も、軽く三万回を超えている。

 いわゆる、アマチュアYouTuberの仲間入りである。


「いやいや、一昨日まで数百人だったじゃん! ……ハルカちゃんの影響が、ここまで凄いとは」


「プー?」


「……いや、もちろんハルカちゃんの影響は大きい。でも、それだけじゃない。認知度は高くしてくれたけど、チャンネル登録までしてくれたってことは、サクラ自体に興味があるってことだ」


「フンスッ」


「あらら、得意げな表情だな? でも、凄いことだ。よしよし、これならやる意義もありそうだな」


 そんな中、Twitterの方も確認してみると……フォロワー数が跳ね上がっていた。

 これも、ハルカちゃんの影響だろう。


「うわぁ……迂闊なことを呟けないぞ。とりあえず、うさぎさんを飼うことにしたことを伝えて……配信をすることを決めたと」


 もちろん、今のところ収益化はしない方向ということも書いた。

 あくまでも個人的な意見だが、動物で収益化をしたくはない。

もちろん、そういった方々を否定するつもりはない。

愛情がない訳じゃないし、編集作業だって楽ではないし。

 ただ、今回の俺の目的はそれじゃない。


「確かにお金はないけど、それとこれとは話が別だ……よし、これでいいか。サクラ、動画を撮っていくぞ?」


「プー!」


 多分、許可が出たのでボタンを押す。


「えー、皆さん、こんにちは。前回はご協力を頂きありがとうございました。どうやら、飼い主はいないようなので私自身が飼うことにしました。そんな中、配信をして欲しいという要望が多数きました。なので、少しずつ配信をしていこうと思います。もし気になった方は、ご覧ください」


 別に無理にチャンネル登録してもらうつもりはないので、簡単な挨拶で済ませた。

 そして、サクラを膝から降ろし、部屋んぽをさせる。


「スンスン……トタトタ」


 あちこちを嗅いでは、ほこほこと部屋の中を歩く。

 その姿を見るだけで、なにやら心が洗われるようだ。


「サクラ、ボールはどうかな?」


 サクラに向かって、テニスボールを転がすと……。


「プー!」


「おおっ、激しいな」


 ほりほりと掘ってはボールが転がり、それを追いかけてほりほりする。

 まさしく、いたちごっこの状態である。


「楽しいか?」


「フンスッ!」


 どうやら、本人的には満足らしい。

 その証拠に、部屋の中でジャンピングを始めた。

 確か、ご機嫌な時にジャンプをすると書いてあったな。


「なるほど、ボール遊びは可と……さて、次はおやつをあげるか」


 昨日ペットショップで買った齧り木を取り出す。

 すると、物凄い勢いでサクラが突撃してくる!

 そして、俺の足元をぐるぐる回りだす。


「フンフン! ……フンスッ!」


「わ、わかったから、 少し落ち着けって」


 この木は、うさぎさんが好きな匂いを発するらしい。

 だから、興奮しているのだろう。

 そのまま、カメラの位置まで誘導して……直接、手から齧らせる。

 すると、凄い勢いで齧っていく。


「カリカリカリ! ……カリカリ!」


「……おお〜凄いな。サクラさん、歯が見えてますよ?」


「フンフン!」


 そんなことは御構い無しに、次々と木に齧りつく。

 どうやら、相当気に入ったらしい。


「さて、初回はこんなもんかな」


「プー?」


「ああ、大丈夫だよ。気がすむまで遊んでなさい」


「フンスッ!」


 木に夢中になってるのを横目に、撮った動画を確認する。


 そして、面接の時間まで編集作業をするのだった。





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