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理想郷  作者: 金柑乃実
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横田タクミ編プロローグ


キーンコーンカーンコーン

チャイムとともに、教室を出た。

「おい、見ろよ」

「オタクが急いで帰ってる」

「お〜い、横田〜、アニメでもあるのか〜?」

アニメ?あぁ、そうだ。そんな言葉に答える必要なんかない。


痩せ型長身で猫背。

前髪を伸ばしているせいで、相手から俺の目は見えていないらしい。こっちからはよく見えてるんだけどな。

これだけで、現代の高校じゃスクールカースト底辺。というか、ランク外にされてもおかしくない。

それに加え、小さい頃からアニメやゲームが好きすぎる。いわゆる、オタクという部類だ。

だから、自慢じゃないが、小学、中学、高校と、友達という友達がいたことは無い。


ちなみに今は、夕方5時からのアニメがある。

そして今日は、5月15日。今ハマっているスマホゲームで、6時からイベがある。

とにかく早く帰る。ただそれだけ。

そのゲームは、超能力を持った美男美女が揃う学校に、超能力者になって入るというものだ。

要するに、女性向けや男性向けと分けられている現代ゲームにしては珍しく、両方楽しめるということだ。

しかも今回は、俺の推しキャラであるツンデレキャラ“ 星川唯依(ほしかわゆい)”のイベ。

一刻も早く帰らなければいけない。

「あー!おーだんほどーゲームしよー!」

帰り道を急いでいると、無邪気に跳ねるランドセルが見えた。

「いいよー!」

「くろいとこふんだら、じごくだよー!」

「わかったー!」

横断歩道ゲームか。

小学生から友達がいなかった身としては、懐かしいとは言えないけど、そういえば流行っていたことがあったな……。

信号が青に変わり、カラフルなランドセルたちが白いところを飛び移りながら遠ざかって行った。

スマホで時間を確認すると、4時20分前だった。

ここからだと、家まで15分ほど。時間は充分ある。どうせなら、逆のことをしてみよう。あえて黒いところに足を置いた瞬間だった。足元が、ぐらりと歪んだ。

「は?!」

まるで高いところから何も無いところに足を踏み出し落ちるようなその感覚に、思わず目をつぶった。



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