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  作者: ひじきとコロッケ
六月三十日
85/176

(2)

「アレを見て……どう頑張れってんだよ」

「そうね」


 あの後がどうなったかなんて、想像に難くないし、想像もしたくない。だが、あと二十四時間後にアレと同じ事が世界中で起こる。

 さらに該当者は一万人どころではなく、獲得している経験値ゼロの者全員という可能性が高いとネットでは噂になっていた。

 そして重要な情報が一つ。

 二十四時間の間、新しくモンスターは出現しない。

 つまり……


「アレを避けようと思ったら野良でうろついているモンスターを探すしかないってことだよな」

「どれだけいるのかしら?」

「絶望しかない情報だよな、アレ」


 考えても仕方が無い。説明とやらを読んでみようか。


「まず、ランキングに関する説明か」

「下位一万人だけじゃないって事かしら?」


『下位一万人は死亡します。該当者はランキングの順位表示が赤くなっている方です。なお、該当者の中で最も多く経験値を稼いでいる人の経験値が全ての人の経験値から引かれます。例えば、経験値を百稼いでいる人が該当した場合、全員の経験値が強制的に百引かれます。その際、レベルが下がることもありますのでご注意ください』


「腐れ仕様が来たな」

「でもさ……少なくとも今回該当するのって経験値ゼロの人だよね?」

「つまり今回は影響なし。次回以降はどうなるやらってところだな」


 マイナスされる経験値は多くても百どころか十前後だろうから、上位にはほとんど影響はないが……何だろうな、このイラッとする仕組みは。


「だが、そもそもあれは……死亡(・・)……なのか……」

「うーん……」


 人間としては、と言う意味ならそうなのだろうか?だが、そもそも「一万人」でなく、「一万位」ではないかという突っ込みがあるのだが……そこには触れていない。つまり、ランキング表示が赤くてもあのような変化をしない可能性も……あると言えばある。


『ランキング上位一万()までの全員にガチャの使用権が贈られます。上位者ほど多くもらえます。なお、ガチャの有効期限は二十四時間となっておりますのでご注意ください。

さらに、ランキング上位百位までの全員に追加のガチャまたは経験値一万またはスキルポイントのいずれか一つが贈られます。上位者ほど多くもらえますので、どれをもらうか存分にお悩みください。なお、受け取る物の選択及びガチャの有効期限は二十四時間となっております』


「またガチャが来るのか」

「司くんは何回引けるのかしら?」

「何回でもいいけど……回数よりも、何が出るかが重要だからなぁ」

「それと上位百位。私も該当するのね……十七位」

「そうだな……ん?」

「どうしたの?」

「イヤ、何でも無い」


 三十七位:HUZISAKI SUZU レベル17


 頑張っているようだな。

 さらにガチャ追加・経験値一万・スキルポイントのどれかを自由に選択する権利が複数回と言うことらしいから、これはなかなかいいのかも知れない。


「これ、俺が全部経験値を選んだらどうなるのかな……」

「え?」

「成長促進とかの効果が載ったらどうなるんだろう?」

「成長だけ(・・)チートね」

「試してみる価値……無いな」


 現時点で単純に経験値を一万受け取った場合……レベルが十以上上がる。だが、このまま放っておいてもどんどん上がっていくだろうから、全部ガチャに突っ込んだ方が良さそうだな。スキルポイントもありがたいのだろうが、そもそもつぎ込みたくなるようなスキルが無い。経験値をもらってレベルを上げても同じ事。つまり、新しくスキルを得られる可能性のあるガチャが一番いいだろう。

 ランキングの説明はこんなところか。続いて……


「スキルについて?」

「何だろうな?」


『スキルレベルが十になったスキルはさらに追加のポイントを使用することで、上位スキルに進化することがあります。進化出来るスキルにはその旨説明が追加されますのでご確認ください』


「さらにゲームじみてきた件」

「何だろうね」


 レベル十のスキルはアイテムボックスくらいなんだが、これの上位スキルって何だ?今のところ表示をつついても説明は出てこないようだ。明日にならないと説明が出ないのか、それともアイテムボックスは進化しないのか。


「俺、アイテムボックス以外はレベル十がないんだよな」

「私なんてレベル十自体ありません」

「今のところ気にする必要無しでいいか」

「賛成」


『これまでの生活の中で行ってきた行動により称号を得ている方もいるでしょう。その称号が十個集まると、ユニークスキルに進化します。ユニークスキルへの進化が行われた以降、称号の付与は行われなくなります。引き続き頑張って称号を集めましょう』


「これって」

「司くんのアレ、だよね」



 藤咲司 レベル68 (244/680)

 HP 107/107

 MP 91/91

 力: 61(+31)

 魔力: 31(+31)

 素早さ: 54(+32)

 頑丈: 43(+31)

 運:MAX


 スキルポイント:68


 称号

 先駆者★★★★★★★★★★

 スキル

 豪運

 成長促進

 アイテムボックス レベル10

 性別転換

 ガチャ

 偽装 レベル4

 解錠 レベル1




「ちょうど十個集まっている」

「これがユニークスキルに進化するってことなのかな?」

「で、進化後は他の誰かが先駆者の称号を得ることはない、と」

「そもそも、この称号自体、司くん以外取れないんじゃないの?」

「『声』直後のモンスター討伐もあるから誰でも取れるはずなんだけど」

「即殺出来るのって司くんくらいだと思う」

「そう……かな。だが問題は」

「うん?」

「進化してユニークスキルって……どんなスキルに?」

「あ……」


 先駆者の効果が「通常よりも獲得経験値が増加する」だが、これがスキルに進化したら……成長促進と被ってるよな?


「ま、勝手に進化するみたいだから放っておこう」

「でもさ」

「ん?」

「称号って他にどんなのがあるんだろうね?」

「そうだな……」


 行動により称号を得る、か。称号というくらいの大層なモノがつくほどの行動って何だろうな?


「称号……普通に考えると、称号って何だ?」

「オリンピックの金メダリストとか称号っぽいよね……ノーベル賞とかもそうかな」

「あとは……将棋のナントカ王みたいのも称号っぽいよな」

「文化勲章とか」

「都道府県の観光大使みたいなのとか?」

「あげていくと結構あるね」

「だが、このステータスにも表示されるような称号ね……」

「モンスターをたくさん倒した、とか?」

「あー、ゴブリン千匹斬り、みたいな?」

「たくさんの人を助けました、みたいな……」

「癒やしの聖女とか?」

「司くん、ネーミングセンス悪い」

「サーセン」

「あとは何があるかな」

「俺の先駆者に近いけど……魔法系スキルを十に上げる、とか」

「ああ……賢者とか付きそうね」


 今のところネットの情報でも称号が付いたという書き込みはなかったから、称号自体レアなんだろう。


「ま、ここまでは何というか」

「今までの延長みたいな感じね」

「ネットでも七月になったらどうなる、みたいに色々予想しているのがあったけど、似たようなのはチラホラあったな」


 ゲームのβテストが一段階進んだような感じと言えばいいのだろうか?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 1万位ではないだろうか →何一つ掠ってないだろ… 主人公がアホすぎるっていう高度なギャグなんかね?これ
[一言] あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします!
[一言] 今頃は世界中で更なる大パニックで大混乱なのは確実で 各国政府もてんやわんやでなんとか事態の収拾に動いているでしょうね。 とりあえず、各国政府は政治家や政府高官等の人達に一体モンスターを倒し…
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