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  作者: ひじきとコロッケ
六月一日
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(4)

  ◇  ◇  ◇




 世界中で飛んでいる飛行機を全て飛行場に降ろしたら、停めきれずにパンクする。そのくらい、世界の空には飛行機が飛び交っている。それはこんな異変の起きた日、その瞬間も変わっておらず、丁度離着陸の瞬間だった飛行機はパイロットがゴブリンに食いつかれたために操縦が狂い、残らず墜落していった。どのくらいの被害が出たのかは不明。何しろ被害状況を調査する人間がいないのだから。

 空港の管制室も酷い状況だったが、なんとか生き残った者達が必死に空港機能を回復させようとして……大半が断念した。離着陸に失敗した飛行機で滑走路が埋め尽くされていたのだ。

 だが、空を飛んでいる飛行機はまた事情が違う。ほとんどの飛行機が自動操縦に切り替えられていたため、ゴブリンが暴れて自動操縦が解除されたと言うことでも無い限り、なんとか飛び続けていた。しかし、いくら自動操縦といえども燃料がなくなれば飛行機は飛べなくなる。墜落するのも時間の問題だ。




 それぞれの飛行機ごとに残された時間が少し違う、そんな程度だ。




 全く私も運がいいんだか悪いんだか。


「スズ、大丈夫?」

「ええ、何とか……」


 心配そうに中島博美――大学に入って出来た友人だ――が声をかけてくるが、私に言わせればあなたの方が深刻です。

 全身血塗(ちまみ)れなのは一緒でも、私のは他人の血、あなたのは全部自分のでしょ。息も絶え絶えな状態で人の心配してる余裕なんて。

 そう言いたいが止めた。今は私を心配することで気力を保っているのだから。


「何か拭くものが無いか、探してくるね」

「うん」


 返事を聞いて席を立つと、改めてこの惨状が目に入ってくる。

 大学の一年生なんて、一般教養科目くらいしかないのだが、学部の専門分野では世界的に有名な教授が日本に来て講演をするという貴重な機会があり、抽選で選ばれた数名が福岡へ。

 講演の内容は難しくて半分も理解できなかったが、良い経験が出来たと選ばれた幸運に感謝していたのだが、帰りの飛行機でこんなことになるとは。

 確かに、昨日の講演開始前に何だかよくわからない声が聞こえてガチャなんてのが始まっていたけど……ついでに言うなら、天候の影響で帰りの飛行機の出発が遅れ、到着予定が十二時を少し過ぎるというアナウンスを聞いて「ああ、ガチャとか言うのの期限が十二時だっけ」と思い出し、期限ギリギリになって慌てて回してみたんだけど。

 直後にテーブルの上に人型の何かが現れ、驚いてテーブルごと跳ね上げたおかげで即死は免れたが、全員がそうではない。

 乗員乗客が協力して、どうにか人型の何か――誰かが「これ、ゴブリンって奴?」と言っていたが――を全部倒したが、こちらの被害も甚大だった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 場面転換が各話ごとである様なので、タイトルを人名なり組織名と数字にしたらどうでしょう?最初に戸惑ったのですが、それで分かりやすくなると思います。
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