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  作者: ひじきとコロッケ
六月十六日
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(1)

「んー、いいお天気」


 結局昨日一日雨が止まず足止めされてしまったが、今日は晴れた。

 車を片付けて、んーっと伸びをする。船の位置は一昨日見た場所からあまり動いていないようだ。多分、スクリューは止めているけど錨を下ろしていないので、漂流している、そんな状態かな。

 ガシャンと両脚を変形させ、ジェットを噴かし始める。雨も上がったので調子が戻っている。これなら船まであっという間だ。


「よし、行こう」


 まずは両親の状況確認。探知で見えていると言うことは生きているのは確かだが、無事なのかどうかと言うと不明。多分無事だろうけどね。そして、司も無事だと言うことを伝えよう。まあ、ランキングのトップにいて、順調にレベルを上げているようなので、気付いていると思うが、やはり実際に会ってきたことを伝えたいし、こっちに向かっていることも伝えればきっと喜ぶ。

 ゴオッとジェットを噴出して上昇し、船に向かう。距離的には一時間程度かな。




 船まで数百メートルになった時点で探知を切り替える。今までは両親だけを探知していたが、あの船がどんな状況かわからないので、死角をなくして手堅く行きたい。

 探知はレベルの上昇により、探知出来る範囲が広がるのだが、レベルによって探知する内容が変わってくる。レベル一だと、とにかく何か生きている者を探知出来る。つまり、ゾンビやスケルトンなどのアンデッドモンスターやゴーレムなどは探知出来ないと思われるが、寿は最初からレベル十なのでよくわからない。レベル五になると、探知した対象が人間、動物、モンスターと言ったように識別出来るようになり、簡易的であるが対象の名前も表示されるようになる。人間は『人間-男-』と言うくらいの表示、モンスターは『ゴブリン』と言ったような表示だ。そしてレベル十になると特定の対象を探し出せるようになる。現在寿が行っている両親の名前で表示、といった感じに。ただ、距離があまりにも遠いと、それがどこなのかわかりづらい。なにより、対象だけしか表示されないため、コレはコレで不便でもある。

 両親の現在位置が船の内部であることを確認すると、探知を通常モードに切り替えると、船にたくさんの反応が見える。


「甲板も中もモンスターで一杯ね」


 しかも、一昨日あれだけ苦戦させられたトロールが複数。戦い方(弱点)はわかったが、なかなか面倒な戦いを強いられそう。燃やせばいいとわかっていても、船の中で灯油をまいて火を点けるのはちょっとマズいんじゃ無いかな。他に何かいい方法があるといいんだけど、何も思いつかないので燃やすしかないか。消火のプロ(父は消防士)がいるから大丈夫ということにしよう。

 とりあえず船の真上で一旦停止。ガソリンを補給してからゆっくりと降下していく。ジェット音が周囲に響き渡り、その音に反応して甲板のモンスターが一斉にこちらに向かってくる。ゴブリン、オーク、スケルトン、ゾンビ、そしてトロールが二匹。


「行くよ……」


 両手を刃に変形させて着地と同時に突っ込んでいく。面倒なトロールは後回しにしてまずは雑魚を全て片付けよう。


「たあっ!」

「とおっ!」

「やあっ!」


 向かってくるモンスターを片っ端から斬っていく。手間のかかるトロールは後回し、素早くかわして置いてきぼりにする。その代わり他のモンスターはドンドン斬る。小刻みにジェットを使うといい感じに急加速、急停止、急旋回が出来るのでモンスターを翻弄し放題だ。


「残りはトロール二匹!」


 先に襲いかかってきた一匹が振り下ろした拳を後ろに飛び退いて避け、すぐに片膝を立てて後ろ足のジェットを全開噴射。顔面に膝蹴りを食らわせて仰け反らせる。


「食らえええっ!」


 バランスを崩して体が開いたところに斬りかかり、いくつもの傷を付けると、


「アイテムボックス!灯油放出!」


 二十リットルほどぶちまけて、そのままジェットを浴びせて着火。


「グギャオオオオオ!」


 開いた傷口も燃えているので回復はしない。そして燃えているところをさらに数度斬り付けると、さすがに耐えきれず倒れた。まだ死んだかどうかわからないが、大きな動きが無くなったのでもう一匹へ向かう。


「グオオオオオ!」


 仲間(?)をやられて激おこの様子。かなり雑にこちらへ向かってきたので、そのまま両手の刃でスパッと肩口を切り裂きながら頭を飛び越えると、背中側を斬りまくる。ずいぶんと斬ってかなり出血しているのに、そのまま振り向きざまに裏拳を放ってくるのでゴロンと転がって避けると、腹に突き刺して、一気に上まで斬り上げ、


「灯油投下!」


 全身に浴びせたところで火を放つ。これで片付くといいんだけど。




 ステータスを見ながら待っていると、トロール二匹の経験値が入ってきた。と言うことはちゃんと倒せた言うこと。一匹あたり三百。なかなかの数値だと思う。


 甲板にいたモンスターはこれで全部片付いたので、閉じられたドアから船内に入ろう。探知では船内にもモンスターがいることがわかっている。通路はそれほど広くないから戦い方をよく考えないと。

大事なお知らせ

本日二話投稿します

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