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  作者: ひじきとコロッケ
六月十五日
49/176

(1)

「トロール発見」

「よし、灯油とコンテナ用意……」

「待って」

「え?」

「成海さん、魔法使ってみません?」

「魔法?いいよ」


 成海が使える火魔法、水魔法については事前にどんなものかを聞いていた。

 どちらもレベル1で一本の矢、レベル2が現在取得しているレベル数分の矢、レベル3が槍、レベル4が取得レベル数分の槍、レベル5が球。

 矢と槍の違いは貫通力、すなわちダメージで、ゴブリン相手に矢を使うと刺さるだけだが、槍は貫通していったらしい。

 そして球は……当たると同時に爆発する。

 また、火の魔法の場合、命中した箇所に燃え広がったりするが、水の魔法は水というより氷で、凍結効果がある。

 そのため、水魔法レベル1だと着弾した周囲数センチが凍り付き、水魔法レベル5を使うと、着弾地点周辺が広範囲に凍り付く。

 では、あのトロールに火魔法レベル5を放ったらどうなるだろうか。




 念のため、司が木切れに火を点けて、もしも倒せなかった場合は即座にコンテナで囲んでガソリンばら撒いて火を点ける用意をしておく。成海が言うには、魔法は連発出来ないそうだから、魔法による点火が期待出来ない以上、灯油よりもガソリンだ。


「いきます……火球!」


 ドッと小さな破裂音と共に赤い火の玉が撃ち出され、トロールに着弾し、爆発した。


「おお……」


 爆発により、トロールの体は木っ端微塵。火によるダメージのため回復もしない。燃料をばらまいて火を点けるよりも安全性は高そうだが……


「爆発の範囲が広すぎる」

「そうなんですよね」


 トロールの横にあった車が二台、見事に爆発の威力でひしゃげているし、すぐそばにあったガードレールも吹き飛び、街路樹も倒れていた。

 爆発の範囲はトロールを中心に半径五メートル程。

 周りに何も無いなら良いが、襲われている誰かを助けるために使ったら、その誰かさんも吹き飛んでいるだろう。

 そして、


「MP消費が二十五もあるんですよ」

「キツいな」


 成海のMPは最大で三十二。威力はあっても連発できないと言うことは、使いどころも考えなければならないだろう。

 ちなみにレベル2の矢、レベル4の槍は、複数の目標を狙えないこともわかった。使い勝手が今ひとつだ。

 ちなみに火の魔法も水の魔法もMP消費はレベル五までの間は使用レベル×五。レベル6からどうなるかわからないが、順当にいくとレベル10はMP消費が五十。司でも結構厳しいMP消費になる。偽装のMP消費1というのは実に良心的と言えよう。


「★5で火魔法10だ!って言ってもほとんど使えないって事か」

「そうですね。使いたかったらレベルを上げるしか無いって事になります」


 もしかしたらMP消費を減らせるスキルとかアイテムがあるのだろうか?だが、最初のガチャで手に入れてなかったら、わかっている限りで入手手段が司のガチャしかないと思われる時点でハードルが高い。


「魔法というファンタジーに、世知辛い現実を突きつけてくるとか、どうなってんだよ」

「まあ、爆弾並みの攻撃力をポンポン使えたりしたら、それこそチートですけど」

「やっぱりトロールはコンテナ積んで足止めしてから、燃料まいて火の矢が確実だな」

「そうですね。私たちの場合は特に」


 何ごとも適材適所ってことだな。

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