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本日2回更新します
「で、探知」
「簡単に言うとレーダーね」
「レーダー?」
「大雑把にやると、周囲に人がいる、ゴブリンがいるって感じで頭の中に出るの」
「へえ」
「あとは、詳しく知っている人や物を指定すると、距離や方角が」
「それで俺を探したのか」
「そういうこと」
「……親父とお袋は?」
「探したよ。ほぼ同じ位置……数メートル以内の距離だから一緒にいるみたい。地図が出るわけじゃないからなんとも言えないけど、方角的に多分家の中かな」
「探知できてるって事は生きてるって事でいいのかな?」
「うん……その……確認してあるから」
「そっか」
死んでいたら見つけられない、と。この話題は避けておこう。何となく、まだ消化し切れていないようにも見える。俺もそうだし。
「じゃ、寿姉の飛行で一緒に実家に向かえばいいんだな」
「そうしようと思ってるんだけど、一つ困ってるんだ」
「何?」
「燃料」
「燃料?」
「うん。ガソリンでも軽油でもいいから、燃料が必要なんだよ」
「寿姉、メシは食わなくなったんだ?」
「ご飯も食べるよ。だけど、空を飛ぶのはガソリンとかが必要なんだよ」
「そこら中にガソリンスタンドがあるじゃん」
「そうなんだけど……一度に五リットルくらいしか入れられなくて、満タンでも一時間くらいしか飛べないんだよ」
「なるほど、補給が大変だと」
「そう言うこと」
「なら大丈夫」
「え?」
「説明する。近くのスタンドに行こう」
「うん」
アパートから徒歩数分にある、個人が経営している小さなガソリンスタンドへ向かう。小さすぎてあえてスルーしていた店だ。
「えーと、アイテムボックス」
「そう、それでこうして……」
「収納……おおっ!スゴい!」
ここのガソリンはあまり残っていなかったが、この方法を他のガソリンスタンドで使えばいくらでも補給できる。
「それで、これを」
空のペットボトルを渡す。
「この中にアイテムボックスからガソリンを取り出す」
「えーと……ホイッと、入った!」
「どう?」
「これなら大丈夫だよ~」
嬉しそうにペットボトルを口にして、一息で飲み干す。
「ぷはぁ……」
「口から飲むんだ……」
「そだよ~」
仮にも見た目は美少女なのだが、飲んでいるのがガソリンというのがなかなかキツい絵面だ。
「うん、これいいよ」
「え?」
「だって考えてみてよ。女の子にとって、変な臭いがする固くて太いのを咥えるのって結構抵抗あるんだから」
「言い方!」
「えへ」
明らかに勘違いしかされない言い方だろ。だが、これで色々と解決したようだ。
「んふふ~」
「どうした?」
「これ……間接キス?」
「ぶ……」
解決していたが、新たな問題が追加された!
「司ちゃん可愛い、照れちゃって」
「どなたかお医者さんはいませんか?!主に頭の!」
叫んでも答える者はいない。




