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本日三回更新です。
「ふわーぁ」
あくびをしながら起きてステータスを開く。
「性別転換」
男になったところで、活動開始だ。
サンドイッチを頬張りながら、今日の行動予定を立てる。
とりあえず、今までの行動範囲から外れ、国道か高速道路へ行って様子を見てこよう。道路が使えそうならいいが、無理そうならまた考えなければならない。
物資は色々用意してあるから心配は無い。だが、慎重に行きたい。
そう思っていたら、ピンポーンとチャイムが鳴った。
「は?」
こんな朝早くに、俺を訪ねてくるなんて誰だ?
少なくとも、このアパートの他の住人はこの事態以来帰ってきていない。
他に誰が……大学の友人が数人生きていることが確認できているが、具体的にどこに住んでいるとか教えたことは無い。
ここに俺が住んでいることを知っているのは……不動産屋に俺の両親くらい。まさかと思うが、両親がここまで来たのだろうか?それはそれですごい話だが。
ゴブリンがチャイムを鳴らしてる?イヤイヤ、そこまでの知能は無いだろう。車のドアすら開けられなかった連中だぞ?ふと、一昨日から繰り返していた、片っ端からドアを開けて退治していくというボーナスゲームを思い出した。あれは実に安全なレベル上げだったな。
「つーかーさーちゃーん、あーけーてー」
「は?」
聞き覚えのある声。忘れるはずがない。声の主にはどの辺に住んでいるかは伝わっていると思うが、具体的にどこに住んでいるかは伝えていないはずの相手。
「いーるーのーはー、わーかーってーるーんーだーかーらーねー。あーけーてー」
間延びしたその声に無事だったのかと少し喜びを覚えながら玄関へ向かう。
「開けてくれないとぉー、いつまでおねしょしてたのか、大きな声で言っちゃ「今開けるから!」
玄関に置いてあった冷蔵庫を収納してドアを開けると、そこには身長百五十五センチ(自称)、肩まで伸びた黒髪、地味な色合いのブルゾンにワイドパンツで美人と言うよりかわいい系……いや、身長のせいもあって年齢の割に幼く見える顔立ちの女性が立っていて、にこやかに右手を振り上げていた。
着ている服が少々破れたり汚れたりしているものの、ケガらしいケガはしていないようだ。
「やほー、司ちゃん。元気そうだねぇ」
「寿姉もな」
「うん、入っていい?」
「いいよ」
「えへへ……あ、彼女とか連れ込んでたり?」
「無いから」
ドアを開けたそこにいたのは双子の姉、藤咲寿だった。
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