(1)
六月四日がないのは誤字でも脱落でもありません
この異常事態も五日目ともなると、少しの慣れが出てくる。
ガチャもイマイチで、昨日のガチャは「★3:経験値百獲得」、今日のガチャは「★4:拳銃」だった。経験値百は普通ならスゴい量だろうが、司にとっては微妙。
拳銃なんてアニメで有名な天下の大泥棒の孫がワルサーなんとかを使っているくらいしか知識は無いから、★の数が多い分スゴいんだろうな、くらいしか判断できない。
そして、当然ながら弾がない。
日本国内で拳銃の弾を入手できるところ……警察、自衛隊、米軍基地……あとは反社会的な方々?
しかし、銃の弾にはサイズが色々あると聞いたことがある。つまり、ただ銃弾を見つけて回収すればいいというわけでは無く、この拳銃に合うサイズでないと意味が無い。
だからと言って、銃弾のありそうな所に行って「この銃にぴったり合うような銃弾、くださいな」と言うわけにも行くまい。子ギツネが手袋を買いに行くのとはワケが違うのだ。
結論として、拳銃はアイテムボックスに死蔵されることになった。
そろそろ物資の回収を切り上げて、次の行動……実家に帰って両親と合流を目指した方がいいだろうか。
ちなみに電話は繋がらないまま。この騒ぎで電話を落とすか踏むかして壊した可能性が高い、と思っている。あの両親だ。このくらいでどうこうなることも無いだろうと思っている……斜め上の状況が容易に予想出来るが。
「では、このスーパーで最後にしますかね」
自分に言い聞かせて中に入ろうとしたところで、あの声が再び聞こえた。
『いよいよ五日目になったのですが、全然進展しません。仕方が無いのでもっと後でやろうとしていたことを前倒しします』
は?時計を確認すると、丁度正午だ。
『ステータスにランキングを追加しました。自分のレベル順位を確認できます。同じレベルの場合は獲得経験値の多い順です』
ランキングって……数十億人を並べるのか……今何人生き残っているのかがわかったりするのかな?
『なお、国際標準時で月が変わった日の午前零時に、下位一万人に該当する人は死んでいただきます。死にたくなかったら頑張ってください』
ちょっと待て、今なんて言った?!
あの声の主が誰なのかはわからないが、地球の人間全部を使って何かの遊び――と本人は思っているのだろう――を進めているとしか思えない台詞のような気がする。
そして、その進捗が思わしくないので、強硬手段に出たのだ。下位一万人が死ぬとなれば、それなりに必死になるだろうと考えて。
「これはヤバいだろ」
慌ててステータスを開き、ランキングを確認。
「俺……一位かよ」
一位:HUZISAKI TUKASA レベル二十五
どうやら声の主は「ふ」を「HU」、「じ」を「ZI」、「つ」を「TU」と書くらしい。
ヘボン式では無く、訓令式とか日本式と呼ばれる表記法だ。
幸いなことに名前とレベルしか表記されておらず、どこにいるとかステータスが表示されたりはしないようだ。
ちなみに二位はレベル六。ぶっちぎりの一位。
「……色々確認が必要だな」
このスーパーを片付けたらすぐに帰ろう。
ガチャ結果の表記を少し見やすくしてみました。




