(12)
七月一日もずいぶん長いなと思ったけど、七月二日がもっと長くなりそうな予感……
と言う事で主人公の出てこない自衛隊奮闘と、掲示板回です。
◇ ◇ ◇
「ミサイルデータセットすべて確認完了」
「発射予定時刻まで残り五分を切ります」
各所からの連絡を受け、護衛艦あきづき艦長がマイクを手に、艦内へ告げる。
「総員、よく聞いてくれ。既に作戦説明のあった通り、本艦はまもなく日本国民のため、あの化け物を掃討する作戦を開始する。作戦目標は市街地にあり、一切のミスが許されない。君たちがミスなど犯すはずはないと信じているが、改めて最終確認をするぞ」
「「「はい!」」」
訓練とは違う、実戦。それも相手が未知のモンスターという異常な状況。しかし、成功例があるという朗報で、全員がやや浮き足立ちそうになるのを引き締めつつ、自身も最終確認の様子を見守る。
◇ ◇ ◇
「離陸準備良し!」
「定刻だ、離陸せよ」
「港区方面担当、田中、鈴木、大友、出撃します」
「墨田区方面担当、市川、飯田、山崎、続けて出撃します」
茨城県の基地から次々と離陸していく戦闘機。順調に行けば護衛艦のミサイル到着少し前に現場に到着、上空を旋回して待機となる。
「頑張れよ!」
「頼んだぞ!」
管制官以外の隊員たちが敬礼後、見送る。誰が出撃するかで三時間もめ、くじ引きも相当に荒れたが、それを見ていた基地司令は特に咎める事もしなかった。あの巨大モンスターの間近に向かう任務がどれほど危険か。そしてそれを承知で我先にと志願する気持ちを咎めるなど出来るはずもない。自身もあと二十歳若ければくじ引きに参加していたのだが、と少し悔しい思いもある。
そして、もちろん……作戦が成功し、無事に帰ってくる事を願っている……いや、確信している。
◇ ◇ ◇
「各班、準備状況は?!」
「第一班、完了」
「第二班、完了」
二つのタワーそれぞれを囲んだ部隊から準備完了の報が入ると同時に空自の出撃の報も入る。
「まもなく、あきづきの攻撃が開始される。無線を聞き逃すな!」
「「「「了解!」」」」
一斉に十式戦車の主砲が上を向き、タワーに居座るモンスターに照準を合わせる。デカい。だが、それと同じくらいのモンスターを米軍とニューヨーク州兵が撃破した情報が入っている。彼らに出来て自分たちに出来ない道理はない。
ここにいる隊員たち全員が、目の前にいるモンスターを恐ろしいと感じている。だが、その恐ろしさで萎縮している者は一人もいない。誰一人として、作戦の成功を疑っていない。せいぜい、無駄玉を撃ったりして晩飯が減らされる事の無いように、という比較的どうでもいい事を気にしている者が数名いるかどうか、だ。
「あきづき、第一次攻撃まで五秒!」
◇ ◇ ◇
「二、一……発射」
「一番から六番、発射!」
六発が一斉に発射され、ほぼ真北へ向けて飛んでいく。
「続けて七番から十番、五秒前、三、二、一……発射!」
続けて放たれた四発が先ほどの六発よりやや東の方角へ向けて飛んでいく。
「ミサイル発射、問題なし」
「制御システム、順調」
「一番から六番、目標まで三十秒」
「七番から十番、目標まで四十秒」
各自が訓練通りに状況を告げ、問題が無い事を報告してくるのを艦長がじっと聞いていた。ここまで来たら、あとは……これ以上の想定外がない事を祈るのみだ。
◇ ◇ ◇
「あきづきより予定通りミサイル発射」
「問題なく目標へ向けて飛行中」
画面上に、ミサイルの位置を示す光点が映し出され、ぐんぐんと赤く表示された地点に向かっていく様子が見える。
「今のところ、ごく一部を除いて問題なしだな」
「ごく一部?」
「あきづき投錨地点近くの海岸に妙な連中が集まっているそうだ」
「妙な連中……ああ、そう言う事か」
こう言う状況でも自衛隊を違憲の軍隊だとか、九条がどうのとか騒いでいる連中がいるとは。
「この状況下で良く生きてたもんだと感心するしかないな」
「公安によると、主要メンバーの姿がないそうだ」
「……どうでもいいだろ。放っておこう」
今はこちらの討伐作戦の方に注力したい。
◇ ◇ ◇
『こちら田中機、予定地点に到達。タワーのモンスターとミサイル六発を目視で確認。上空で待機する』
『市川機、予定地点に到達。タワーのモンスターを確認。ミサイル……四発確認。三機とも上空で待機する』
作戦は順調との報を受けるが、表情を変える事無くじっと待つ。
さて……出来れば戦闘機のミサイルは撃たずに済ませたいところだ。海自にいいところを持って行かれるのはちょっと癪だが、これからの事を考えると一発でもミサイルは温存しておきたい。
◇ ◇ ◇
「ミサイル、来ます!」
声と同時にタワー展望台に居座るゴリラの左右から六発のミサイルが襲いかかる。当然両腕を振り上げてミサイルを撃墜しようとするのだが、
「撃て!」
十両の戦車から一斉に砲弾が撃ち込まれる。砲撃がどの程度の効果を発揮するかは不明だが、榴弾の爆発により噴き上がる爆煙による目くらましを重視。ミサイルの威力に期待だ。
◇ ◇ ◇
「ミサイル、あと五秒」
「射撃用意!……撃て!」
こちらも十両の戦車から一斉に砲撃が始まる。こちらは繭を食い破り、中にあるであろうサナギを貫くための徹甲弾が使用される。
◇ ◇ ◇
司令室で見えるカメラ映像は両方の目標が爆煙で見えなくなり、さらに爆音で声もよく聞こえないという……良くある状況になっていた。
だが、少し巻き戻して見えなくなる直前の映像を見る限り……ミサイルが全弾命中しているように見える。
「どうだ?」
「現場の状況は?!」
「ええい!連絡はまだか!」
少し騒然となったところを、防衛大臣が一喝する。
「落ち着け!ここで俺たちが騒いでも何の役にも立たん!」
当然である。そして、総理が続ける。
「映像も音もこうなる事は予想通り。現場からの報告を待つ、それだけだ」
「それにミサイルがそれたという報告は来ていない」
全員がうなずき、報告を待つ。だが、その僅かな時間がもどかしい。
「……ちら……ワー……んぜん……」
「こちら司令室。音声が不明瞭、繰り返してくれ」
「……港区……タワー……目標は完全に沈黙!先ほど声でボスモンスター討伐のアナウンスが入りました」
全員が立ち上がり歓声を上げる。そしてすぐに新たな通信が入った。
「……ちら、墨田……目標、完全に沈黙!ボスモンスター討伐のアナウンス有り!」
一瞬、全員が黙り、そして再びの歓声。
「やった!やったぞ!」
「ああ、本当に!よくやってくれた!」
「総理!すぐに!」
「今行く」
足早に中継室に向かい、カメラに向けて深々と一礼する。
「つい先ほど、両地点でのモンスター討伐完了の報告が入りました。作戦は成功です」
中継先の隊員たちの歓喜の表情が……ああ、ブレまくってよく見えなくなっているな。
少しの間、喜ぶ様子を微笑ましく見た後、キリッと表情を引き締めてカメラを見る。
「皆さんの尽力により、ボスモンスターという脅威が取り払われました。ありがとう」
「しかし、まだすべてのモンスターの脅威が無くなったわけではありません。大変ですが、引き続き……よろしくお願いします」
◇ ◇ ◇
【俺のとこにも】ボスモンスター情報交換スレッド【ボスが来た】 3箇所目
125 名無しさん
札幌住みなんだがそこら中にボスモンスターっぽいのがいるぞ
ほら、札幌ってさ、東西南北の数字があるだろ?あの数字の境目のところにボスがいる
126 名無しさん
マジか
それ、生活に困るんじゃないか?移動できないだろ
128 125
それは大丈夫だな
数字の境目にないところにも道路があるからそこを歩いていける
ボスモンスター、交差点の真ん中からほとんど動かないんだよ
129 名無しさん
ボスの範囲が5メートルくらいってことか?
それなら困らないな
ちなみにボスモンスターってどんな奴がいるんだ?
130 125
ゴブリンのでかい奴とかそんな感じかな
普通のモンスターを少し大きくした感じのばっかり
ゾンビのでかいのは結構ヤバい
臭いが
148 名無しさん
あえてどことは書かないけどさ、大仏が立ってる所、あるだろ?
149 名無しさん
お、おう
まさか、茨城か?
151 名無しさん
>>149そのまさかだよ
歩いてる
寺からは出ないみたいだけどな
こんな感じ
http://dougaup.com/movie/XXXXXXXXXXXXXXX
152 名無しさん
マジか
スゲエな
次回も掲示板が続きます。
掲示板ネタ考え中……




