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  作者: ひじきとコロッケ
七月二日
106/176

(1)

 チベットスナギツネ、と言う動物がいる。

 特別何かすごい能力があるというわけでも無いのだが、そのジト目の表情で一部に大人気の動物である。

 そして今、防衛省内の会議室に集まったオッサンたちは全員がそのチベットスナギツネのような顔をしていた。だが、オッサンたちのチベットスナギツネ顔なんて誰も得をしないのは言うまでも無い。


『私は!この国連総会の場に……国連大使はおろか、大統領の出席すらかなわないという異常事態に胸を痛めています!』


 緊急の国連総会は予定通り開催され、日本政府は国連大使の出席と共にビデオ通話にて会議に参加という形で万全の体制を以て臨んでいる。

 そして、事務総長――奇跡的にも無事で、今回の総会が無事に進行するかどうかは彼にかかっている――の開会の挨拶の直後、アメリカ代表が発言を始めたのだが……市長秘書でありながら、なかなか熱の入った演説で少し聴き入ってしまい……すぐに前言撤回をした。


『この一ヶ月間にわたる異常事態を引き起こしたのは誰か?明白であります!このランキング表示とか言う忌々しいものの先頭に書かれている人物、この人物こそがこの事態を引き起こしたのは間違いありません!私はこの場で、国連に進言したい!今すぐ日本政府はこの「フジサキツカサ」なる人物の身柄を拘束し、国連のこの場にて事態を引き起こした件について追求し……』


 全員がため息をつく。


「こりゃダメだな」

「前提がおかしいと言うことに気付いていないというか……うん、まあ……そういうことだな」

「ま、想定していた話の流れの一つだ。武内大使にはこの資料のここを、あとここも」

「はい。すぐに連絡を」


 画面の向こうでは熱弁を振るっていたアメリカ代表が拍手を受けながら着席している。言いたいことを言ったからだろう、表情はまさにご満悦だ。


「今拍手をしている国をチェックしておこうか」

「既にしています……まあ、予想通りの結果ですが」

「だろうなぁ」


 世界の国は色々な形で分類される。アジア、ヨーロッパ、アフリカと言った地域ごと、農業国、工業国と言ったその国の経済基盤、資本主義や民主主義と言った社会体制に先進国、発展途上国と言った経済情勢等々、一口に国と言っても色々な見方があり、その思想も様々であり、意見が混沌とするのはいつものこと。だが、今回の国連総会は世界の国がわかりやすく三種類に分けられた。国連大使、あるいはそれに準ずる立場の者が出席できている国、とりあえずニューヨーク市付近にいた英語に不自由のない民間人が出席している国、そして誰も出席できなかった国……つまり空席である。そして、拍手をしているのは……


「民間人が出席している国は全部該当ですね。あとは日頃から我が国と対立姿勢を見せている国」

「わかりやすいな」

「ええ。ですが……」

「御しにくい」


 画面の中では日本の武内大使が発言を始めたところだった。


『我が国としては「ふじさきつかさ」が日本人であることを……公式に認めます』


 会場がざわついた。だが、ここまでは既定路線。これを認めないまま進めるとこじれるだけだ。

先週見かけた書店に再び行ってみた。

売れてた!

お買い上げありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 『最初の売上を目で見届けました。称号『著者』を獲得しました。』 [一言] 明白ねぇ…ソースはドコー? さてどんな面白発言してくれるのかわくわく!
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