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  作者: ひじきとコロッケ
五月三十一日
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(1)

他の作品に比べ、一話あたりの文字数を減らしています。ご注意下さい。

『ただいまより、二十四時間限定のガチャを実施いたします』


 五月三十一日月曜日正午。大学の講義は二限目終了まであと十分ほど。一般教養の数学。必須科目だし、高校時代はそれなりに数学が得意だったのだが、教授がモゴモゴ喋るだけの講義はある意味拷問。ほとんど頭に入らず、単位が取れるか不安を感じていた藤咲(つかさ)は突然頭の中に聞こえてきた声に驚き、思わず跳ね起きた。いや、居眠りしていたわけではない、断じて。

 周りを見渡すと、教授や他の学生も同じように声が聞こえたらしくざわついていた。


『全員が五回、ガチャを行えます。二十四時間後、六月一日の正午までの時間限定となっていますのでご注意下さい。なお、ガチャを全て行わなくとも問題はありませんが、ガチャの時間終了後の世界を生き抜くために是非ともガチャを引いておくことをお薦めします。詳細は目の前のガチャ画面にある『説明』をお読み下さい。なお、この件に関してのお問い合わせは一切受け付けません。説明を最後までお読みいただき、明日から頑張って生き抜いて下さい』


 なんだかよくわからない説明が終わると同時に目の前に半透明の板のような物が現れた。周りを見ると同じように板が出ているようなリアクションが見られるが、板そのものは見えない。本人にしか見えないのか、それとも視覚情報に入り込んでいるだけなのかは判然としないが、とりあえず目の前にはガチャの装置のような物とコインが五枚表示されており、右下には「説明」と「閉じる」と書かれた四角い枠があった。


「なんだこれ?」

「マジでガチャ?」


 周囲がさらにざわつく。


「あー、静かに。続けるぞ」


 教授はこの状況を特に気にせずに講義を続けるらしい。司はとりあえず「閉じる」に触れてみるとガチャが消えた。が、視界の右下隅に「ガチャ」という表示が見えるので、そっと触れるとガチャ画面が現れた。


 丸々一日あるから今は保留だな、と残り五分を切った退屈な講義を乗り切ることに意識を向けることにした。




「ふう」


 アパートに戻り、机の前にバッグを放ると、ベッドへダイブ。仰向けになり、ガチャの「説明」を読む。

 ちなみに「説明」で開かれた画面はほぼ視界いっぱいの大きなもので、文字がびっしりと描き込まれていた。妙に長ったらしい文章だったが、要約すると、ソシャゲのガチャのような仕様っぽい。

 ガチャは全部で五回可能。時間内に五回やらなかった場合、やらなかった分はただ単に消えるだけ。ガチャから出るのは★1から★5までのレアリティの違いがある。当然★5が一番出にくい。なお、ガチャでは同じ物が出ることは無い。

 ここまでは良いだろう。

 そして、大学内で既に何人もガチャを回したらしい者を見かけた。★1でペットボトル飲料が一本とか、ボールペンが出たとか言っていたが、その理由も説明を読んだら納得した。




 ★……その国で合法的に購入出来る日用品レベルの価格の物が出る

 ★★……その国で合法的に購入出来る高額な物または非合法の物が出る

 ★★★……★★で入手出来る物の上位品またはスキル(レベル一)が出る

 ★★★★……★★★で入手出来る物の上位品またはスキル(レベル五)が出る

 ★★★★★……★★★★で入手出来る物の上位品またはスキル(レベル十)かユニークスキルが出る




 ★1が一番出やすいのは確実だろうし、日用品と言うことは数百円レベルだろうからボールペンが出るのは当然か。

 そして、この説明だと★2では高級品、例えば車や宝石が出るのだろうか。あとは非合法と言うことは、ヤバい薬や銃火器でも出るのだろう。

 だが、それ以上に★3以降に書かれた説明書きにある単語が気になる。




 スキル




 ラノベの世界かよ……

 なお、ユニークスキルは全て一つずつしか無く、誰かと同じユニークスキルを取得することはないとも書かれていた。

 説明を読み終えると起き上がり、机の上のPCを起動する。スマホでも良いが、ここは同時に色々開けるPCの方が良いだろう。

 検索をかけてみると……昼にスマホで見たときよりもさらに情報が増えているようだった。

三日間、一日三話ずつ投稿します

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― 新着の感想 ―
この文を書いている時作者は大学生だったのだろう
[一言] 視力の不十分な方々は死ねとおっしゃる……
[一言] 教授が冷静すぎる 黒幕は教授で間違いないな
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