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030:エルフの王城

入学式はつつがなく終わり……

 お姉様の入学式も無事に終わった。


 気が早いというか、何と言うか……。


 翌日には、王様から招待状が届いた。


 たぶん、シャーリーが王様に早く来させるように、お願いしたんだろうね。


 王様はシャーリーにはめっぽう甘かったし!


 次の休暇日に、皆んなで王様に会いにいく事が決まったのだ。


 メイノワールが招待状を読み上げると、お姉様が目をキラキラさせて、「お城へ行けますのね! 楽しみですわ!」と、喜んでいた。シャーリーもお姉様に憧れの目を向けていたくらいだし、自分の時のように睨まれる事もないでしょう。平穏な面会の場になると思います。


 読み上げられた招待状には、自分も含まれていたので安心しました。せっかく、お気に入りの女の子である、お姉様とシャーリーが集うのに、のけ者にされたら悲しい。


「ふふ、エルステア、アリシアちゃん、良かったですわねー。貴女達、せっかくシャルロット王女に合うのですから、何か贈り物をしてはどうですか?」


 ふむ! 贈り物ですか! 名案ですね!


 でも、自分は何ができるかな……。


「貴女達の合作で、小さい可愛いゴーレムを造ってみてはどうかしら? こちらの家にも工房はありますのよ、ふふふ」


 ゴーレム! それなら粘土遊びと代わらない! 何度か、皆んなと作りましたし自分でも出来ますね!


「ゴーレムつくって、シャーリーにプレゼントしたいです! おねえさま、ちからをかしてください」

「もちろんですわ、アリシアちゃん。それはそうと、アリシアちゃん。いつの間に、シャルロット王女を愛称でお呼びする関係になられたの? 私、驚いてしまいましたわ」


 そっか、お姉様はその場にいませんでしたね。


 チラリとお母様を見ると、頷いて自分の代わりにお姉様に事情を説明してくれた。王様も関係する話だから、余計な事を言ってしまいそうで……ほら、聖女の話とかさ……。


「まぁ、アリシアちゃんは、シャルロット王女様にお友達として認定されましたのね。これは、お姉ちゃんとして、ちゃんと挨拶しなくてはいけません!」


 お友達って認定が必要なの? ん? 何かおかしい感じがしますが……。


 お姉様は、鼻息を荒くしてこちらを見ています。


「アリシアちゃん、シャルロット王女に喜んでいただける、素敵なゴレーム作りましょうね! 私、全力をお貸しいたしますわ!」


 フゴーッとでも言いそうなくらいに、さらに鼻息が……お姉様、ちょっと落ち着きましょう、お父様みたいになってますよ。


 休暇日まではまだ数日あり、夏の館の新しい日常が始まりました。


 お姉様とライネは、毎日学院へ行きお勉強。自分は午前中はリッチェル先生と、マナーや言葉のお稽古です。


 何故、ライネがお姉様に付いて行くのか、最初は分からなかった。お母様とメリリアに疑問をぶつけてみたら、学院では獣を使役する授業があり、必ず入学前に用意しておかないといけないのだ。


 当然、幼体の状態でなければいけない。成体では、教室に入らないからだ。まぁ、普通に考えれば分かる話だけどね。


 ライネは、獣の中でも稀少な幻獣クラスなので、周りの生徒達からかなり羨ましがられたそうだ。


 どうりでライネが踏ん反り返って態度がデカい訳だ……相当、ちやほやされたのだろう。


 幻獣を連れてきたのは、お姉様だけだったようで、王族の姪のマルグリッド様でも用意は出来なかったらしい。お母様が言うには……幻獣を従えてくる人の方が常識外だそうです。


 と、言う事は……。


「そうねー。私達は、ちょっと人様と違うかもしれません。ふふふ」


 あー認めちゃいます? うん、分かっているけど、ご自身で言っちゃいましたね。あははは……。


 そんな話を聞いていて、さらに疑問が沸く。そう言えば、お父様や、お母様、メリリア達が獣を従えているのを見た事がないのですけど。エルフが長命だから、先に寿命が来ちゃって、もういないのかな? ちょっと繊細な話だから、聞きづらい。


 とは言え、興味深いので思い切ってお母様に聞いてみる。


「おかあさまとめりりあには、げんじゅうはどこにいるのですか?」


 お母様もメリリアも、自分の質問に対して表情は変わらず笑顔を見せた。どうやら、既にこの世にいないという選択肢はなさそうです。


「あら、そうでしたわね。アリシアちゃんは、まだ合わせてませんでしたわ。そうですわねー、ちょっと大きいので、冬になってからお呼びしましょう。アリシアちゃん、今は連れてこれませんけど、冬の館に戻ってからでもよろしいかしら?」


 そうですよね、ライネも成長すると物凄く大きくなると言ってましたし、家には入らないですよね。普段はどこか遠くで放し飼いとかしているのかな?


「アリシア様、私が従える獣は、冬の館の外周警備を行っておりますので、時を見てお連れいたします」


 さすがメイドの獣ですね、主従揃って家に仕えてくれているんだ。一度会って、御礼を言ってあげたいですね。


「おかあさま、メリリア、教えてくれてありがとうございます。ふゆのやかたにかえるのを、たのしみにしてますね!」


 お母様もメリリアに、笑顔を向けて御礼を言った。二人ともちゃんと獣を従えている。という事は、自ずと自分も、将来必ず何かしらの獣を従える事が確定しているってわけだ。


 お父様達に探してもらっているドラゴンを従えたら……むふふ、まだまだ先の話だけど、周りの反応を想像して笑いが零れる。


「アリシアちゃんも、良い幻獣と巡り合えると良いですわね。私達が必ず見つけて差し上げますから、お利巧にしているのですよ」

「はい! おかあさま。それまで、がんばっていいこにします!」


 大きな声でお母様とメリリアに返事をすると、二人は顔を見合わせて笑っていた。


 ――思っていたより、王都での日常は退屈する事がなかった。


 お姉様を待つ時間に、お母様やメリリア、たまに仕事をさぼっているお父様から、疑問に感じた事を聞き出す事をしていたら、あっという間にお姉様の学院がお休みの休暇日だ。


 お姉様と一緒に造った、ランドグリスお兄様からいただいた、巨大な熊のぬいぐるいみを小さくした可愛いゴーレムを箱に詰める。


「エルステア、アリシア、支度はよろしくて? その箱はリリアに預けたら良いですわ。せっかく造ったのに落としてしまったら大変ですもの」


 お姉様は、お母様の言葉に頷いてリリアにゴーレムの入った箱を預けた。今回のゴーレムは、なんと! お姉様と自分の声が吹き込まれている。起床時間を自分で決めてセットすると「おはよう! 朝ですよ! おきましょうね!」と、お姉様と自分のハモった声が出る仕組みなのだ。


 はい、いわゆる目覚まし時計です。止める方法は、頭の上にあるボタンを押すだけ! このアイディアは当然、自分なのですよ。現代知識を活かした、魔法との融合作品なのだ!


 こんなところくらしか役に立ってませんけど、十分頑張ったと思うよ、自分。


 王様の居るお城は、家の敷地を出て真っすぐ北へ進むだけ。通りも開けているので、スムーズに城門まで到着した。


「トゥレーゼご一行、お成り!」


 衛兵が声を上げると、大きな鉄の門が、ゴゴゴゴ、ゴァッン! と音を立てて開いていく。今まで聞いてきた門が開く音に比べて相当重そうな気がします。さすが、王様の城ですね。妙なところで感心してしまいましたよ。


 城門を三つ潜ると、中央に沢山の彫刻が置かれた噴水が見えた。その後ろには、お城というよりは屋敷に近い様式の建物が見える。何となく、フランスにありそうな宮殿っぽい感じだ。天守閣とか高い塔があるお城を想像してたので、拍子抜けしてしまった。


 そう思い、辺りを見回すと、ドーム状の屋根が付いた高い建物が周囲に幾つも建っていた。


 あれ、あれだよ、自分が想像していたお城。夢の国のお城みたいなのはあれだ!


「おかあさま、あちらがおうさまのおしろではないの?」

「ふふ、あちらに見えるのは、騎士団がいる建物ですよ。外敵が進行して来た時に、王様が指揮を執る場所ですわね。普段は、こちらのお屋敷にいますの」


 なるほど、あれは騎士団の拠点になるんだ……何か所もあるから、騎士の数も凄そうだね。


 新しく騎士団長になったバハムートさんは大変なんじゃないかな……お父様、あまりさぼらない方がいいのでは……と、余計な心配が頭を過った。


 宮殿の前に馬車が着くと、お父様、お母様、お姉様とライネ、そして自分の順でエスコートされて降りる。そのまま、中まで通され大きな扉の前で待たされた。


 宮殿の中は、さすが王様の家というだけあって、白いタイルの床に、赤いふかふかの絨毯が敷かれ、壁には金や銀の彫刻が飾られていた。さらに天井も遠くで見ていたより高さがあって、上を見上げると口が開きっぱなしになってしまう。この世界の歴史が物語を模している絵が描かれていて、興味深かった。


「ディオス様、本日はこちらでしたか。連絡を入れたのですが、返信がなかったもので探しました」

「うむ、今日は王からの招待をいただいて、ここに参ったのだ。何かあったのか? 話せ、バハムート」


 お父様に駆け寄ってきた騎士は、久々に見たバハムートさんだ。以前より、顔が引き締まっている感じがするけど、ちょっと頬がこけている感じがした。騎士団長のお仕事はやっぱり大変なんだろうね。


「こちらでは……、あちらでよろしいでしょうか」


 バハムートさんは、自分達をチラリと見て、お父様を少し離れた所へ案内した。


「この話、王は知っているのか?」

「いえ、ちょうど報告をするところでした」


 二人とも離れていても、地声が大きいので聞こえてますけど……何か問題が起きたような雰囲気ですね。ちょっとだけ、嫌な予感がします……。


「ユステア! すまん、ちょっとこちらに来てくれないか」


 ついには、お母様まで呼ばれてしまい、お姉様と二人きりになった。自分は、不安な気持ちから何か縋りたい気持ちに駆られてしまい、お姉様の後ろにピタッと張り付く。その後ろにメリリアとリリアが立ち、護るような体制になった。


 もう直ぐ、王様と面会するんだよね。何てタイミングが悪いのだろう……。


「エルステア、アリシアちゃん、面会の時間が少し変わりそうですの。王から指示が出ると思いますから、あちらの椅子で待ちましょうね」


 戻って来たお母様に従い、大きな窓の側に置かれたソファへ向かった。


 お父様とバハムートさん、そして、メイノワールが大きな扉の先へ進んでいく。


 扉の間からちらりと部屋の中が見え、お父様達の間から小さい子がいるのが確認できた。


 シャーリー! あぁ、こんなに近くにいるのに顔も合わせられないなんて……。


 早く、再会できるといいな。


 扉が締められるのを確認して、お母様の膝の上に乗り、やわらかな胸に頬を寄せて待機した。

気の早いシャーリーの誘いを受けて

王城までいったのに……。

騎士団長が動き出すほどの何かが起きている?


王都の日常はどうなっていくのか……

ご期待ください。


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