025:王都街区へ
昨晩、湯浴みもせずに眠ってしまったので、朝からメリリアに身体を温かいお湯で拭いてもらう。
お姉様は、シーモペで購入した下着を、ネグリジェを少したくし上げて披露してくれた。
ウエストラインにフリルの付いた、ピンク色の可愛いパンツを惜しげもなく見せてくる訳ですが……誰も嗜める事もなく……逆に、喜んで褒め称えています。
お母様もママ母様も続いて披露してくる訳で……この場を止める人は誰もいないのですね。
「私、今日はこちらにしますの」
「あらあら、フレイは大胆ですのね。ふふふ」
ママ母様は、長いソックスに、ガーターベルトを掛けた姿で、堂々と皆んなに見せつけてきた。
うーん、物凄く似合っているのだけど、目のやり場に困ります。おまけに、ママ母様から妙に艶っぽさが醸し出されているので、いつもより美人に見えてしまうのですが。
「叔母様、とてもお似合いですわ。私も、大人になったらそのような服を着てみたいです」
お姉様が羨望の眼差しで、ママ母様を眺めみている。
すこし、お姉様の頬が熱っぽさを感じる……気のせいと思いたい。
お母様のネグリジェから透けて見える下着も、いつもと違いますね。青い刺繍に、模様の細かいレースがブラジャーのカップにあしらわれた、上品なデザインです。
昨日の可愛らしい下着より、自分はこちらをお勧めいたします!
フリルが付いていると、胸を出そうとするとドレスに引っ掛かって手間取るのです。
このデザインのブラジャーであれば、自分でもカンタンに下げられそうなので大歓迎!
そんな事を考えながら、お母様のネグリジェの襟元を下げて、胸を出そうと弄り始める。朝のお乳をいただかなければ……一心不乱にブラジャーの中に手を突っ込みお乳を露わにさせた。
うん、やはりこれは良いブラジャーですね。
霰もなく目の前に現れた胸に飛びつき、お乳をお腹いっぱいにいただく事が出来ました。
お値段も張ったであろうこの下着達。
意外な所で、新しい下着達の使い勝手の良さを肌身に感じ、至福のひと時を満喫した。
ーーシャルードゥアの街のお買い物は、昨日で一先ず終えたようで、そのまま王都の屋敷へ向かう。
お母様とママ母様は、まだ満足していない様子だったが、お父様とレオナール叔父様が慌てたように説得を試み、収めたようです。自分も、流石に連日付いて行くのが心身共に辛く感じていたので、お父様達には感謝したいですね。
「では、王都へ参るぞ! 続け!」
お父様の号令で、馬車がガラッガラッと音を立てて、ゆっくりと動き出す。
「フレイ、夏の間にまたこちらに伺いましょう。私、マーガレット・ルルにも行ってみたいのです」
「ええ、喜んでお伴しますわ。私も、シャンターン・トゥルの新作を見逃してましたもの。次は忘れずに、立ち寄りたいですわ」
お母様とママ母様のこの街への思いは、まだまだ収まる気配が無いようです。
そこにお姉様も話に加わり、さらに熱を帯びた。
人の言葉を理解しているのか不明なライネも、新しいおむつカバーを付けてもらったせいか上機嫌です。
お姉様の会話に「ピィッ!」と相槌をして参加していた。
自分は、お母様の胸に身体を寄せ、耳だけ傾け話を聞いている。
まだ、お母様達の会話の流れに付いていけないのですよ……もう少しゆっくり……理解していきますね。
シャルードゥアの街から王都へ続く道は、舗装も行き届いていて延々と石畳だ。
窓から見える風景には雑木林も無く、家はお店がずっと続いている。
もしかしたら、今いる場所は既に王都の一角なのかな?
そんな疑問を感じるほどだった。
「もうすぐ、王都の城壁が見えますわよ。ここからは、私達と同じ領主一族か、王に仕える貴族、騎士団のみ立入れる場所になりますの」
お母様の言葉を聞いて、窓に齧り付く。
遠目には、住居の高さを遥かに越えた、石積みで出来ているような壁が見えた。
「おかあさま、あれがじょうへきですか? おうちのよりたかいですね」
「そうですのよー、アリシアちゃん。遠くに見えるあちらが王都の城壁ですわ。ナーグローアは、昔あの城壁を飛び越えて来た事もございますのよ、ふふふ」
さすが、翼を持っているナーグローア様ですね。遠目でもかなりの高さがあると思うのに、ひとっ飛びといった感じなんですかね。
お母様の笑みを見て、何と無く当時、大事になったんじゃないかと推測した。
最初にお会いした際も、ゴーレム達の警戒網に引っ掛かって、ボロボロになってましたし……。
ナーグローア様の言葉が出て、少し会いたい気持ちが湧いてしまった。
今頃、学園作りに奔走しているのだろうか。元気にしていると良いのですけどね。
「おかあさま、おうちに着いたらナーグローアさまにてがみをだしてみたいです」
「あら、名案ですわね。ナーグローアもきっと喜ぶと思いますわ。アリシアちゃんは、まだ字を習ってませんから、エルステアに代筆をお願いしましょうね」
そうだった、自分はまだこの世界の文字が読めるだけで、書く練習をさせてもらっていない。
日本語とローマ字なら書けると思うけど、それでは意味が通じないですものね。
「おねえさま、おてがみをかいていただけますか?」
自分の背中に座っているお姉様に振り向き、手を握ってお願いのポーズを取る。
ちょっと可愛らしい感じを装って、お姉様におねだりです。
「もちろんですわ、アリシアちゃん。可愛い妹の頼みですもの、断れませんの。アリシアちゃんの言葉を、しっかりお手紙に書いてさしあげますわ」
「おねえさま、ありがとうぞんじます!」
自分のおねだりに、お姉様はとても良い笑顔で返してくれました。
思わず、手を上げて万歳のポーズを取ると、目を細めてお姉様は微笑んでます。お姉様の優しい微笑みに、自分の心はホワッと温かくなっていきます。
「おねえさま、だいすきです!」
心の奥底から溢れる気持ちが、言葉となり勝手に口から出てしまった。
言葉に出すと、なんだかちょっと恥ずかしいですね……お姉様の反応を上目で覗き見ると、両手を組んで笑顔をこちらに向けてくれます。
「私もアリシアちゃんの事が、大好きですわ」
そうお姉様が言葉を返してくれると、腰を上げて、顔を近づけてきます。
自分は、その行動の意味を理解して、お姉様の柔らかくて小さい唇に「チュッ」と重ね合わせた。
何だかいつものキスと少し違う感じがして、気持ちが落ち着きません……。
どうしてだろう……。
「ありがとう、アリシアちゃん。お家に着くのが楽しみですわね」
お姉様は、自分の頬に触れて席に戻っていきます。何だか、離れてしまうお姉様に寂しさを感じ、思わず手を伸ばしてしまう。
自分でもよく分からない動作に、戸惑ってしまった。
心のモヤモヤに耐え切れず、そのままお母様の胸に顔を埋める。
何故か、顔と耳から熱っぽさを感じます。
この気持ちは、一体何なんですか? そう心の中で呟き、しばらくお母様にしがみ付いて、気持ちを落ち着けようと試みた。
スーハー、スーハーと、鼻から息を吸って、口から吐く。
しばらく繰り返していると、胸の苦しみは取れてきて、顔の火照りも無くなってきた。
落ち着いたところで、再度振り向いてお姉様を見ると、ニッコリ微笑んでくれる。
今度は、大丈夫みたいですね! 顔の火照りも出てません! 落ち着きを取り戻せた自分は、お姉様の微笑みに、笑顔で手を振って返し、しばらく笑顔を向けあった。
あの胸の高鳴りは何だったのか……。
原因は分からないけど、お姉様が大好きだという気持ちは、もっと深くなった気がした。
「アリシアちゃん、少しお母さんに掴まっていてくださいね。境界門と同じように、少し揺れますの」
お母様の言葉に従い、服にしがみ付くと、ゴゴンッ! と馬車が音を立てて、身体が少し宙に浮いた。これはうっかりすると、舌を噛んでしまいそうですねと思いながら、窓の外へ視線を向けると、目の前に石の壁が映る。
そのまま馬車が進んでいくと、石壁に囲まれた広場に出てきた。
城壁の中なのは理解できたけど、中庭なんてあるんだね。
ぼーっと眺めていると、壁の穴から、鎧を纏った騎士がぞろぞろと出てきた。
「ヒッツバイン領、レオナール様。トゥレーゼ領、ディオス様。お成り!」
集まった騎士達が、揃って胸に手を当てて敬礼を始める。
全員が敬礼をする姿は、いつ見てもカッコいいですね。思わず感心してしまい、窓の外を眺めていました。
「アリシアちゃん、お外を見るのはここまでですよ」
お母様は、そう告げるとカーテンをシャッと締めて、外への視界を遮ってしまった。
不思議に思い、お母様を見上げる。
その顔をいつも笑顔なのですけど……何で外を見ていたらいけないのかな?
「ふふ、アリシアちゃん、こういう見知らぬ者が多い場所で、女性は妄りに顔を見せてはいけませんの。特に貴女達は、将来が期待されている力を持ってますから、用心に越した事はございませんのよ」
これも貴族のお作法と考えて良いのかな?
お母様が仰る事だから、しっかり覚えておいた方が良いですね。
「はい、おかあさま。ひととあうときは、きをつけます!」
「んまぁ、本当にアリシアはお利口ですのね! 良いですか、アリシア。人と会う時は、ユステアや私の後ろから付いていくのですよ。決して前に出てはいけませんの。エルステアもよろしくて?」
「はい、叔母様。ご安心くださいませ。私、お母様から教えていただいて覚えておりますの」
あらー、自分だけ知らなかったですよ。
そう言えば、以前、お母様の後ろから付いて行く事があったような……。
祈念式の道中だった気もするけど、ぼんやりとしか思い出せないですね。
お母様とママ母様の話を聞いているうちに、馬車は城門を越えており、カーテンの隙間から街並みが見えてきました。
「おかあさま、もうおそとをみてもいいですか?」
「ええ、よろしくてよ、アリシアちゃん。私達の屋敷は、もう少し時間が掛かりますから、ゆっくりご覧になってくださいな」
お母様の許可が得られたので、カーテンをちょっとだけ開けて外を眺め見る。
城門付近で見ていた街並と異なり、目の前には広い庭付きで噴水まで付いている屋敷が立ち並んでいた。
うぇ? 何この空間……無駄に広いお屋敷だらけで、お店らしき物もないです。
おまけに、人通りもなく、ごみひとつ無さそうな清掃が行き届いた道が続いている。
「ここは、貴族街と言われますのよ。ほら、あちらの高台に見えるのが幼児院と初等院ですわ。エルステアは、これから毎日あちらに通うのですよ」
お母様が細い指で示す方向には、小高い山の上に大きな塔が付いた建物があった。
「まぁ、素敵な建物ですわ、お母様。私、幼児院に行くのが楽しみですの」
「たくさんお友達を見つけて、勉強に励むのですよ」
お姉様は、これから毎日、あの建物に行って勉強されるのですよね……うーん、お姉様と離れてしまうのは嫌だな……休みの日があったりしないのだろうか……。
幼児院の建物を見ながら、少し暗い気持ちに苛まれる。
「アリシアちゃん、私が帰って来たら一緒に遊びましょうね。いつものお勉強時間と変わらないそうですから、安心してくださいまし」
いつもと変わらないお勉強の時間に、幼児院に行って帰って来てくれる?
お姉様の言葉を聞いて、目の前に映る幼児院の建物が明るくなった気がします!
「ほんとうですの? おねえさま……」
まだ、ちょっと信じられない気持ちが勝り、不安そうな声でお姉様に聞き返す。
「ええ、アリシアちゃんがお昼寝から目覚めた時には、私が側にいて差し上げますわ。ふふふ、毎日、アリシアちゃんの寝顔を見られますの。楽しみですわ」
自分の寝顔ってそんなに楽しみにする事なのかな……でも、そう言ってくれる言葉に、安心感を覚え不安が掻き消えていった。
「ふふ、仲のよろしい事。アリシアちゃん、間も無くお家に着きますわ。ほら、あちらが叔父様とフレイの敷地でこちらが、私達の敷地ですのよ」
これから夏の間、自分達が過ごす屋敷が馬車から見えてくる。
お姉様はお母様の言葉を聞き、自分の側に来てピタッと頬を寄せてきた。
自分は堪らなく嬉しくなり、プニッと顔をお姉様にくっ付ける。
お姉様と頬を寄せ合い、笑顔を交わしながら、仲良く夏の屋敷を眺め見た。
お母様達のお買物もひと段落。
ついに王都のお屋敷に到着!?
アリシアちゃんの王都での夏が始まります!
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