024:おむつからパンツ、パンツからおむつ
「ふふ、アリシアちゃん、お目覚めですね。おはよう、良く眠れましたか?」
お母様の笑顔を、薄っすら目を開けて確認する。
なんだかとても気持ちよく眠れた気がして、身体が軽く感じますね。
「はい、いっぱいねました、おかあさま」
目をしっかり開けて、お母様に元気に答える自分。
本当に、良い目覚めで頭がスッキリしていた。
「ユステア、どうかしら? 私、似合ってますか?」
背中からママ母様の声が聞こえ、身体を捩って振り向くと……ブラジャーとパンツ姿のママ母様が、腰をくねらせポーズを取っていた。
ママ母様とここ数日もお風呂を一緒しているので、下着姿も裸も見慣れている。
驚く事ではないのだけど、今日は妙に艶っぽさが出ているようで、自然と視線が釘付けになった。
改めて思ったけど、ママ母様は胸も大きいし、腰も括れ、お尻も大きい……普通の男だったら、飛びつきたくなるほどの女性エルフだ。
下着だけで、ママ母様がさらに魅力的に感じてしまうなんて。
「ママははさま、すてきです」
口から思わず感想が零れ落ちてしまい、手で口を覆い隠した。
ちょっとした呟きだったが、ママ母様に届いてしまったようで、こちらに視線を向けて笑顔を見せる。
「あら、アリシアは分かりますのね。嬉しいですわ。では、アリシアが褒めてくれましたので、こちらもお願いしますわ」
「はい、フレイ様。こちらもご用意させていただきます」
ママ母様は下着姿のまま、リュースさんと何やら話を始めた。
背中から見えるママ母様のお尻を見て、言葉が出ない。
あれは……張りの良いお尻がプルンと揺れる……パンツの生地が、ウエストから一本股に続いているだけだ。自分は、漫画雑誌に良くあるグラビア写真しか見た事のない、ティーバックのパンツが自分の目の間に……。
ママ母様のお尻が動く度に、視線を追ってしまい何だか妙にドキドキしてしまった。
あっあんまり見ては……そう感じ、顔を手で隠し目を瞑りながら、お母様の胸に張り付く。
お母様の胸に顔を埋めると、何故かしっとりした肌の感触がする。
今日は、胸の開いたドレスでは無かったはずですが。
そう思い、瞼を開けると、ピンク色のリボンとフリル、そしてレースが見えた。何とも可愛らしい服です。お母様のドレスにしては、ちょっと雰囲気が違いますね。
近距離では全体が見えないので、少し目を離してお母様の胸を捉える。
あっ、あぁ……そうですよね……薄っすら紅みを見せる胸に、ピンクのリボンが真ん中に留めれらた、白く可愛いデザインのブラジャーが視界に入った。
うん、お母様も試着をしていて当然ですよね。
何だか、起きるタイミングを自分は間違ってしまった気がします。
でも、そのブラジャーがお母様にとても良くお似合いですよ。肌触りもとても良かったですし! 寝る時に付けてくれたら、自分は安眠できる気がします!
お母様の纏う服は、自分が触れる物でもあるので、率直に感想を伝える。
「おかあさま、このふくとてもきもちがいいです。すてきですね」
「ふふ、ありがとう、アリシアちゃん。貴女なら、そう言ってくださると思ってましたのよ。こちらはもう買い上げたので、今日一日付けてますのよ」
嬉しそうな笑顔を向けるお母様は、そう言いながら右のブラジャーを下げて胸を出した。
自分は、ただその様子をジッと見て、零れる胸に生唾を飲んだ。
「はい、どうぞ。アリシアちゃん。いっぱい飲んでくださいまし」
お母様は、自分の身体を抱き寄せて、胸に顔を付けてくれる。そのまま、導かれるままお母様のお乳をいただく。左手で、お母様のもう片方の胸を触ると、ブラジャーの滑らかな生地が何とも心地良い。
新調したお母様の下着にお乳を零さないように、丁寧に吸い出しながら飲み続けた。
左手のフワッとした柔らかさと、ツルリとした肌触り。
この感触は何とも形容し難いけど、この瞬間だけはここに来て良かったと思えた。
――しばし、時を忘れてお乳を飲んでいると、ママ母様が側に寄って来る。
「ユステア、お待たせしてごめんなさいね。私も、購入する物が決まりましたわ。例の特別仕様は、ユステアの色違いの赤で買い上げますの」
「まぁ、そうですのね。私も、赤色はフレイに似合うと思ってましたのよ、ふふふ」
ふむー、あのエロ下着をお母様もママ母様も買われたのですか……。
ただでさえスタイルも顔も良い美人な二人なのだ。
着ている姿を想像するだけで、少し顔が熱くなってきますよ。
落ち着かない気持ちが身体を震わせ、そのまま、無意識におしっこが出てしまった。
あー、なんか妙にスッキリするよー。
しっかり出し切って、お母様のお乳から口を離す。
「おかあさま、でました!」
爽やかな笑顔でお母様に、おしっこが出た事を告げた。
「お利巧さんですねー、アリシアちゃん。ちょうど良かったですわ、今度はアリシアちゃんの番ですの」
えっ、何……丁度良いとは?
お母様は、自分の身体をソファに寝かせ、濡れたおしめを取り始める。
「メリリア、よろしいかしら?」
「はい、リュース様よりこちらをお預かりしております」
メリリアが、お母様に肌色の布を手渡すと、自分の目の前でパッと開いた。
その形は、今の今まで抵抗感を感じていた女性用のパンツ? いや、ちょっとブーメランパンツに近い形状だ。
さっと、お母様は自分の脚にブーメランパンツを掛けると、腰をちょっと上げて素早く履かされてしまった。
股間とお尻の密着感が、おむつを充てがわれる感じと全く違う……。
何も履いていないような感じさえして、不安な思いに駆られる。
「アリシアちゃん、ちっちしたくなったら直ぐに教えてくださいね。今、履いているのは試着用の下着ですのよ。何時ものようにちっちしちゃうと、お洋服が汚れちゃいますの」
抱き上げられた自分は、お母様の目を見て頷いた。
履かされた下着のせいで、下半身が妙にソワソワする。初めて感じる感覚が気になってしょうがない。
そのまま、ドレスと肌着、靴下と着ている服を全部、お母様とメリリアに脱がされてしまった。
パンツ一枚で、試着室にいる自分。
あれよあれよと自分の試着準備が整えられていく。
自分は、お母様に抱えられながら、リュースさんが自分用の下着を並べていくのを茫然と眺めていた。
「ユステア様、支度が整いましたので、どうぞこちらへ」
「フレイ、貴女も良かったら参加してくださいまし。皆でアリシアちゃんに似合う下着を選びましょう」
「それは良い考えですわね、ユステア。是非、参加させていただきますわ」
お母様もママ母様も、上からガウンを羽織り、リュースさんが用意したテーブルへ移動した。
「まずは、こちらからにしましょうね」
水色の生地に、レースとリボンが付いた可愛らしいパンツを示すお母様。
自分をテーブルに立たせると、パンツを足元に置いて、自分に笑顔を向けた。
「アリシアちゃん、右のあんよをちょっと上げてくださいね」
お母様の言われるがままに、脚を上げると、パンツを通される。そのまま左脚も上げるように指示され、パンツが両足に掛った。そのまま、シュバッとウエストまでパンツが引き上げられる。
あれほど抵抗を感じていた女性用のパンツが……。
何も出来ぬまま、見事に自分の下半身に収まっている。
「まぁ、このショーツは素晴らしく可愛らしいですわ。アリシアちゃんに良くお似合いですの。リュース、これに合う肌着もございますの?」
「はい、ユステア様。こちら全てセットでご用意してございます」
リュースさんが、メリリアに肌着と靴下、あと良く分からないくしゃっとした布を渡すと、お母様は少し離れて様子を見始めた。
メリリアが、渡された物を次々と自分に纏わせていく。
「奥様、アリシア様が整いました。いかがでしょう」
「とても良いですわ! 私、決めました。リュース、こちらで用意出来る物は、全て持ってきてよろしくてよ」
お母様は自分の姿を見て、少し興奮しているようです。何故か、お父様のような雰囲気を感じるのですが……ここで、似たもの夫婦という言葉を実感するとは、思いませんでしたよ。
ママ母様も、お母様の意見に賛同したのか、用意された下着を幾つか手に取り、自分の前に置いてくる。
「アリシア、次はこちらですの」
その後、数十枚のパンツと肌着を、着せ替え人形のように着させられ……履く履かないで抵抗している余裕なぞ与えてはくれない。
お母様とママ母様、そしてメリリアも常に真剣な顔で、自分の下着を吟味している。
女性の着飾る、お洒落に対しての情熱に凄みを感じ、パンツを履く事への忌避感などどこかへ飛んでいってしまった。
「では、こちらからこちらまでを買い上げます。あと、こちらのパンツセットは五つ、こちらのセットは三つ用意してくださいまし」
一番最初に履かされた水色のパンツ肌着のセットから、ピンクの水玉生地のパンツセットまで……ざっと見ても二十枚……こんなに一度に買うなんて……そして、自分はこれの倍は試着させられた。
並んでいる下着を見ながら、下半身から寒気を感じる。
あっ、ちょっとまずい……。
「私からは、こちらのセットを贈らせていただきますわ。ユステア、よろしくて?」
「まぁ、フレイは相変わらずセンスがよろしくて。ありがとう存じます」
お母様とママ母様がにこやかに会話を始める。
テーブルの上に立たされたままの自分は、間に入って言葉をかける余裕も無く、内股になり白いパンツの股間を抑え堪えようとした。
「あら、アリシアが大変ですわ。メリリア、マチルダ、アリシアを」
ママ母様が自分の様子に気付き、声を上げ周りに指示を出す。
助かった……と、気を緩めた瞬間に、チロッと違和感を感じる。
いっ、いっかん……ここで漏らしたら、他の下着も全部濡らしてしまう!
「ユステア様、こちらを」
お母様がサッと自分をテーブルから降ろすと、足元に便器が置かれた。
自分はそれを確認して、パンツを自分で脱ごうと試みたが、ウエストに指が入らない。
あっ……ジョッと言う音と共に、パンツが染みていく……。
そのまま便器にお尻を付け顔を覆い隠して、しゃがみこんでしまった。
あぁ……どうして抑えられなかったのか。
新しいパンツがおしっこの温かさに染まっていく……。
「おかあさまぁ……」
涙声でお母様を呼んだ。皆んなの前で、漏らしてしまった恥ずかしさから、顔を上げる事ができない。
悔しさで胸締め付けられ、喉が熱い。
「アリシアちゃん、泣かなくてよいのですよ。まだ、おむつが取れるようになるには早いですもの。でも、少し頑張れましたね。アリシアちゃんは、偉いですわ」
お母様は優しい言葉で自分を慰めてくれる。だけど、もう少し我慢すれば……こんな事には……。
この体たらくに、悲しみは一層募る。
「そうよ、アリシア。貴女はちゃんと考えて、床に降りるまで頑張れましたの。グレイアスは四歳になってもまだおねしょをしてますのよ。それに比べたら、貴女はまだ小さいのに偉いですわ」
ママ母様も、慰めの言葉を投げかけてくれた。グレイお兄様がおねしょをしている事を知って、そちらに気が回ったおかげで、ちょっとだけ心が穏やかになり始めた。
「あら、そうですの。グレイアスもまだまだお子様なのですね。ふふふ」
「そうなの。本当に困った子ですわ。ふふふ」
自分のお漏らしには誰も言及せずに、濡れたパンツをサッと交換し始める。幸いな事に、足元から垂れたおしっこだけが床を濡らした程度で済み、片付けも直ぐに終わった。
それでも、仕出かした事に重い気持ちは拭えない。
お母様の胸を借り、周囲の視線から逸らすように顔を覆い隠した。
「ユステア様、フレイ様。お子様のおむつの件ですが、こちらにお勧めの一品がございます。是非、ご覧いただきたいのですが、よろしいでしょうか」
リュースさんが従業員に声を掛けると、ごそごそと音が聞こえる。
「こちらは、特別な粘着液を施したおむつカバーでございます。このように、端の部分をお腹に付けると固定され、布を交換する際はこうして簡単に外す事ができます。装着が便利ですので、よろしければお試しくださいませ」
たぶん、リュースさんの説明を聞く限り、おむつカバーにマジックテープのような物が付いているのだろう……。
今使っているおむつカバーは、紐で固定されているので、走り回ったり、ある一定の量を越えるとずり下がっていくのだ。その都度、お母様やメリリア達に整えてもらっていて、ちょっと不便だったりする。
便利そうですね、お母様。これはパンツを買うより優先された方が良いと思いますよ。
心の中で思いながら、お母様の身体にヒシっと抱き着く。
「こちらは、まだ流通をさせておりませんので、お試しいただいた後に料金をいただければ、問題ございません。その際ですが、是非使用感をお聞かせ願えませんでしょうか」
「構いませんことよ。リュースの申し入れですもの断れませんわ。使わせていただきますわね。おいくつくらいご用意してますの?」
新作おむつカバーを使用する事を快諾するお母様。
デザイン違いで五種用意されていて、お母様はどれも気に入った様子です。
迷うことなく、全て受け取られました。
うん、便利な物は活用した方が良いですものね。
それよりも、リュースさんの手腕は凄いですね……未流通の物を既にラインナップも揃えているなんて。気に入ったらお金を回収ようですし。
自分は、やり取りを聞いて妙に関心を覚えた。
「ユステア様、フレイ様。そろそろお時間が迫っております。次へ向かわれた方がよろしいかと」
「あら、もうそんな時間ですのね。では、例の物は、こちらの下着と一緒に屋敷へ運んでくださるかしら?」
リースさんとメリリアが、荷物の発送について相談している間に、自分達は服を着てお店を出る支度を整えた。さっき漏らしてしまった事もあり、この後は、おむつを履いて行動です。もう、さすがにパンツを履いて漏らすのは精神的に堪えられない……確かめるようにおむつの感触を確認し、胸を撫で降ろした。
お母様達は、その後も幾つかの店に立ち寄り下着を買い求める。
同行していたメリリアやマチルダ達も、皆んな楽しそうにお買い物を楽しんいるようです。
自分は、途中から完全に疲れ果て、お母様とママ母様に交互に抱かれ、うたた寝をしながら時間を過ごした。皆んな元気過ぎて、自分の体力ではついていけないよ……。
宿に着いた頃には、下着に囲まれた一日のせいで満身創痍。
夕食の席には意識は途切れ掛けていた。
それを察したお母様がベッドへ導いてくれる。
お乳の補充もそこそこに、お母様の匂いに包まれながら夢の世界へ誘われていった。
周りに呑まれ、パンツを履くアリシアちゃん。
でも、やっぱりおむつが一番のようですね。
そして、女性陣のお買い物に慣れなかったせいで、
眠るのも早い!
次回は、いよいよ王都のお家へ出発です。
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