019:予兆
叔父様の家で久々の……
叔父様の家に着いたその日、夕食を皆んなで食べてからは記憶が無い。
目覚めると、お母様の身体に寄り添っている自分がいた。
道中、外を眺める事に集中し過ぎたせいで、食べている最中に自分は寝落ちしたのだろう……。
簡単に電池切れしたように、意識がプツンと切れてしまうのだ。
これは、自分ではどうにもならない事なのですよ。
眠気防止の魔法があれば、もう少し起きていられるかもしれないけど、大きくなるためには睡眠は欠かせないのだ。しっかりお乳を飲んで、しっかり寝る! これ重要!
自分の背中からも温もりを感じる。
ナーグローア様はもういないので、きっと、この人肌の温かさはママ母様?
なんだか嬉しい気持ちが込み上げ、身体を反転させた。
パフッと、柔らかな胸に自分の顔が埋まる。
その瞬間に、もの凄く懐かしい甘い匂いに包まれた。
あぁ、この匂い、お母様とは少し違うけど優しくて心が穏やかになっていく。
「おはよう、アリシア。ふふ、私のお乳も遠慮なく召し上がっていいですよ。ねぇ、ユステア」
「ええ、アリシアちゃんが大きくなるためですもの。ありがとう、フレイ」
お母様の許可が取れたので、遠慮なくママ母のおっぱいを頬張りお乳を飲む。
「あ、んっ……」
突然、かぶり付いたので、ママ母様から少し声が漏れる。
「もう、グレイもお乳を卒業してしまったので、この感覚は久しぶりですわ。まだ胸が張ってしまって困っていたので、アリシアに飲んでいただいて助かりますの」
そうだったんですね! それじゃ、しばらく自分がグレイに代わって飲み干して差し上げますよ!
ママ母様の胸にしがみ付きながら、上目で視線を送ってあげた。
「あら、アリシアが全部飲んでくださるの? 優しい子ですのね、ありがとう」
「アリシアちゃん、お母さんのお乳もちゃんと飲んでくださいね。フレイのだけでは、私、寂しいですわ」
ママ母様の言葉に、お母様がちょっと寂しそうな口調で語り掛けてくる。
当然ですよ、お母様! お母様のお乳無しには、自分生きていけませんから!
そう思い、ママ母様のお乳から口を離して、再び身体を翻しお母様の方を向く。
そのままお母様のネグリジェの首元を下げて、胸に飛び込んだ。
「あらあら、アリシアは欲張りさんですのねー」
二人の甘い匂いが、身体の芯まで蕩けさせてくる。
交互に身体を返して、遮二無二お乳をお腹いっぱいになるまで吸い続けた。
しばらく、このダブルおっぱいを味わえるなんて……最高な夏が始まったようですーー。
お母様とママ母様のお乳のおかげで、その日の午前中は、おしっこの頻度が非常に多かった。いつもであれば、午前中に一回、お昼寝後、就寝までで二回程度なのだが、今日は午前中に三回もおむつを交換してもらったのだ。
流石に、ちょっと欲張って飲みすぎたかな……。
お母様とママ母様に、代わりばんこにおむつ交換で、お世話になってしまった。
「ふふ、少し大きくなってもここは変りませんのね。アリシアは、綺麗ですべすべなお肌をしていて羨ましいですわ」
濡れた箇所を丁寧に拭き取るママ母様が、自分の肌に触れながら語り掛ける。
その指使いは、ちょっと擽ったくて尿意を誘ってくるのですが……。
と、思った時には手遅れで、おむつを充てられる前に出してしまった。
「ママははさま、ごっごめんさない」
欲張ったばかりに、なんて粗相をしてしまったのか。
せっかく、大きく成長している所を、ママ母様に見せてあげようとしていたのに。
これでは、台無しです……。
血の気が引いて、悲壮感が自分を襲ってくる。
「あら、ちょっと刺激が強すぎたみたいですね。アリシアのせいでは無いのですよ、これは誰でも起こり得ますの。ふふふ、こうして手をかけさせてくれるだけで、私、嬉しいのですよ」
自分を思って掛けてくれた優しい言葉に、胸がジーンと染み入る。
「ママははさまぁ……」
涙が勝手に目から溢れてくるのを、手で必死に抑え、震える声でママ母様に感謝を伝えようとした。
だけど、感極まってしまい言葉は上手くでない。
「よしよし、アリシアは良い子ですの。短い時間だけど、また私にたくさん甘えてくださいね」
「ふぇぇぇ、ママははさま、ありがどうございまずー」
ママ母様は、マチルダからハンカチを受け取り、自分の顔を見つめる。
そのまま、ぐしゃぐしゃになった自分の顔にハンカチをそっと目元に当てて涙を拭き取ってくれた。
微笑みを絶やす事なく、自分を見つめるママ母様。
素早く替えたばかりなのに濡れてしまったおむつを片し、新しい布を充てがってくれた。
おむつを替えてもらった後も、感情の乱れが落ち着かない。
ママ母様は、自分の身体を起こして黙って抱きしめてくれた。
乱れた感情で速くなっていた鼓動が、少しずつリズムを整えていく。
「ママははさま、ありがとうぞんじます。もうなみだはでてないです。だいじょうぶになりました」
胸の谷間からママ母様の顔を仰ぎ見て、気持ちの波が落ち着いた事を告げる。
ママ母様は、自分の言葉を聞いて、優しく微笑んでからもう一度ギュッと抱き締めてくれた。
「アリシアは賢くて良い子ですね。今日もいっぱい笑顔を見せてくださいまし」
「はい! ママははさま!」
少しママ母様から身体を話して、目を真っ直ぐ向け元気に返事をした。
ーー午前中の粗相は記憶の片隅へ忘却し、お昼寝タイムに突入した。
寝る直前に、グレイお兄様が自慢話をしに来たが、自分の睡眠を邪魔してはいけないとママ母様に叱られ、退散していった。
あとでいっぱい話は聞いてあげますから、今は夢の中へ行かせてくださいな。
グレイお兄様の寂しそうな背中を、目で追いながら意識が薄れていった。
お昼寝から目が覚めると、グレイお兄様が今か今かと待ち構えていたようです。
「お母様! アリシア、起きたよ!」
「グレイアス! そんなに、大声を出してはいけませんよ。アリシアが驚いてしまうでしょう。もう、うちの子達は本当にしょうがありませんわ」
ママ母様がぷりぷりとしながら、グレイお兄様を頭ごなしに叱っている。
まぁまぁ、久しぶりの再会ですし、興奮するのも仕方がありませんよ。
「おはようございます。グレイおにいさま。おはなしをきかせてくれるのですよね。たのしみですわ」
「うっうむ! 其方には、僕の凄さを知ってもらわねばならぬからな! 支度が出来たら着いてくると良いぞ!」
「もう! グレイアス! 貴方って人は、あまり恥ずかしいことをしないでくださいまし」
おぉ、昨日から態度変わりませんね……ママ母様もちょっと呆れてますけど……。
この後、大丈夫ですかね。
粋がってショボかったら、こちらもどう反応したら良いのか困っちゃいますよ?
グレイお兄様は、自分の身支度を整えている間、マチルダに扉の外に追い払われた。
外で待ってもらっているうちに、お母様にお昼寝中に濡れてしまったおむつを替えてもらい、メリリアに髪の毛や服を整えてもらうのだ。
「ふふ、今日はたくさんちっち出てますのねー。身体の循環がいい証拠ですわ。今日は、寝る前にまたいっぱいお乳をいただきましょうねー」
パンパンになったおむつを確かめながら、お母様は上機嫌なようです。
何故、おしっこが沢山出た事を喜ぶのか……自分には理解が出来なかった。
でもまぁ、我慢するのは身体に良くないですし、そういう意味では喜ばしい事なのかな?
身支度を整えてもらい、再びグレイお兄様を部屋に招き入れる。
「アリシアは、会わない間に女みたいな扱いになっているのだな。本当に其方は、あのアリシアか?」
はっ? 何かとんでもなく失礼な事を言ってますよ、このグレイお兄様。
まぁ、中身は男ですが、外面はどこからどう見ても可憐で可愛い美幼女ではないですか?
まさか、自分の中身に気づいているとでも?
と、考えたけど、昨日今日の彼の立ち振る舞いを見ていたが、その線は無いか。純粋に、一緒にいた時に後ろに着いて歩かせた思い出が、彼のトラウマになっているのだろう。
ははは、何て幼女なんでしょうね。彼の言葉にちょっと可笑しく思えて、クスリと笑ってしまった。
「むむ、何がおかしいのだ、アリシア。まぁ良い。僕の力を見せてやるのだ、お外で待っているじょ!」
ぷっ、威厳たっぷりな言葉を掛けて来たのに、最後に噛みますか……。
「ぷふっ」
これ以上堪えるのは、なかなか厳しいものがあります。
「待っているのだ! 早く来るのだ!」
はいはい、ちゃんと行きますよー。カッコいいところ見せてくださいね、グレイお兄様。
ーー外では、ランドグリスお兄様とエルグレスお兄様も居て、お父様と稽古をしていました。
その側では、お姉様が木の下でお茶を飲みながら、皆んなの様子をご覧になっています。
「おぉ、アリシア、起きたようだな。グレイアスが息巻いて出て来たが、何かあったのか?」
お父様は自分の顔をみて、少し心配そうに声を掛けてくれた。
グレイお兄様が、面白い事を言って笑わしてくれたとは言えないので、
「いいえ、おとうさま。なにもありませんしたよ」
そう返事をすると、お父様は笑顔になり「ならば良い。アリシアもエルステアの様に離れているのだぞ」と告げて、再びお兄様達と稽古始めた。
活き活きと、二人のお兄様を相手に剣を振るうお父様。
お姉様の側に着くまでの間、稽古の様子を横目で見ると、余裕が無さそうなのは、お兄様達の方で攻めあぐねているように見えた。
ほぇー、お父様は本当に強いんだねー。あの筋肉モリモリな感じは伊達じゃないです!
「おとうさま、カッコイイです!」
思わず、その勇姿を見て声を掛けてしまったけど、自分の父親の良い所は応援せずにはいられなかったのだ。
「そうであろう、そうであろう。其の方達、我に後れを取るとは、まだまだ修行が足りぬな!」
「くっ! 流石、我らの英雄……」
自分の応援のせいで、お父様が妙に張り切ってしまい、お兄様達の生傷が増えてしまいました。
あちゃー、余計な事を言っちゃいましたね……。
「アリシアちゃん、こちらの席にお座りなさいませ。グレイアスが早くお見せしたいそうですわよ、ふふふ」
お姉様は、優雅にお茶を口にしから手招きをしている。
お父様達に見入ってしまい、いつの間にか足が止まっていたようです。そそくさと、お姉様の誘いに従い、席へ向かった。
「アリシア、遅いのだ。まぁ、良いが。これから、僕の修行の成果を見せてやるのだ。行くぞ!」
グレイお兄様は、自分が席に着くや否や、両足を開き踏ん張り出した。
こんなにせっかちな人でしたっけ、グレイお兄様って……多分、この日のために凄い頑張ったんだろうね。
彼を見ながらそんな事を思っていると、空気が突如重くなるのを感じた。
何? この圧力? もの凄く薄気味悪いよ……。
妙な気配が、自分の心臓をチクチクと刺してくる。
少し胸に苦しさを感じ始めると同時に、メリリアがお姉様と自分の前に立ち塞がった。
「おい! グレイアス! それを使ってはならぬ! 今すぐ止めろ!」
お父様と稽古をしていたエルグレスお兄様が、大声でグレイお兄様を叱り飛ばす。
ランドグリスお兄様は、何も言葉を発せずにグレイお兄様に駆け出している。
メリリアに視界を塞がれているので、何が起こっているのか分からないけど、お兄様達が慌てている様子から只事では無いのだろう。
気が付けば、自分達の後ろにお父様が立っているではありませんか。
その表情には、笑みがなく少し怒っているようにも見えました。
「むぅ、誰があれをグレイアスに教えたのだ……解せぬ」
お父様はそう呟くと、そのまま屋敷の中に戻って行った。
グレイお兄様は、二人のお兄様に組み伏せられた後、襟を掴まれ吊るされながら屋敷に連れて行かれた。
「おねえさま、グレイおにいさまはなにをしたのでしょう?」
「そうですわね……私も分かりませんけど、薄気味の悪い魔力が、突然膨れ上がったのが気になりますわね。メリリア、何かご存知かしら?」
お姉様も感じた気色の悪さ。
メリリアは、お姉様の問いには答えず、お茶会の終了と屋敷へ戻るように促された。
屋敷へ視線を向けると、夕暮れの空が赤く燃えているように見える。
その光景を目にして、自分は妙な胸騒ぎを感じた。
ママ母様の愛は普遍です!
そして、グレイお兄様が放った物とは?
一体彼に何が起きたのでしょう。
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