表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/121

026:お姉様の仲間達

お父様とガイアが連れてきた仲間達で......。

 リーン、リーン、リーン


 まだ夜なのに、光の眷属ニーフがうるさく鳴っている。


 おかげで目が覚めてしまったよ。


 薄っすらと目を開けると、お姉様の側でぐるぐる周っている。


 お姉様のお誕生日以降、お腹に幻獣の卵を大事そうに抱えて生活していた。


 今日も、寝ている時も大事に抱えている。


 リーン、リーン、リリリリリーン。


 ニーフがお姉様の上で小刻みに音を立てて震えた。


 おーい、夜だぞー。もうその辺にしとこうよ。お姉様も起きちゃうじゃないですか。


 リリリーン、リリリリリーン、リリーン。


 捕まえて布団の中にでも入れてしまおうか?


 まだ眠い身体を起して、ニーフに近づいた。


「あら、ニーフが興奮しちゃって、アリシアちゃんが起きちゃったわね。」


 お母様も起きていたようで、優しく肩に触れてくれた。


「アリシアちゃん、ここから少し顔を出してお姉ちゃんを見てごらんなさい。」


 お母様越しにお姉様を覗き見るような姿勢だ。


 もしかして、卵が孵化するのかな?

 初めて見た者を親と思っちゃう刷り込みに注意しろってだよね。

 へへへ、そのくらい理解できますよ、お母様。


「おねえさま、うまれそうですか?」

「アリシアちゃん、起しちゃってごめんなさいね。」


 お姉様はこんな時でも自分の事を気にかけてくれる。

 本当にいいお姉様ですよね。


「今、卵の殻を一生懸命突っついているようなの。もう少しで出てこれそうよ。」

「たのしみですね、おねえさま。」

「ええ、どんな子が生まれてくるのでしょうね。がんばって卵からでておいでー。」


 卵の中にいるまだ見ぬ命に、優しく声をかけるお姉様。


「がんばれー!はやくこっちにおいでー。」


 自分も卵に向かって応援する。


 ちょっと興奮してきたのか、身を乗り出そうとするのをお母様がぽんぽんと叩いて身をかがめるように促す。おっといけませんね、うっかり刷り込んで自分が主なったらお姉様がめちゃ悲しんでしまう。


 しばらく応援を続けている。

 卵の中にいる命にも通じた?


 パキッ!パキッ!パキパキッ!


 卵が割れる音が聞こえてくる。


「ガウッ!」


 ガイアも起きてきて、ベッドに頭を乗せて見守っている。

 ニーフはさらに興奮して部屋を大回りで駆けている。


 そろそろ顔が見えてきてうっかり目が合っちゃうのが怖いので、お母様に潜るように隠れた。

 お母様がそっとおでこに唇を当ててくれる。


「アリシアちゃんは賢いですね。お母さん嬉しいわ。」


 ふふふ、お母様に褒められちゃいましたよ。

 現代の知識がこんなところで役に立つとは思わなかったぜ。


「ピイッ!」


 おっ!出てきた?ひよこのような鳴き声ですよ!?


「がんばれ、がんばれ、もう少しで出てこれますわ。がんばりなさい。」


 お姉様の必死に卵に向かって応援しているようです。

 自分も、ガイアもニーフも加わって皆で応援した。


「ピピィッ!ピィッ!」

「あとちょっとですわ。がんばりなさいませ!」

「ピッ!ピイッ!ピィッ!」

「がんばれー!がんばれー!」


 応援にどんどん熱が籠っていく。

 あと少しなのか?

 お母様のネグリジェを掴みジッと待つ。

 手に汗が出てくる。

 早く出ておいでー!


 リリリリリリリリ!


「ピィピィピィピィッ!」


 ニーフがお姉様の上で超振動。

 卵から聞こえてきた鳴き声が鮮明になった。

 これは生まれた!!のか?


「初めまして、私の幻獣ちゃん。がんばりましたね。」

「おねえさま、うまれたのですね!?」

「ええ、卵から出られましたわ。ご覧になりますか?」

「はい!」


 うほー、卵が孵っちゃいましたよー。

 ずっととお姉様に背を向け横になっていたお母様も身体を起します。

 お姉様が抱えている幻獣を見ようと、お母様のお腹に滑り込むように潜り込む。


「ほら、こんなに可愛い鳥のような幻獣ちゃんですよ。」


 炎のように赤い羽毛に包まれて、大きな目をした鳥の雛が目に映ります。

 ほぁっ!ちょっと大きい雛ですね。でも、可愛い!


 ガイアもベッドを回り込んのそのそとお姉様に近づいていきます。

 食べちゃだめですよ?お姉様が悲しんじゃいます。


「ガウッゥッ!」


 さすがにそんな事はしないと?


「ガウッ!」


 ガイアはひと吠えすると、ベッドに頭を擡げて幻獣の雛を見つめた。


「ピピィッ!ピイピイッ!」


 幻獣の雛をあやすように撫でるお姉様。

 なんだかちょっと羨ましい。

 そこのポジションは自分の......うぅぅ。


「ふふ、アリシアちゃん。今日は譲ってあげましょうね。お母さんがいっぱいなでなでしてあげますわ。」

「あら、羨ましいこと。私にもして欲しいですわ。」

「良いですわよー。皆、頑張りましたものね。」


 お母様は自分とお姉様も両腕で抱き寄せて頭を撫でてくれる。

 幻獣の雛はお姉様に撫でられて少し落ち着いてきた。


「奥様、お嬢様方、幻獣の雛を身綺麗にいたしますので、こちらへどうぞ。」


 リリアが差し出す方には、リフィアが待機していて側にはお湯が入った桶が用意されていた。


「幻獣の雛をこちらでお預かりして洗わせていただきます。」

「皆様、こちらでお着換えをお願いいたします。」


 リフィアにお姉様は幻獣の雛を渡す。

 ちょっと雛が抵抗していたけど、産まれたばかりで粘々したものが付いているので仕方がない。

 洗ってもらって綺麗になった姿を見せてください。


 自分達は、メリリアに着替えさせられた。

 全然気が付かなかったけど、ちょっと汚れていたようです。


 ついでに、おしっこもしちゃっていたので、おむつも替えてもらった。

 たぶん寝てる間に出てしまっていたはず!うんうん。


 着替えが終わって洗われている雛を見に行く。

 リフィアに泡だらけにされていて、赤い鳥が、白いもこもこ鳥になっていて笑いそうになった。

 しかし、この鳥、やけに大人しい洗われているのに暴れないのだ。

 いや、むしろ洗われて気持ち良くなってる?

 人間みたいな鳥だな。


 しっかり洗われた雛を風の魔法で乾かしていく。

 ベタッと張り付いていた羽がフワッと軽やかな感じになり、雛のシルエットが丸みを帯びた。

 羽毛に包まれたボールのような形状に小さな羽がパタパタしている。


 最初に目にした姿と全然違う!

 ふんわりもこもこした身体でよちよち歩き、クリクリとした目でお姉様を探す小動物に心を撃たれた。


 なんぞ!この可愛い子は!これは可愛すぎじゃないですか!


「幻獣ちゃんこっちですよー。ママのところまでこれるかなー?」


 お姉様は幻獣の雛へ呼びかけます。

 ママ!?そ、そうですよね雛からすればお姉様はママですよね。

 お姉様の言葉にとてつもない衝撃を受けて動揺する。


 なんだ、この気持ちは......。


 とてもモヤモヤした気持ちで雛に抱き着くお姉様も見つめる。

 堪らず、自分もお姉様に抱き着いた。


「ふふふ、アリシアちゃんは可愛いですわね。お姉ちゃんが取られちゃった気持ちになっているようですよ。」

「そうなのですか?アリシアちゃん?」


 そうなのか!?この気持ちはそういう事なのか?

 物欲も独占欲も人生の中でほとんど捨ててきたと思っていた。

 この身体で今の生活が始まってから、無意識に戻ってきたのだろうか。


「大丈夫ですわ、アリシアちゃん。私は貴女のお姉ちゃんですよ。ずっと一緒にいますから安心してくださいな。」


 お姉様は抱きしめる腕にそっと手を置いてくれた。

 雛が産まれてきた事はとても嬉しさと、独占する気持ちが複雑に絡まって涙する。


 泣き止むまでお姉様は側にいて背中を撫でて付き合ってくれた。

 気持ちが穏やかになった頃には、眠気で意識が遠のいていく。


 目を擦り、お姉様を捉えようとしたけど、瞼はどんどん落ちる。

 スッと身体が持ち上がり、浮遊感を感じると意識が途切れた。




「ピイッピッピッピィッ!」

「ガウッガウッ!」

 リーンリリーンリーン


 動物と精霊の音で目が覚める。

 随分と騒々しい朝です。

 あー、昨晩に卵から雛が孵ったんですよね。

 この家も人じゃない生き物が一気に増えました。


 昨日は散々泣き散らかしたせいで身体が重いです。

 いや、身体は軽いけど気持ちが重いのかな。


 どこかで気持ちの整理をつけないといけないよなぁ。


 そんな事をうだうだ考えながら、横にいるお母様の胸を露にさせてお乳に口を付ける。

 あー心にまで染み渡る旨さです。考える事を忘れてひたすら飲み続けた。


 着替え終わってからは、お母様とお姉様と暖炉の前で寛ぐ。

 ガイアも暖炉の前に陣取って転がっている。


「エルステア、この子に名前を付けてあげてくださいな。」

「はい、お母様。この子が産まれる前にいくつか考えておきましたの。」


 お姉様は幻獣の雛を膝にのせて撫でながら答えた。

 そうだよね、一応今日から家族の一員だもんね。

 まだ複雑な気持ちのままだけど、ちゃんと名前で呼んでやろう。


「この子の名前はライネですわ。メリリアが教えてくれたのですけど、この子は女の子なんですの。幻獣ライオーコンから取って決めましたわ。」

「良い名前ですわ、エルステア。ライネこれからは私達家族の一員ですわ、よろしくね。」

「ライネ、なかよくしてくださいね。」

「ピピッピッー!」


 幻獣の雛ライネは名前を付けられて喜んでいるように見えます。

 お姉様に付けていただいたのですから喜んで当然ですね!


「ライネ、これからよろしくね。」


 お姉様は幻獣の名前を呼びながら、ふわふわした毛並みを撫でている。

 自分もちょっと撫でてみたいと思うのだけど脚が向かない。

 その行動にもイライラする自分がいる。


 本当に困ったもんだな自分。心の中で溜息をついた。




 朝食の話題もライネに関することで賑わいを見せる。

 特にお父様が饒舌だった。

 自分でプレゼントを贈った事もあって、どのくらい入手するのに苦労したのかを語ってくれた。


 幻獣ライオコーンの成獣が生息している巣に雪を掻き分けて進んでいき、何とか辿り着けたのは良かったが、成獣の姿は見当たらなかったそうだ。

 お父様と幻獣ライオコーンは昔何度か敵だったり味方だったりと戦った事がある戦友だとかなんとか。


 そんな戦友が嫁と一緒に突然姿を消してしまって驚いたそうだ。


 巣の中を見渡した時にいくつか血痕が見つかった事から、何かに巻き込まれて巣を出た可能性も考えられるらしい。

 いろいろ調査をしていると、巣の奥に忘れられたのか隠していたのか分からないがライネの卵が置かれていた。このまま放置すると孵化できないと判断してお父様が回収したそうです。


 無事にお姉様が孵化させライネが産まれたので、戦友の子供を救ったのだと喜んでいた。


 卵をほっぽり出していなくなるってよっぽどですよね。

 ライネの両親が無事であってほしいな。


 そんな話を聞いてしまったら、さっきまでライネに向けていたもやもわやした気持ちが変わっていった。

 両親が行方不明のライネはお姉様がいなければ生きていけないのだ。

 自分はお父様やお母様、お姉様と沢山の人に囲まれて生きている。


 生まれたばかりのライネに今いる境遇が理解できるはずもない。

 だけど、境遇を知ってしまった自分は.....ライネに生きるチャンスを作ってあげたいと思った。

 いつか大きくなって行方不明の両親と再会できるといいよね。


 何だか、気持ちが晴れ渡ってくるのを感じる。

 さっきまでのお姉様を取られて嫉妬していた心が恥ずかしく思えた。


 朝食後、談話室で皆で食後のお茶を楽しむ。

 自分はお姉様の側に座って、膝で抱えられたライネを見る。


 メリリアが用意した哺乳瓶に入ったミルクでお腹がいっぱいになったのか眠そうにしている。

 もうちょっと経てば眠っちゃいそで、起きたい気持ちと戦っている様子が可愛かった。


「ライネ、いっしょにおおきくなろうね。」


 寝落ち寸前のライネに触れて声を掛けた。


「ピピッ!」


 ライネは自分の言葉に反応して目を合わせてくれた。


 ほんの少し目が合った後、ライネは静かに目を閉じる。


 お姉様に身を任せ幸せそうに眠るライネを優しく撫でながら見守った。


 おやすみなさいライネ。

戦友の突然の失踪。

残された卵でしたが、無事孵化しました!

妖精の眷属と幻獣が加わりアリシアちゃんの

お家がさらに賑やかになりました。



----------------------------

いつも読んでいただきありがとうございます。

合わせて、誤字報告も本当に助かっております。


読んで面白いと感じていただけましたらブクマもしくは評価をいただけますと幸いです。

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

アクセスランキングにご協力いただければ幸いです。

ツギクルバナー

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

cont_access.php?citi_cont_id=509352912&s

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ