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025:お姉様の初めて

今日はお姉様の誕生日でした!

「ル、ルルンー、ルルル、ラン、ルルー。」


 今日は朝からお姉様のご機嫌がとても良い。

 可愛い声でハミングしながら、スカートのを少し上げてクルクル踊っている。

 お母様のお乳をいただきながら、上機嫌なお姉様を眺めていた。


 お姉様は本当に可愛いです。


「ふふふ、エルステアはご機嫌ですわねー。」

「今日は私の誕生日ですもの。楽しみで待ちきれないですわ。」


 えっ、お姉様の誕生日?

 今日なの?


 誰も教えてくれなかったんですけど。

 まだ小さいから、教える必要が無いって思われている可能性はあるけど。

 いや、教えられても今日が何月何日かすら分かってないから、教えられてもしょうがないと言えばしょうがないか。


 カレンダーってこの世界にあるのかな?

 この家でそれらしき物を見た事がないぞ。

 そう考えると、時計!

 時計も見たことないわ。


 自分の一日の生活は、太陽が昇って落ちる動きにほとんど近い、それ以外はお母様やメリリア達に連れられて動いているから時計が必要なかった。


 皆んなどうやって日時を判断しているのだろう。


 思わぬところで疑問が生まれた。


 この疑問はいつか解消しよう。

 それよりも、目下の課題は今!

 お姉様の誕生日だ。


 どぇぇですよ。


 お姉様の誕生日なのに、何の準備もしてない。

 プレゼントすら用意していない。

 外は大雪だし、花冠すら作れない状態だ。

 誕生日パーティーは何時?いつやるの?


 考えが頭の中をグルグルする。


「あらあら、アリシアちゃんお乳が溢れちゃってますわ。ちゃんと前を向いて飲んでくださいな。」


 お母様が頭を前に向けて胸にギュと近づける。


 ごめんなさい、お母様。

 貴重なお乳を零してました。


 あぁ、お母様の胸元とネグリジェが垂れたお乳でビッチャリ濡れてます。


 本当にごめんなさい。


 気を取り直して、お乳をを飲む事に専念する。

 飲んでからどうするか考えよう。

 先ずは自分の仕事をちゃんとこなさねば。


 お姉様のご機嫌なハミングを聴きながら、朝の授乳タイムを満喫した。なかなか贅沢な一日の始まりです。




 お姉様が自分の部屋に着替えに行きます。

 自分達もメリリア達に服を着せてもらい朝食を取りに向かいました。


 お姉様の誕生日ともあり、今日のドレスは余所行き?

 発色の良いちょっとお高価そうな青色のドレス。

 ドレスは腰の辺りで真ん中から別れていて、フリルがいっぱい付いている白いスカートが見えます。

 胸元と袖には、刺繍が施された白いレースが付いてとても可愛い自分になりました。

 ドレスの上から透け透けのストールを掛けてくれました。


 今日はいつもと違って頭の後ろで留めず、両サイドに青い魔石が付いたリボンで留めてくれます。

 これは、美少女の定番ツインテールでは無いですか!?

 まさか、自分がこんな髪の結び方をする日が来るとは思ってませんでしたよ。


 メリリアが満足そうな顔して姿見を自分の前に持ってきます。


 うんうん、凄く可愛いよ。

 本当に恐ろしい話です。

 この可愛いエルフが元おっさんなんですよ。


 しばらく鏡の前で首を傾げたり、ドレスを摘んで笑顔を作ったり、クルリと回転して首をちょっと傾けて頬に指を付けるポーズをしてみたりと可愛いを堪能した。


 うん、マジで可愛いって正義だね。


「うふふ、本当に可愛いわー、アリシアちゃん。お母さんにも見せてちょうだい。」


 ついつい調子に乗って鏡の前でポーズを決めていたのをバッチリ見られていた。

 うわー、超恥ずかしい。

 鏡の前じゃなくてお母様の前でポーズをしないといけない!?


「さぁさぁ、見せてちょうだいな。アリシアちゃん。」


 お母様にせがまれて、クルリとその場でターンをして首をちょっと傾けて頬に指を付ける。


「んもぅ、なんて可愛いのでしょう。最高に可愛いですわ。」


 身から出た錆とは言え、人までポーズを取るというのはなかなか恥ずかしいものが。

 何度かポーズのリクエストをお母様からいただき応える。


 不思議な事に、リクエストをこなす度に気持ちが高まりノリノリになっていく。

 観客はお母様にメリリアとリフィアのライブショーで盛り上がってしまった。


「奥様、そろそろ移動いたしましょう。」

「もうそんな時間なのね。アリシアちゃん、お姉ちゃんはまだ時間がかかると思うわ。先に下に行きましょうね。」


 ノリノリなライブショーで動き過ぎたせいか顔が火照っている。

 あまりの自分の可愛さに、かなり調子に乗ってしまった。

 これが元の身体でやっていたら大顰蹙だっただろうね。

 こんなに可愛い容姿にしてくれてありがとう神様!!


「アリシアちゃん、これを貴女からお姉ちゃんに渡してあげてくださいな。」


 お母様に可愛いリボンで結ばれた宝石箱のような装飾がされた箱を渡された。


「これは、おねえさまのプレゼントですね?」

「そうよー、アリシアちゃんはまだ小さいから、代わりにお母さんが用意しておきましたの。貴女から渡していただけたらきっと喜ぶと思いますわ。」

「はい!ありがとうぞんじます、おかあさま。おねえさまにわたします!」


 プレゼントが用意出来なくて悩んでたの忘れてたよ。

 妹失格では無いですか......。

 お母様、ありがとうございます。

 中に何が入っているのか分からないけど、ちゃんと渡します!


 プレゼントが用意出来たので、足取りが軽い。

 朝食会場でお姉様の到着を皆で待った。

 いつもは一緒にご飯を取らないガイアも待機している。


 ガイアもお姉様にプレゼント用意したのかな?


「ガゥッ!」


 おー凄いじゃん。渡すき満々だね。魔獣の死骸とかダメだぞ?


「ウゥゥ!」


 なるほど違うと。

 と言うか、何故、喋っていないのに分かる?


「ガゥゥッ!ウゥ!」


 よく分からないけど、分かるのだな。

 難しい事は考えたく無いから、そう言う事にしとくよ。


「ガゥ!」


 ガイアとしばらくどうでも良いやり取りをしていると、メイノワールが部屋の扉を口を開く。


「エルステア様、お成り。」


 メイノワールの言葉と共に、お姉様が部屋に現れる。


 今日のお姉様はとても上品で高貴な雰囲気を感じる装いだ。

 どこかの国のお姫様?いや、女神様ですか?

 真紅をベースに白いフリルの装飾が施された大人っぽい雰囲気のドレス。

 金糸の刺繍が真紅の生地に満遍なく施され高級感を高めている。

 頭には金色のティアラが冠され、赤いリボンが後ろ髪に編み込まれてた。


 腕には、ナーグローア様からいただいたブレスレットも付けている。


 お姉様の姿に息を飲む。

 言葉を発するのが戸惑う。

 その美しさを見ていたい。


「おぉ、エルステア、見違えるほど美しいぞ。5歳の誕生日おめでとう!」

「誕生日おめでとう、エルステア。今日の貴女はまるで女神クローフェニアのように美しく輝いてますよ。」


 お父様はちょっと言葉に詰まったけど祝いの言葉を述べた。お母様は神様に例えてお姉様を褒める。未だお姉様に見惚れていてお祝いの言葉が出てこない。


 いや、ほんとマジで可愛いのよお姉様が!


「おねえさま、たんじょうびおめでとうございます。とてもおきれいです!」


 なんとか声を振り絞ってお祝いの言葉を発した。


「ガウッ!ガゥゥゥッ!ガゥゥッ!」


 ガイアも続いて吠える。多分、おめでとうございますって言ってるはず。


「お父様、お母様、アリシアちゃんにガイア。そしてメイノワール、メリリア、リリア、リンナ、ラフィア、誕生日を祝っていただきありがとう存じます。」


 お姉様は頬を染めならがら、皆んなの前でお礼の言葉を返す。


 メイノワールもメリリア達も自分達にも言葉を向けられるとは思っていなかったので、驚きながらも笑顔でお姉様にお祝いの言葉を送った。


「さぁせっかくの祝いの料理が冷めてしまってはいかん、席に着くが良いぞ。エルステア、其方はこちらに座るが良い。」


 お父様が示した席に着くと、メリリア達が料理を運び込んできた。


 今日はイタリア料理とかフランス料理みたいなフルコースってやつかな?


 始めに出てきたのは何かをムース状して形を整えた料理。

 まだ歯が生え揃ってないので食べやすい。が、味はよく分からない。ちょっと苦いかも。


 次に出てきたのはスープだ。これはコンソメスープかな?透き通って底が見えるくらい澄んでいる。これは美味しかった!また飲みたいかも。


 次は肉と野菜の料理が出て来た。ミルフィーユみたいに肉と野菜が交互に挟まれている。ナイフとフォークが使えないので、お母様が切って食べさせてくれた。ソースが何とも言えないくらい美味しいのだ。これは食べた事がない味です。少し酸味が効いていて食欲を誘った。


「このバラパラの肉の脂が口の中で蕩けるな。美味いぞ。」

「ええ、蕩けた脂に肉と野菜の旨味が絡まってさらに美味しさを増しますわね。」


 皆んなとても口々に料理を褒めている。

 うん、これは本当に美味しいよ!


 次も肉料理が出て来た。

 もうお腹いっぱいで入らない。

 香ばしい匂いに憎らしい。


 どう頑張ってもお腹に入る気がしないので諦めた。

 悔しいよー。満足なんだけど、満足に食べられない。


「アリシアちゃん、もうぽんぽんいっぱいなのね。」

「うぅ、ごめんなさい。」

「小さいのですから気にしなくて良いのですよ。」


 自分の前に出た肉料理が下げられていく。

 はしたないと言われそうだけど、名残惜しそうに目で追った。

 はぁ、早く成長しないと美味しいものすらいっぱい食べられない!ふぬぅ!!


 それからいくつか料理が出てくるが、悲しい事に自分の前には置かれない。


 メリリアが代わりに甘いジャムのようなものが付いた焼き菓子を置いてくれた。

 はわぁ、これ食べて良いのですか?


「あまり食べすぎちゃダメですよ。ちょっとずつお口にしなさいね。」

「はい、おかあさま。」


 皆んなが料理を食べている間、お菓子を少しずつ食べて待った。


 最後にデザートが出てくる。これは自分にも置いてくれた。アイスクリームのように冷たいデザートだ。でも、食感は自分の知っているアイスクリームのような滑らかな感じではない。口に入れた瞬間にシュワッと溶けて甘さが広がっていくのだ。


 炭酸のような爽快感があって癖になりそう。


 確かにこれなら満腹の自分でも食べられます!


 最後まで皆んなと一緒にご飯が食べられて満足でした!

 うちのシェフは本当に凄いですね。




 皆んなお腹いっぱいになったので、部屋を移して食休みです。


「それでは、エルステアに誕生日プレゼントを渡そう。皆の者、準備は良いか?」

「はいっ!おとうさま!」


 ふふん、お母様が用意してくれたプレゼントがあるのですよ!さぁ、早く渡してお姉様の喜ぶ顔を見させてくださいな!!


「では、先ず我からいこう。エルステアこちらに。」


 お父様が手招きすると、そこには小さな小箱が置かれていた。


「この箱を開けるが良いぞ。」

「はい、お父様。何が入ってるのでしょう。」


 またお父様の事です、凄いビックリ驚くプレゼントが入っているはず!


 思わず唾を飲み込んで、お姉様が箱を開けるのをジッと待った。


「まぁ、これは卵ですか?」


 ガイアがピクリと反応する。

 ダメだよガイア、食べ物じゃないと思うよ!


「うむ、これは幻獣ライオコーンの卵である。其方ももう5歳だから幻獣を使役して良い頃だ。しっかりと孵化させて育てるのだぞ。」


 幻獣の卵ですって!どこからそんな物持って来たんですか!?まさかあの冬の狩の時?ふーむー本当に色々出てくるよねー。実は、青い猫もどきみたいなポケット持ってるんじゃないですか!?


「あらあら、エルステア良かったですわねー。ライオコーンは貴方にぴったりですわ。卵をしっかり抱いて温めてあげるのですよ。この様子ですと二、三日で産まれると思いますわ。」

「はい、お母様。お父様、とても素敵なプレゼントありがとう存じます。大事に育てますわ。」


 お姉様は、箱から卵を出して温めるように抱いた。


 女神様が卵を温めていらっしゃいますよ!

 なんという事でしょう、聖母です!

 お姉様の一挙手一投足に興奮してしまう。


「次はユステアか?」

「私からはこちらを」


 お母様の言葉にリリアが箱を持ってくる。あの箱の大きさはドレスですね。もう覚えたので直ぐに分かるのだ。


「エルステア、改めて誕生日おめでとう。貴方も大きくなりましたから、こちらのドレスを贈らせていただきますね。」


 リリアが箱からドレスを出して、テーブルに広がる。

 純白の生地に金色のフリルが付いた豪華なドレスだ。お姉様の着ているドレスより更に高級感がある。


「こちらの魔石に貴方の魔力を流してご覧なさい。」


 お姉様は胸元に輝く真紅の魔石に魔力を込めていく。込めていくうちにドレスから赤く光るラインが現れ広がっていく。


 何ですか、これは!?


「はい、そこまでで充分ですわ、エルステア。」

「お母様、このドレスはいったいなんですの?魔力がドレスに通っていったように思えますわ。」


 魔力を纏ったドレスって感じですかね。

 何かめちゃ強そうじゃない?

 これも一種の魔道具ってやつなのかな。


「このお洋服は貴女の魔力を円滑に流す力を宿しているの。これから沢山の魔法を覚えて行使する時に役立つのよ。あと、いくつか対魔法、対物理の魔法陣も組み込まれている防御機能も備わってますわ。」


 この後も嬉々として説明を続けるお母様。

 とりあえず、お姉様の魔力でしか動かないもの凄いドレスという事だけは理解した。


「お母様、この様な貴重なドレスをくださってありがとう存じます。魔力を使う時はこちらを使わせていただきますわ」


 お姉様はいただいたドレスをうっとり眺めながら感触を確かめている。


「最後はアリシアかな?」

「ガウッ!!」

「おお、ガイアもおったか。其方が先か?」

「ウォンッ!」


 はい、どうぞガイアさん。

 トリはいただきますね。


 ガイアは部屋から出てから、小さな何かを加えて戻ってきた。


「ガウッ!」


 お姉様の手に加えた何かを落とす。

 その途端、手に置いた何かがリーンと音を立てて光だし宙を舞った。

 空に上がった光はすっーと降りてきて、お姉様の前で静止する。

 静止したと思ったら、またリンリーンと音を出しお姉様の周りをグルグルと動く。


「まぁ、綺麗な光ですわ。」

「これは、光の精霊の眷属ニーフですわね。ガイアよく見つけて来ましたわね。」


 このリンリン音を出してグルグル周る怪しい物体は妖精なんだ。

 こいつは害とかないのかな?お姉様に何かあったら大変だよ!


「ニーフはね光の属性が強い人に仕える習性があるの。エルステアは光の属性が強いから主人として認められたようですわ。」

「ガウッ!!」

「まぁ、そうですの?私に二つも仲間が出来てしまったのですね。ニーフこれから仲良くしてくださいね。」


 リーン、リーンとニーフは音を立てると、お姉様の肩に止まった。


 お姉様に光の眷属が仲間になったようです。

 凄いよお姉様!妖精を従えちゃいました。


「ガイア、新しい仲間を連れてきてくれてありがとう存じます。」

「なかなかやるではないかガイア。其方は子供をあやすのが本当に達者であるな。」


 ガイアは誇らしげな顔でお姉様に抱きしめられている。


 ぐぬぬ、ガイアには負けん!


「では、最後だな。アリシア。」

「はい、おとうさま。」


 お母様から預かったプレゼントをお姉様の前に差し出す。


「おねえさま、おたんじょうびおめでとうございます。これをうけとってください。」

「ありがとう存じます。アリシアちゃん。まぁ何が入ってるのかしら、楽しみですわー。」


 お姉様は受け取ってくれた箱のリボンを取って中を見る。

 自分も中身を知らないので、一緒に覗き見た。


 そこには、2つのイヤリングが入っている。

 細長い赤色の宝石が3つも付いて金の装飾が施されたイヤリング。

 お母様が贈ったドレスにも似合いそうな綺麗なアクセサリーです。


「まぁ、素敵なイヤリングですわ。私、イヤリングを貰ったのは初めてですの。アリシアちゃんが初めてでお姉ちゃん嬉しいですわ。」


 やふー!お姉様の初めていただいちゃいました!!


 何が入っているかドキドキだったけど、すごくお姉様が喜んでくれたので良かったです!

 さすがお母様の見立てで見繕われたプレゼントですね。


 皆が贈るプレゼントにぶったまげていたのと、お姉様に贈ったプレゼントが成功した事で緊張が解かれていきます。




 ええ、緊張を解くのが早すぎました......。


 一気にお腹に溜まっていたおしっこが噴出し、下半身が膨らんでいくのを感じます。


 何故、我慢できないのか?


 まだ慌てる時間ではない......バレなければどうという事はないのだ。




 黙っていればと思ったが、あっさりお母様とメリリアに勘づかれました。


 今日は、お姉様の誕生日です。


 何故か?お姉様がおむつを替えたいと進言するのです。


 お姉様、そこを強く拭いてはいけませんの!!


 アッー!


 デリケートな箇所は優しくしてくださいませ......お姉様。

イヤリングを贈られた最初はアリシアちゃんです。

そして、お返しにお姉様、初めてのおむつ交換に挑戦!

何がどうなったかは内緒です。


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いつもお読みいただきありがとうございます!!

読んでくださる方が日に日に増えて感激してます。

これも皆さまの応援のおかげと感じております。


読んで面白いと感じていただけましたら、是非、ブクマもしくは評価をいただけますと励みになります!

毎日、1話更新を継続中です。

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

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