表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ここから始まる

作者: ユンタ

〜注意書き〜


初投稿です^^;


かなり暗いような感じの話です。


おkの方はどうぞ。


後、双子はどちらも男です。


その日は昨日から雷を伴う激しい雨。


耳をふさぎたくなる。


朝になって雷は通りすきたものの、水の粒が絶え間なく地面に叩きつけられていた。


霜月小春は昨日から泣いていた。


色素の薄い目は赤く腫れ上がり、なんとも痛々しい。


その様子を兄である霜月千歳が見守っている。


二人の家は教会で、今日大切な用事があるというのに、小春がいつまでも泣きやまないのが少々心配のようだ。


「お兄ちゃんは強いよ・・・・・・。どうして泣かないでいられるの?」


小春の唐突な質問に千歳は返すことが出来なかった。


泣かないでいられるわけがなかった。


自分だってどうしようもないくらい悲しいし、不安でしょうがない。


だが、小春がこんな状態なので『自分がしっかりしなくては・・・』と思ったのだ。


兄だから・・・・・・。そんな気持ちが千歳を動かせていた。


兄といっても彼らは双子で見た目はさほど変わらない。


違うところは、髪・目の色素の濃さ。


それは母親がアメリカ人というのが原因であろう。


「小春・・・・・・もうすぐ時間だ。そろそろ準備しないと・・・「そうだよね!ごめんねお兄ちゃん、僕泣き虫で。」


千歳が言い終わる前に言葉を遮り、無理やり明るく振舞った。


小春のその引きつった笑顔を見た千歳は、やるせない気持ちでいっぱいだった。


でも、もうしょうがない事なのかもしれない・・・。









今日は両親の葬式だ。










葬式の準備も着々と進み、親戚が集まってきた。


誰も呼んだわけでもないのに・・・。


誰にも知らせていないはずなのに・・・。





ある者は小春の腫れた目を見て同情してきたり、ある者は他人のようなことを言ってきた。


ましてや誰かも分からないような奴もいた。




式も中盤に差し掛かりほっとしていた頃、母親の姉だと主張する女が現れた。


彼女は彼等に話しかけてきた。


千歳は嫌な感じを受けたが、話しを聴くことにした。


内容は、一緒に暮らさないかということだった。


もちろん条件付で。


それは遺産を全部渡すことだった。


ごく普通の条件だった。


遺産をすべて渡しても小学生である彼等を育てるとなると、その倍以上のお金がかかるだろう・・・。



彼等は考えた。


確かに親なしで生活することは困難極まりない事だ。


だが両親が守ってきたこの教会を、離れることはしたくなかった。


それに『本当に母の姉なのか』にも疑問であった。





彼等は、誘いを断った。


これでいい、と。


二人で逞しく生きていく、と。


そう二人で決めた。





葬式は思っていた以上に早く終わった。


後は棺を埋めるだけなのだが、雨なので出来なかった。


次々に親戚の人たちが帰ってゆく。


小春は棺に横たわる両親を見つめ、楽しかった日々を思い返していた。


草原を駆け回ったり、絵本を読み聞かせてもらったり・・・。


仕事が忙しくてなかなか会えなかったけど、たくさんの幸せを二人はくれた。


でももう、『ただいま』といって抱きしめてくれないのかと思うと、涙が止まらない。



ふと辺りを見渡すと、千歳がいないことに気が付いた。


まさかと思い、勢いよく外に飛び出した。


千歳まで自分をおいて、行ってしまったような気がした。


『一人にしないで!!!』


小春は心の中で叫びながら、土砂降りの雨の中を駆けた。





家の裏側に差し掛かったところで千歳を見つけた。


嬉しくて名前を呼ぼうとした、でも声が出なかった。


千歳が泣いている。雨のせいかもしれない。でも泣いているように見えた。


小春は、『ああ、自分だけが悲しいわけじゃない。お兄ちゃんも同じ気もちだったんだ。』と、そう思った。


小春は一旦家に戻り、タオルと傘を持って再び千歳のところに駆けつけた。


「お兄ちゃん、家に入ろう??」


千歳は驚いていた。でもすぐに笑顔になり、前を向いて、


「うん・・・。」


と頷いた。







もう泣かない、もうくじけない。どんなことがあっても二人で乗り越えてみせる。


そう心に決め、二人は家に向かって歩き出した。

読んでくださってありがとうございました^^


これからもよろしくお願いします><b

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おれも子供の頃は、両親が死んで、子供だけで生活するロビンソン・クルーソーのような生活を夢見ていました。現実はちがいますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ