ここから始まる
〜注意書き〜
初投稿です^^;
かなり暗いような感じの話です。
おkの方はどうぞ。
後、双子はどちらも男です。
その日は昨日から雷を伴う激しい雨。
耳をふさぎたくなる。
朝になって雷は通りすきたものの、水の粒が絶え間なく地面に叩きつけられていた。
霜月小春は昨日から泣いていた。
色素の薄い目は赤く腫れ上がり、なんとも痛々しい。
その様子を兄である霜月千歳が見守っている。
二人の家は教会で、今日大切な用事があるというのに、小春がいつまでも泣きやまないのが少々心配のようだ。
「お兄ちゃんは強いよ・・・・・・。どうして泣かないでいられるの?」
小春の唐突な質問に千歳は返すことが出来なかった。
泣かないでいられるわけがなかった。
自分だってどうしようもないくらい悲しいし、不安でしょうがない。
だが、小春がこんな状態なので『自分がしっかりしなくては・・・』と思ったのだ。
兄だから・・・・・・。そんな気持ちが千歳を動かせていた。
兄といっても彼らは双子で見た目はさほど変わらない。
違うところは、髪・目の色素の濃さ。
それは母親がアメリカ人というのが原因であろう。
「小春・・・・・・もうすぐ時間だ。そろそろ準備しないと・・・「そうだよね!ごめんねお兄ちゃん、僕泣き虫で。」
千歳が言い終わる前に言葉を遮り、無理やり明るく振舞った。
小春のその引きつった笑顔を見た千歳は、やるせない気持ちでいっぱいだった。
でも、もうしょうがない事なのかもしれない・・・。
今日は両親の葬式だ。
葬式の準備も着々と進み、親戚が集まってきた。
誰も呼んだわけでもないのに・・・。
誰にも知らせていないはずなのに・・・。
ある者は小春の腫れた目を見て同情してきたり、ある者は他人のようなことを言ってきた。
ましてや誰かも分からないような奴もいた。
式も中盤に差し掛かりほっとしていた頃、母親の姉だと主張する女が現れた。
彼女は彼等に話しかけてきた。
千歳は嫌な感じを受けたが、話しを聴くことにした。
内容は、一緒に暮らさないかということだった。
もちろん条件付で。
それは遺産を全部渡すことだった。
ごく普通の条件だった。
遺産をすべて渡しても小学生である彼等を育てるとなると、その倍以上のお金がかかるだろう・・・。
彼等は考えた。
確かに親なしで生活することは困難極まりない事だ。
だが両親が守ってきたこの教会を、離れることはしたくなかった。
それに『本当に母の姉なのか』にも疑問であった。
彼等は、誘いを断った。
これでいい、と。
二人で逞しく生きていく、と。
そう二人で決めた。
葬式は思っていた以上に早く終わった。
後は棺を埋めるだけなのだが、雨なので出来なかった。
次々に親戚の人たちが帰ってゆく。
小春は棺に横たわる両親を見つめ、楽しかった日々を思い返していた。
草原を駆け回ったり、絵本を読み聞かせてもらったり・・・。
仕事が忙しくてなかなか会えなかったけど、たくさんの幸せを二人はくれた。
でももう、『ただいま』といって抱きしめてくれないのかと思うと、涙が止まらない。
ふと辺りを見渡すと、千歳がいないことに気が付いた。
まさかと思い、勢いよく外に飛び出した。
千歳まで自分をおいて、行ってしまったような気がした。
『一人にしないで!!!』
小春は心の中で叫びながら、土砂降りの雨の中を駆けた。
家の裏側に差し掛かったところで千歳を見つけた。
嬉しくて名前を呼ぼうとした、でも声が出なかった。
千歳が泣いている。雨のせいかもしれない。でも泣いているように見えた。
小春は、『ああ、自分だけが悲しいわけじゃない。お兄ちゃんも同じ気もちだったんだ。』と、そう思った。
小春は一旦家に戻り、タオルと傘を持って再び千歳のところに駆けつけた。
「お兄ちゃん、家に入ろう??」
千歳は驚いていた。でもすぐに笑顔になり、前を向いて、
「うん・・・。」
と頷いた。
もう泣かない、もうくじけない。どんなことがあっても二人で乗り越えてみせる。
そう心に決め、二人は家に向かって歩き出した。
読んでくださってありがとうございました^^
これからもよろしくお願いします><b