不幸の手紙 part3
現在時刻、22時40分。
いつもと変わらない1日が、もう夜を迎えている。
自分の部屋でくつろいでいると、ふと机の上に目がいく。
「…………あ。そういえば」
私は机の上に置いてあった例の手紙の存在を思い出した。
カロから手渡された、内容がしょうもないような手紙。
「はあ…………どうしようかな、捨ててこようかな」
こんなもの持ってても私には何の得もないし、気にするだけ時間の無駄だ。
いっそ燃やしてしまった方が楽かとも思えてきて、部屋にかあるかもしれないライターやマッチを探し始める。
「ライターライター………あ、あった。」
部屋は片付いていたのですぐに見つけることが出来た。
この頃になってようやく、私は不幸の手紙なるものを受け取った人の気持ちがなんとなく分かった気がする。
さすがに部屋の中はまずいので、外に出て手紙を早速燃やしてしまおう、と思った。
すると、廊下の方からドタドタドタと誰かが走っている音が聞こえた。誰だろうこんな時間に……。
しかもその足音はこちらに近づいてきているようで、無意識に身をこわばらせてしまった。
それに気づくと同時に部屋の扉が勢いよく開いた。
「_____晴飛!!!!無事!?」
部屋に飛び込んできたのは、さなだった。
見知った顔の人物であったことから、ほっとしたのもつかの間、さなが私の近くにずんずんと近づいてくる。
「え、こんな時間にどうし………」
「晴飛!えっと…あ!今持ってるそれ、危険なものなの!私に渡して!」
私の声を遮って、さながいつもより息を荒らげて必死に訴えてくる。
“危険なもの”とはこのライターのことかと思った私は、さなが言う通り手渡した。
「ああ、ごめん。これのこと?」
「ちっ違うよ!!ライターじゃなくて………」
と言いながら、さなはライターを持っている手とは逆の手を指さす。
まさか、この手紙のこと?
「これがどうかしたの?」
「お願い!このままだと、晴飛が……」
さながちらちらと、さっきから時計を気にしている。
現在時刻、23時半。
「~~~~っいいから、お願い!渡して!」
あまりにも必死に言ってくるので、私はとりあえず手渡した。
「ありがとう!!」
と言うと、さなはまた走って行ってしまった。
晴飛の部屋から出た。
すでにとても息があがっている。でも、急がなきゃ……これは私にしかできないことなんだ……!
そして目指していた場所についた。
そこに真っ黒の服を着て、フードを深くかぶった誰かがいた。
「はあ……はあ…………ついた……。」
「間に合いましたね。お疲れ様です」
するとその"誰か"はこちらをむけて手を差し出した。
私はその手に手紙を置いた。
「……本当にこれでいいの?これで晴飛は助かるの……?」
「はい。もう大丈夫ですよ。」
"誰か"がそう言った瞬間、目の前が眩しく光った。
眩しくて何も見えない。何が起こってるの………?
そう思ったのもつかの間、すぐに視界が戻った。
目の前の人物は何事もなく立っていた……が、その人の手から手紙が消えてる?
「……あの……?」
「……ああ、本当にもう大丈夫です。さて、はやく帰った方が良いですよ、夜も更けていますし」
「…………わ、わかりました。さようなら…」
私はその"誰か"に背を向けて、家に帰ろうとした。
一応お礼を言っておこうと思って振り返ると、そこにはもう誰もいなかった。
次で不幸の手紙は最後にする!
すぐかく