不幸の手紙 part1
ある日、私に1通のメールが届いた。
『今日の23:59までに、この内容のメールを5人以上に送らなければ、あなたの元に不幸が訪れます。』
私はこれを読んで思わず笑ってしまった。
このメールの送り主は、愛称ごりり…もとい”さな”からだった。
あの子がこんなものを信じているというのにも笑ってしまったが、何より______
「今回は随分回ってくるの遅かったかな?まあ5人以上っていったら5人にしか回さないか」
_______このメールを作ったのは、私本人だからだ。
「初めて作った時はどうなるものかと思ったけど、もう大分慣れてきちゃったなあ」
さなが私に送ってきたのなら、周りの人にも送っているんだろう。
「…ふふ」
明日はみんなの様子を確認してみよう、と考え、私は眠りにつくことにした。
次の日
私は目が覚めてから、リビングに向かうことにした。
リビングのドアを開けると、こくめし、いちご、いりまめ、棺がいた。
「おはよーみんな朝早いね」
私が挨拶すると、それぞれが返してくれる。
「あっおはよう」
「晴飛やっぴー」
「おはよー」
「おはよう。晴飛も早いね」
ここは”イカ活”というとあるチームのシェアハウス。
私もこのチームの1人なので、ここに住んでいる。
挨拶のあとはしょうもない雑談をしていた。
「…………ねえ」
と、いちごが何やら話し始めた。
「昨日……みんな変なメール届かなかった?……『5人以上に送らないと』~みたいな……」
この話題が出た時私は笑いを堪えるのに必死だった。
でも私は、慣れのおかげか全然表情には出すことは無かった。
「あー……それって、チェーンメールみたいな感じの……だよね。私のところにもきた」
「最近増えてきたよね、なんでだろ」
「発端はどこか知らないけど、子供の中で流行るとついつい送っちゃって……終わらないもんな」
どうやらここにいるみんなには、誰かからは届いたらしい。
私はこのチームの人に送った訳では無いので、大分大回りをしてここにも広まってきたんだろう。
何も言わないのもおかしいと思い、私も一応会話に参加する。
「なんでこういうのができちゃうんだろうね~」
まあ私とか、こんな思考の持ち主のせいだが。
すると棺が思いもよらないことを言った。
「確かにね……あ、でも自分で作って、回っていく様子みてるの面白いんじゃない?」
核心を突かれたような気がした。というより、棺も私と似たような思考の持ち主なのかもしれない。
「ええ~何言ってるの棺!そんな人ハイカラシティにいないって!」
いるんだけどね。
「まあ、仮にいたとしてもさ……回す人が信じちゃってるのが悪いっていうか、回さなければいつか終わるよね」
「分かっていても、自分の身に何か起こるかもしれないことが嫌なのかな」
「もう遊びのひとつと思ってもいいくらいだよね。起こるわけないと思うし……」
みんな表面上では信じていないような口振りだけど、いざ自分の元に来ると送っちゃうんだよな。
すると、朝ごはんが出来上がったようで、話は切り上げとなった。
まだ起きていないメンバーを起こしてから、みんなで朝ごはんを食べることにした。
不幸の手紙と不幸のメールを間違えたわけではないです。
あってます。