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魔導書はかく語りき  作者: 絢野悠
《魔法少女と腐った聖人》
77/225

最終話

「新しい師匠って……」


 そう言いながらドアの方へと振り向いた。


「久しぶりだな、ロウファン」

「やっぱりかよジジイ……」


 俺たちをスルヴァンに無理矢理連れていったあのジジイだ。


「そう言うな、新しい師匠だぞ? ツーヴェル様から言われたとはいえ、お前のことは気になっていたからちょうどいい」

「気になってたって、気色悪いこと言うなよ」

「お前の才覚を認めている、ということだよ。お前はこれから、ワシとともに魔操師として成長していく。その覚悟はあるか?」

「覚悟が必要なことをさせるってことか?」

「それはお前次第だ。が、このままでは英雄ヘリオードとは戦えない。それはお前が一番よくわかっているはずだ」


 わかっている。徹頭徹尾、俺はアイツには敵わない。ジジイに教えを請えば戦えるというのなら、俺はそれにすがるしかない。


「わかった。俺はアンタについていく。アンタは信用できるからな」


 いろいろ引っ張り回されたが、それでもコイツのおかげで俺は強くなれた。ヴェルのもとにいるよりも確実に階段を登れる。


「いいだろう。それじゃあツーヴェル様、ロウファンを借りていきますぞ」

「おういいぞ。好きに扱ってくれ。死んだら……それはそいつが弱かっただけの話だ」

「御意。それではいくぞ」

「行くってどこにだよ」

「ウエストレギオン、サイバール山脈だ」


 サイバール山脈。ウエストレギオンでも高レベルの魔獣がいると言われている場所。今の俺では倒せないような、凶悪な魔獣がたくさんいるだろう。


「あの」


 レアが立ち上がった。


「私も、連れて行ってはもらえないでしょうか」

「エメローラ……いや、今はレアだったかな。キミには少々辛い修行になる。できれば姉妹たちと一緒に、ツーヴェル様の元で暮らして欲しいものだ」

「私でもなにかできることがあると思うのです。お願いします、ギュンターク様」

「ツーヴェル様、どうなさいますか?」


 じいさんがヴェルの顔色を伺う。


「いいんじゃないか? レアにもレアなりの覚悟があるんだろう。それに、レアの命を救ったのはロウだからな。ロウについていきたいという気持ちは尊重してやりたい」

「わかりました。しかし、ついて来られなくなったその時、ワシは問答無用で切り捨てます。ご容赦くださいませ」

「大丈夫だ。女っつーのはな、以外と強い生き物なんだよ」

「そう言われると……そうですね、わかりました。ロウファン、レア、すぐに支度をしろ。すぐにここを発つ。時間はないぞ」

「わかった」

「わかりました」


 パンっと、ヴェルが手を叩いた。


「それじゃあ話は終わり。解散して各大陸に戻ること」


 こうして話は終わった。そして、俺たちの新しい生活が始まる。今までとは違う、きっと過酷な生活を強いられるだろう。


 それでもいい。俺は最初からヘリオードさえ倒せればそれでいいのだから。そのために、できることは全力で挑んでいかなければいけないのだ。


 そう、なにを犠牲にしても、俺は俺の野望を果たすと、あの時に決めたのだから。


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