二十二話
ルノレアンファスが立ち上がると、エメローラも立ち上がった。
「ヌシはこれからワシの主人となる。契約の犠はあの小僧がやったから、ヌシがやることはなにもしなくていい。このまま目を閉じれば勝手に外の世界だ。だが気をつけろ、傷が完全に癒えたわけじゃない。魔力の流出が止まっただけにすぎない。治癒が早まったりすることはあるが、それ以上でも以下でもない」
「ええ、感謝します」
「感謝ならば小僧に言え。ヤツが自分で考え、自分でやった。ワシは小僧に言われたままに儀式を行ったにすぎないからのう」
「そうですね、ロウにもちゃんとお礼は言います。でも私はアナタにもお礼が言いたい」
自分が引くはずだった最後のカードを引いた。カードの一番上は9だった。
「私は一度死んだ。そして別の人間として生まれ変わります。もう神にも祈りません。そんな私でも、一緒に歩んでくれますか?」
「強運女だな、ヌシは。いいだろう、このルノレアンファス、ヌシを主人と認めよう。ワシのことはファスとでも呼ぶといい」
「よろしくお願いしますね、ファス」
「ああ、こちらこそのう」
同時に手を伸ばし、交わった。固い握手が交わされた次の瞬間、エメローラは強烈な光に包まれた。
温かな光。この光が自分の命の光だと、エメローラはそう思った。




