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魔導書はかく語りき  作者: 絢野悠
《魔法少女と血濡れの英雄》
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四十四話

 ここで闇雲に魔女開放形態を使ってしまえばそれだけ魔導力を消費してしまうのだ。それに魔女開放形態で魔導力が消費されたと相手に知られれば付け込まれる要因となってしまう。


「それじゃあ、みんなでロウを守りましょう」


 シスターズが一斉に頷く。


 この行動を見ても、スリエルとヴォルフは俺がなにをしようとしているのかが理解できないようだ。


 その証拠に、魔法少女たちの相手をし続けている。


「できるかどうかは不明だが、今はやるしかないな」


 俺は意識を集中させ、新しく契約した魔導書と黄の大魔導書を重ね合わせた。


 魔導書と契約できる数は基本的に三冊と言われている。それは自身の魔導力の消費量や精神強度によるところが大きい。あまりにも多くの魔導書と契約しすぎれば魔導力が過度に消費されることもある。それによって精神が摩耗することもある。契約者と魔導書の相性というのもあるらしい。


 さまざまな理由によって、四冊以上は契約すべきでないとされている。


 しかし、イツカのように数多くの魔導書と契約できるものも世の中にはいる。特に魔女は魔導力が一般人とは比較にならないため可能だと思われる。それでも他の魔女よりも契約できる魔導書が多いのは「契約することに長けているから」としか言いようがない。と、ヴェルが言っていた。


 つまるところ俺にもその「契約することに長けている」才能がある。だからこそさまざまな魔導書と契約することができる。


 それがここにきて有用な能力だなどと誰が思うだろうか。


 俺が思うにスリエルはまだ万全な態勢ではないはずだ。万全であったのならばヴォルフのクローンを大量に製造する必要はないはずだ。この城の下部で信者を殺し、人体を魔導力に変換する必要もない。それはつまり、今のスリエルには魔導力が不足しているということになる。どれだけ不足しているかどうかは不明だが、もう少しで態勢が整う、ということはないだろう。もしもそうであれば、今の状態でスリエルが出てくる必要がないからだ。玉座に座って魔獣のクローンや部下たちが人を殺すのを見ていればいいんだから。


「ロウ、時間は?」

「わかるわけないだろ。やるのも初めてなんだぞ」

「わかりました」


 と、レアが剣を構えた。


「私がアナタを守ります」

「無茶はするなよ」

「そうですね。無茶はしませんよ」


 レアが柔和に微笑んだ。


 一瞬で理解した。この女は、自分の命を捨てる覚悟があると。


「信じよう」


 そうして、俺は魔導書に魔導力を込めていった。


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