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2 決戦 VS魔王城?

 木々が吹き飛ばされる。


 地面がえぐれる。


 土ぼこりがもうもうと舞う。


 シャレにならーん!


 私が前世で日本人だった頃、ロールプレイングゲームをしながら不思議に思っていたことがある。


 何故、魔王は魔王城にこもってて、外に攻めてこないんだろうか、と。


 自分がいちばん強いんだから、自分で攻めてこいよ、と。


 ごめんなさい。


 あやまります。


 私がまちがっていました。


 まさか、魔王自身が魔王城だったとは……。


 ちょっとした足が生えてるけど、これじゃあ、遅すぎて四天王まかせにもなるよね。


「おっりゃー、死ねや、魔王ー! 喰らえー、魔王封陣斬!」


 何度目だろう。


 勇者ラルフの聖剣エクスカリバーが光の斬撃を飛ばす。


「ちぃっ! ウィンディーネ、下がって! サラマンダー、代わりに防御を担当して! ノーム、なんとか地下から魔王を揺さぶって!」


 魔王のところにたどり着くまでに、仲間が何人か戦闘不能となって、勇者一行は四人となったらしい。


 精霊術師のシーラが、なんで私が防御を担当しなきゃならないのよ、と昨夜ブツブツと文句を言っていた。


 召喚獣術師のトールは真っ赤な目をして、ワイバーンとグリフォンとケルベロスに指示を飛ばしている。


 どうやら、思念みたいなもので召喚獣と繋がっているらしく、疲れがありありと顔に出ている。


 王太子様は治癒魔術が専門ということで、誰かがケガをしない限り出番はないらしい。


 とはいえ、魔王ビームの威力を考えれば、かすっただけで死ねるよねー。


 魔王城(魔王)から放たれるビームみたいな攻撃は、今のところ精霊たちが防いでくれている。


 でも、どう見ても防戦一方だ。


 攻撃がまったく魔王城に通じていない。


 勇者の攻撃はすべて弾き返されている。


 魔王城に近づいた召喚獣はビームを至近距離からくらって、ボロボロになって逃げてくる。


 精霊たちも次第に弱ってきている。


 最初のうちはすべて防いでいた魔王城のビーム攻撃も、今ではすぐそばに着弾することがある。


 手詰まりだ。


 胸ポケットの中からふと見上げると、王太子様が今にも泣き出しそうだ。


 そうだよね。


 治癒専門の王太子様には、今のところできることは何もない。


 とはいえ、自分もみんなの役に立ちたい、ということだよね。


 うんうん、さすがは私の理想の弟くんだね。


 お姉さん、ちょっと萌えてるよ。


 不謹慎だけど。


 涙目になった王太子様もかわいくてかわいくて……おっと、いかんいかん、命が風前の灯だというのに。


 とはいえ、ハムスターごときに何ができるだろうか? 


 いや、できることなど何もない。


 えーっと、たしか反語だよね、これ。


 昔ならったな。


 なんだろう、ハムスターに生まれ変わったせいか、緊迫感ないよね、私。


 でも、私にできることなど、死の直前まで王太子様のご尊顔を拝し奉ることぐらいだ。


 そう心に決めた私は、胸ポケットから顔をのぞかせ、キラキラと目を輝かせて王太子様を見つめていた。


「あっ! ラルフ危ない!」


 王太子様の甲高い声で、ふと勇者のいたほうを見る。


 げっ!


 勇者、こけてる!


 まずいね、と思った時には、すでに王太子様は走り出していた。


 えっ? 


 王太子様、防御魔術とか使えるの?


 使えたとして、魔王ビームを防げるの?


 そう思った時には、王太子様はもう勇者の前に立っていた。


 そして、次の瞬間、目も眩むほどの魔王ビームが、私たちの目の前に迫っていた。

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