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サブテキスト1

***



それはある寒い夜のこと、ポレクラス地方チェチクラス村のことである。


青年ドウエの見合い相手エシイの家から帰り道。


フラフラと歩いている。

目の前の林がざわざわと動く。


これは何かとドウエが目を凝らす。


林からヌッ!と羆の頭が現れた。その距離わずか2メートル。


これはまずい。ドウエは背を向け一目散に駆けた。羆はドウエより速い。追いつくや否や一殴り。


ドウエは撲殺されてしまった。羆はドウエの死体を引きずり林の闇へと消えていった。



***



翌日、ドウエが帰らぬことを心配した村人は捜し回った。


そして村を下ったところにある川辺だ。食い散らかされたドウエの遺体を見つけた。


村人は怪訝な顔をした。この手口は恐らく羆だろうが、羆は今冬眠しているはずである。


そこで村のハンター集が羆を狩ることになった。


ハンター達は洋々と森に入っていった。



***



その日の夕方。ドウエの遺体はドウエの実家に持ち込まれた。


葬式が行われた。葬式はドウエの親族とエシイの者と村人でたくさんだった。


外で何かのうめき声がした。


村人のポルトが外に出てみるとそこには羆がいた。


ポルトは家に飛び込もうとした。


羆はポルトの尻に噛みつき引きちぎった。倒れたポルトは羆に頭を圧し潰された。


羆は家に上がった。村人は逃げる。


一歳と三歳の子を抱えた女ツェミラは台所の裏口へと向かう。羆はツェミラを追い背中を引き裂いた。ツェミラは倒れた。


羆はツェミラと一歳と三歳の子らを噛みまくった。


ツェミラの夫ペトルトが角材を持ってきた。三人はズタズタに引き裂かれて死んでいた。ペトルトはその場に座り込んでしまった。


羆は三人の死体とじゃれていた。そして、棺を壊してドウエの死体を咥えた。森に帰っていった。



***



ハンター達は山の中を探したが羆を見つけられなかった。日も落ちて冷えてきたのでたき火で暖をとっていた。


ハンター達は羆は火に寄ってこないと思って銃を置いていた。


ハンターの一人のレナゼフィが便意を催し仲間の元から離れた。


ハンターのカナチ、ウルウ、パーピョの三人は羆はいったいどこにいると話した。林の奥から物音がした。


火で人間を知らせているから羆ではないとパーピョが振り返った。


羆がいた。


羆はパーピョの顔面を鋭い爪で切り裂いた。パーピョの顔はめり込んでいた。


カナチとウルウは混乱して銃を取り損なった。


羆はカナチにのしかかり脇腹に噛み付いた。カナチははらわたを引きずり出されて死んだ。


羆はウルウに近づいた。ウルウは動くことができなかった。羆はウルウの太腿に噛みつき食べ始めた。


レナゼフィが用を終えて戻ろうとするとたき火の方から痛えよぉ、痛えよぉ、助けてくれよぉ、と泣くパーピョの声がした。


レナゼフィが目を凝らす。たき火の近くに熊がいた。羆がパーピョを食っている、あの羆は人の味を覚えていたのか!とレナゼフィが思った。


レナゼフィは羆に気づかれぬように村へと走って戻った。



***



レナゼフィは村に戻るとよその村に応援を頼んだ。チェチクラス村はハンターが二十人と鍬や鉈を持った村人になった。


羆が人の味を覚えているならまたこの町に来るはずだと言って、村の周りに柵を作りそこに鈴をつけた。


ハンター達と村人は眠れぬ夜を過ごした。


チャリ、チャリン。鈴が鳴った!


ハンター達と村人は鈴の鳴る方へ行った。そこには羆がいた。


ハンター達は銃を構え撃った。村人は持っていた物を投げつけた。


その時間は二分ほど続いた。羆は倒れた。


ハンター達と村人は羆に近づき銃を撃ったり、鍬や鉈で切りつけたりした。


羆は死んだ。


この羆は体長二メートル、体重二百四十キログラムの羆であった。



***



なぜこの羆が人を襲うようになったのか。それは森林の開墾による人間と羆の生活圏の重合が一つ。


そしてもう一つは、この地に遊遠に来ていたポレクラス地方の一領主コルチェチェが羆を見つけ、おもしろがって餌付けをしたからではないか、である。


真相は定かではない。




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