第3章 凄い転校生
翌朝。私は久しぶりにバスの時間ギリギリに起きてしまった。
急いで朝食を食べ、支度をして家を飛び出す。バスにはギリギリ間に合った。
「おっはよ、凛子」
「おはよ、帆乃」
「寝坊なんて珍しいねえ~」
「あ、みっちゃん。おはよ」
いつもと変わらない朝。(バスはギリギリだけど)私はすっかり忘れていた。
──そう、転校生の存在。学校に着いてから思い出した。いや、すぐにあっ、となった。
「うわあ、何や、この人混み」
「すごいね~」
「あ、何か誰かいるみたい」
背伸びをして人混みの中から学校の校庭を見ると、ピンク色の髪の少女がいた。──例の転校生だろう。こんなに目立つ先輩、もしくは後輩がいたら気づくはずだし。
「そこ、群がらないでください! 」
委員長の注意により、人混みはなくなった。(中には近所の人もいた)私達はやっと学校の中に入れる。
「さっきの転校生凄かったなあ」
「まず髪色がピンク色だし」
「群がる人々を無視していたもんね~」
転校生は人だかりなど気にもせず、校舎内に入った。クールなロッカーなのかな?
「おっはよう! 皆! 」
いつもならのんびりとしているはずの先生がスーツまで着て張り切っている。先生も転校生が来るから張り切っているんだなあ。
「はい、転校生を紹介します! 」
「シルディです。よろしくお願いします」
シルディさんは一番後ろの席になった。空いていた席はそういうことだったのだ。
私達はシルディさんと仲良くなるために昼ご飯を一緒に食べることにした。
「シルディさん、一緒にお昼食べよ? 」
「あ、はい! 」
「食堂やけど、お金もっとる? 」
「一応、それなりに」
「ようし、行くで! 」
シルディさんはかなり悩んでいたけど、オムライスを頼んだ。私達3人はチャーハンセット。
「そういや何で始業式の日いなかったの~? 」
「準備が遅れたの。えと、あとね、飛行機の予約を間違えたみたいで」
「へえ」
その後も他愛のないお話が続いた。趣味は何か、とか。お昼休みが終わるまで続いた。
放課後。シルディさんが美術部に入りたいとのことで、美術部である私についてきた。
「こんにちは、部長」
「ああ、こんにちは」
この美術部の部長は男子である。私が一番驚いたのは彼の前も男の部長だったこと。
とりあえずシルディさんに絵を描かせてみることにした。
待っているのもあれなので、同じ美術部で親友の篠宮悠花と新田華を迎えに行くことにした。
「悠花、華。部活始まってるよ」
「あ、ほんと? ごめんね、いつも」
「今すぐ行くよ」
二人は美術部は趣味として入っており、将来はそれなりに良い大学に行く気らしい。それで放課後は自習している。しかし、集中するあまり部室にあまり顔を出さないというのはよくないとのことで、私が迎えに行くことになっている。
二人を連れ、戻るとシルディさんは一生懸命絵を描いているところだった。
「転校生の子、絵好きなんだ……」
「私達も早く描かないとマズいね」
「そうだそうだ。勉強のしすぎは体に悪いぞ」
「部長は受験生ですよね」
「俺はレベルの低い美大志望だ」
「……」
部長に呆れた私達は絵を描くことにした。
──30分後、シルディさんの声が上がった。
「出来ました」
「……ほう」
「すごい」
「へえ」
「……」
完成した絵はバラの絵。そこの花瓶に飾ってあるのを見て描いたのだろう。すごく綺麗な絵だ。
「君は美術部に入るべきだよ! 」
「私も思います」
「私も私も」
「ありがとうございます。私も入りたいなあって。今まで帰宅部だったので……」
「歓迎するよ」
「そうだよ」




