部署のメンバーたち
結局欠点的なネタを掴むことなく、家へ俺は帰宅した。
家に帰るなり、浴びせられる痛い目。
「ただいま」
「……………レヲナ、もう寝よう」
「うんっ!」
レヲナは兄のジョンを慕い俺を少し見るなり遠ざかる。
ジョンなんか目も合わせてくれず、口をきいてくれたのはいつぐらいだろう。ジョンが小学校に入る頃には嫌われていたな。
「夜ご飯食べるか」
十一時近い遅めの夕飯。明かりは静まったリビングのみで。
ジョンやレヲナは寝たかな。部屋さえ入れない俺はあの二人の寝た顔を最近見てない。
「こんな姿、あいつは望んでなかったはずなのにな」
俺は食器を片付けて風呂に浸かった。少しぬるくなったお湯は俺の冷えた体を温めてくれやしない。カレンがいたら、温かいお風呂に浸かれたのだろう、なんて考えても戻れるわけ無い。
俺は自分の頬を叩いて、
「っうし、出るか!」
と、小さく気合いを入れた。
◆
「ベル、リンダさんが及びよ」
「え?俺にか?」
リンダ・シェリジア、名前は女らしいがごっついおっさんで、一応この部のトップの人だ。最近、奥さんを亡くしたらしい。それでも、笑顔を絶やさないのはこの部のメンバーがいいやつだからだ。ちなみに部のメンバーは、
トップのリンダ・シェリジアを始め、俺に助手のサラ・クリシン、まだ入りたての生意気な若造のボーラン・グライン。
この部の中で一番経歴があるリュシカ・アンルナリ。
気立てがよく頭のいい副リーダー、グランド・ジリン。
俺を含めたこの六人で通訳者チームを組んでいる。
みんないいやつだから、この中に裏切り者がいるとは思わない。
「ベルさん、リーダーお呼びじゃあないんですかぁ?」
「ボーラン、貴方は書類読み終わったの?また私が助けるのは嫌よ」
「えっ、ちょ、読んでますよー」
「大丈夫、もし分からなかったら俺が変わりに読むから」
「グランド、お前は優しすぎるんだ。
で、サラ。どこにリンダさんはいる?」
「部長室でお待ちらしいですよ」
◆
「失礼します」
軽くノックしてからそう言った。するとリンダの低い声が聞こえてくる。どうやら中で電話をしているらしい。もめていたようだ。
「ん?ああ、ベル。呼んですまなかったね」
「いえ。電話大丈夫だったんですか?」
「あ、大丈夫大丈夫。そんな大事なもんじゃないから心配しないでくれ」
そういったあと、白いカップに入ったコーヒーをテーブルに置いたリンダ。俺はお礼を言ってから一口いただいたが、苦いコーヒーは口に合わないので、砂糖が欲しくてたまらない。
「それじゃ本題に入らしてもらうよ。実は最近、この部を探る奴がいるらしいんだ」
「!?」
手に持っていたコーヒーカップが少し揺れた。多分リンダが言いたいのは俺だろう。だが、俺がスパイだということはどうやらバレていないらしい。
「そいつを見つけて欲しいんだ」
「グランドに頼むのが一番なのでは?」
「お前を信用して、なんだ」
俺は自分がスパイなんて名乗れるはずもなく、仕方なく見つかるはずもない犯人を上辺だけで探すことにした。探すと言っても軽く、周りを見る程度でスパイ行動の一環としてやることにした。
◆
「えぇ!?ば、バレそうになったの!?」
「まぁな。バレてはないだろうけど」
「何年続けてるんだよスパイの仕事を」
「何年も続けてる仕事を感づかれたんだ。あんまり怪しい行動はできないな」
パソコンに向かい部署内のメンバーのことを一人ずつ探った。
「そう言えば、お前に調べて欲しいことがあるんだが」
「ん?俺にか?」
「あぁ………確か、〔プランダ〕とか言っていたな」
「プランダ…………ね。時間があったら暇つぶしに調べとくよ。で、なんなんだい。そのプランダとかいう………………」
「ああ。リンダが電話で話していた相手だ」