表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Run away! 1

進路と心情

作者: 貴幸




「失礼します。」


一言いい、職員室のドアを開ける。

今日は日直だったため日誌を先生に渡しにきた。

日誌を真面目に書いた事はない。

先生は何故それでも続けるのかわからない。

私にとっては放課後の五分間が無駄になるだけだ。


「先生、日誌を届けにきました。」


「あぁ、そこ置いといて。」


何かに興味心身、と言うかのように適当な返事だ。

その方向を見て私は目を疑った。


「ハル……!!!!」


言いかけた言葉をおさえる。

ハルトが先生にがっつり叱られている。


「先生、アレは…」


「進路希望調査あるだろ?」


「あ、はい…」


そういえばハルトは三年生。

何処に行くんだろう、白紙でまさか出したとか…


「アレに留年って書いたらしいよ」


「…」


ん?


「…留年?」


つい聞き返してしまう。

よく見たら希望調査用紙にはびっちり赤いペンで文字が書いてある、まさかアレは先生からの叱りの言葉なのでは。


先生はヒステリックな顔なのにハルトはというと多分アレは外の景色を見ている。



「ハルトくん…私ね、あなたの事を思って言ってるの、あなたにちゃんと卒業してほしくてこんなにも単位落としていても先生は諦めてないの、わかる?」


ハルトはペンたてにあるペンをとり回しまたペンたてに入れた。


「先生はマック派ですか、マクド派ですか。」


「ハルトくん!!!!」


完全に遊んでる…


「マクド派よ…それよりね、留年っていったいどうゆう事なの…!?先生進路の希望を聞いてるのに留年を選択する人初めてみたの!ハルトくんお願い目を覚まして…!?」


「留年のチェック欄つくればいいんじゃないですかね」


隣で先生がクスッと笑う。


「溝端先生!!!!!笑い事じゃないです!!!!」


ハルトに気づかれないようしゃがむ。


「普通留年なんて希望しないわよ…あれよ、履歴書に留年って書かれるのよ、不利になるのよ…」


「他とは違ってカッコ良くないっすか」


「あなたは十分他とは違うわ!!!!!!!」


確かに。


「何がハルトくんをそうさせるの…留年なんて……まさか彼女!?彼女なのね!?どうせハルトくんくらいイケメンだと不良でもいるんでしょ!?彼女が下にいるのね!?」


俺女嫌いだから、という顔をする。


「そうです」


「えぇっ!?!?」


つい、声を出してしまった。

ハルトの目がこちらを向く。

こ、怖い…


「てめぇ…何でここにいる…」


「ハルトくん、まさか彼女!?彼女なの!?」


少し考え込み私の方へときた。

え、まさか


「彼女です。」


「いやーーーーっ!!!!」


巻き込まれた。

否定しようとしたがハルトの顔に「バラしたら殺す」と書いてある。

間違いなくバラしたらバラされる(物理的な意味で)


「あはは…」


笑う事しかできない。


「彼女さん…諦めてくれないかしら…」


先生が悲劇的な目で私を見てくる。

先生違うんです!私は何もしてません!


「彼女をおいて行く事なんてできません。」


そう言うとハルトは私の肩を掴み寄せた。


「ちょっ、ハルトさっ」


ハルトに触れられるだけでドキドキしてくる。

ち、近い…!

しかし先生が目を逸らした瞬間私から手を離し服で手をふいた。

嫌ならハッキリと言え…。


「もういいわ…先生、ハルトくんの卒業するの見たかったなぁ…ハルトくんを卒業させたかったなぁ…」


「要件はもうないので失礼します。」


行くぞ、と小声で言われ私はハルトと職員室を出た。

先生の断末魔が聞こえたのは気のせいだろう。


「ハルトさんどうゆう事ですか」


「人は……五分ごとに職員室に来なさいと呼ばれ屋上にいるのがバレて連れ出され職員室で五十二分間説教されたらどうする…」


「帰りたくなりますね。」


なるほど。


「あー立ってるのもだりぃ早く帰ろう。」


ハルトは何も気にせず帰ろうとする。


「あの、ハルトさん、さっきの…」


「え?」


まさか、その場を乗り切るためだけのものだったのだろうか


「あぁー…あれ、あいつに言われた時はよろしく。」


「よろしくじゃないです、責任とってください。」


「どうやって。」


か、彼氏になって欲しいな〜…


自分で言おうとして虚しくなった。


「奢ってくれたら許しますよ…」


「じゃあ今から行くか」


「えっ!?」


「何、嫌なの?」


良いんだろうか、それはハルトと初めて学校から帰り何かを食べに行く事が出来るということだ。


「い、行きます!」


今日日直になってよかった。





しばらく歩いていると、信号で止まった。

ふと、気になった事がある。


「ハルトさん、なんで留年するんですか?」


「単位足りないから。」


ハルトは頭が良い。

単位が足りなくても正直頭の良さが評価されて卒業できるだろう。


「なんでなんですか?」


「なんでもいいだろ。」


「気になるんです!」


ハルトの事は、何だって知りたい。


「うるせぇな…お前も担任かよ。」


信号が青になった。

ハルトは渡り始める。


「あっ、ちゃんと言ってください!」


「お前ともう一年居たいから。」


「え?」


聞こえた。

ちゃんと、ハッキリと聞こえた。


「ハルトさん!それ本当ですか!?」


「お前本気で言ったと思うか?」


青ざめた表情でこっちをみた。

自分で言っておきながら気持ち悪くならないでほしい。


「本気で言ったと思っちゃダメですか…」


「ダメ、それじゃあ俺がお前の事好きってなるじゃん。」


あぁ、ふられた。


「ですよね…」


私がハルトに告白しても断られるのはわかってる。


「好きだよ」


「うっ…からかわないでください…」


まっすぐに言われると恥ずかしくなる。


「…お前、俺に彼女とか好きとか言われて嫌じゃないの。」


「い、嫌じゃないですよ?」


だって好きだから。


「俺もお前に好きって言われても嫌じゃない。」


「え?」


「マックついたな。」


「え、ハルトさん、そのっ…」


「何本気になってんの。」


振り向いたハルトはいつも通りの表情で、なんだか悔しい気持ちになったのは確かだった。


「ハルトさんのバカ!バカ!!」



いつか本当になればいいのに、なんて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ