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恋姫†無双~慶次伝~  作者: RH
第12章 約束
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第3節 約束

 男は熱狂的な張三姉妹のファンだった。鬱屈した青春が、貧しい生活が、孤独な人生が、彼女たちの歌で救われた。だから、当然黄巾賊に入った。


 山門に官兵が押し寄せ、山塞内が右往左往の混乱に陥っていた時。彼は三姉妹の屋敷にほど近い望楼の上で一人、弓矢を構えていた。彼は、元は猟師だった。自分の腕には自信がある。彼女らに危害を加えようとする官兵たちに対する、最後の砦になるつもりだった。


 そんな彼が人和の姿を見つけたのは偶然だった。望楼から山門の方向を眺めていた彼の目に、混乱の極地の中で目的を持って整然と行動する人間の姿は、奇妙に目立って映ったのだ。


 そして彼女が火種に火を付け回っていることに気づいた時、自然に思った。三姉妹は黄巾賊たちを炎によって山塞から外に逃がし、自分たちは山塞に篭もって自決するつもりなのだと。貧しき人の聖女たる彼女らならば、きっとそうする。それは確信に近かった。


 だから、逃げなかった。そして今、逃げ場はない。彼の潜む櫓は、すでに炎に包まれていた。肺は熱気で焼けるようだ。息を吸う度に、やけ火箸を喉に突っ込まれたような痛みを感じる。


 だが、彼は幸せだった。


 三姉妹と一緒に、自分は灰になる。


 なんて素敵なことだろう。


 願わくば、次の世でも会えればいいな――。


◆◆◆


「『天の御遣い』は、どうして私たちを助けてくれなかったの?」


 その叫びを聞いて、慶次郎は目を瞑った。そしてゆっくりとまぶたを開ける。そして、静かな声で天和に告げた。


「甘ったれるな、小娘」

「何ですって!」


 思わず、天和は激高した。自分たちの覚悟を、馬鹿にされた気がした。そんな彼女に向かって、目の前の男は淡々と言葉を続ける。


「国に対して乱を起こすなら、すべてを最後まで背負いきる覚悟が必要ぞ。それが何じゃ、その体たらくは」

「そんな!」

「なぜ、華琳に――曹操に投降せぬ」

「だ……だから、言ったじゃない!自分たちが救われるために、仲間を売ることなんてできない!」


 天和は慶次郎をにらむ。だが、彼は視線に動じない。逆に、天和をにらみかえした。


「だから甘いというのじゃ」

「えっ?」


 予想もしないその言葉に、天和は思わず口を開けた。


「投降した後、曹操に従うふりをして黄巾賊を改めてとりまとめればよかろう。投降した彼らをまとめれば、数では圧倒的に多い。予州を乗っ取ることとて、容易ではないか」

「な……」

「それに失敗したら、他の諸侯を頼れば良い。この乱世、おぬしらの動員力は魅力的じゃ。こっそり受け入れてくれるところなど、いくらでもあろう」

「……」

「武器がなければ、石を使え。石がなければ、手を使え。手がなければ、足を使え。足がなければ、その歯で食らいつけ。潔い死など、そこらの犬にでもくれてしまえ。最後の最後まで、目的を達するためにあがいてみせよ。生き抜いてみせよ。それが長たるものの役目ではないか。それができぬなら、そもそも乱など起こさぬことだ」


 天和はうなだれた。


 自分には乱を起こした責任がある。だから、最後には自らの死を持って責任をとろうと思っていた。その覚悟を持っている自分を誇らしく思っていたし、だからこそ今まで頑張れたとも思う。


 だけれど、目の前の男に言われて気づいたことがある。仲間たちがまだ生きているのに、自分を頼ってくれているのに、自ら死を選ぶことは逃げではなかったか。その選択は、追い詰められた窮状から楽になりたいという気持ちと無関係だったといえるのか。


 これで黄巾賊は終わりだと思った時。本当は、ほっとしたのだ。地和も、人和も、ようやく重荷を下ろせたような顔をしていた。


 そうだ。私たちは、楽になりたかったんだ。もう、みんなの気持ちを受け止めるには疲れちゃって。


 うなだれる天和の頭に、さらに彼女を打ちのめす言葉が落ちてきた。


「それに、じゃ。わしは天の御遣いではない」


◆◆◆


「えっ?」

「確かに、わしはこの国の人間ではない。海の向こうの、日の本という国の人間じゃ。だが、それだけよ」

「嘘よ!」


 天和は慶次郎に向かって叫ぶ。涙目になっている。


「だって、周倉さんが……慶次さんは……天の御遣いだって」

「周倉のやつめ」


 慶次郎は頭をかいた。先に臥牛山で張三姉妹のことを頼まれた時、周倉は慶次郎に、天の御遣いに「『その時』は会うことができなかった」と言っていた。今思えば、それは「その後に会うことができた」と言っていたことに等しかった。


 彼は彼なりに情報を集め、慶次郎こそが天の御遣いであると結論づけたに違いない。そして、馬元義を討ち取った際の慶次郎の名乗りが、その結論を確信へと導いた。


「確かに、わしにはそう思われても仕方のない事情がある」

「やっぱり!」

「しかし、やはりわしは天の御遣いではない……と、思う。『この世を救え』といった、使命を帯びて遣わされたわけではない。徐州の御遣い殿のように、天の国の知識を有しているわけでもない。実のところ、髭を剃っていたらいつのまにかここに飛ばされていただけなのじゃ」

「そんな……!」

「すまんな」

「……ぐすっ」


 天和は鼻をすすり始めた。


 慶次郎が目の前に現れた時。彼女は、ありったけの呪詛を天の御遣いに告げて死ぬつもりだった。この世の不平等を、不条理を、納得のいかない腹の中をぶちまけて気持ち良く死ぬつもりだった。


 それが、この人が天の御遣いではないというのなら。自分は、なんと恥ずかしいことをしてしまったのだろう。これが黄巾賊の頭目の死に様だと知られたら、先に逝った妹たちにどんな申し開きができるというのか。


 気がつけば、部屋中が炎に包まれていた。この建物は、まもなく崩れ落ちるだろう。この人を、巻き込むわけにはいかない。命の恩人に、そんなことはできない。天和は涙と鼻水をその右袖で拭き取ると、姿勢を正して目の前の男に告げた。


「大変、大変失礼しました。慶次さん」

「気持ち悪いのう。口調を戻すな」

「うっ。いいじゃない!最後ぐらい、かっこつけさせてよ!」

「今さら、無駄な努力をするでないわ」

「もう!」


 慶次郎のおどけた調子に、天和は思わず笑みを浮かべた。こんな気持ちで死ねるなら、悪くない。


「慶次さん。そろそろ、この建物は焼け落ちちゃうと思うの。あの、逃げてくれませんか」

「おぬしは、一緒に来ぬのか」

「うん。あのね、慶次さんの、言う通りだったと思う。私、甘かった。これで、楽になれると思ってた」

「……」

「でも、気づくのがちょっと遅かったみたい。ちーちゃんも言ってたけど……もう少し、早く逢えたら良かったな」

「なら」

「でも」


 天和は笑顔で慶次郎の言葉を遮る。


「ちーちゃんと、れんちゃんが、待ってる。私が行かないと、道に迷ったと思って、ずっと心配していると思うんだ」

「……」

「それに、私――お姉ちゃんだから」

「そうか」

「うん。だから」

「断る」

「さよなら……って、えっ?」

「周倉と約束したのでな。どんなことをしても、助けさせてもらうぞ」


◆◆◆


 次の瞬間、慶次郎はまるで豹のように身を丸めると、一気に跳躍した。そして天和の前に立つと、その腰を右腕で引き寄せる。


「きゃっ!」


 前屈みになった天和の懐から、小刀が落ちる。天和は慶次郎に抱えられたまま、それに手を伸ばそうとした。だが、慶次郎はそれを壁際に蹴り飛ばす。


「な、何を!」

「だから、言ったろう。どんなことをしても、助けさせてもらう」

「でも、でも、ちーちゃんが!れんちゃんが!」

「阿呆。姉に死んで欲しい妹などおるものか」

「でも!」

「心配させたくないのなら、安心させよ。おぬしの生き様でな」


 そう言うと、慶次郎は天和を右腕で抱えたまま建物の外に向かって飛び出した。次の瞬間、屋敷は崩れ落ちる。天和は叫んだ。


「降ろして!降ろして!」

「聞かぬ」

「死なない!死なないから!」

「約束するか?」

「約束する!約束するから!」


 慶次郎はゆっくりと天和を地面に降ろす。天和はふらふらしながら、数歩前に進んだ。そして、焼け落ちた屋敷を見つめた。


「ちーちゃん……れんちゃん……」


 天和は震えながら手を合わせた。その瞳から、涙が流れ出す。二人が自決するのを、止められなかった。自分も後を追うつもりだったから。けれど、逃げていた自分の弱さに気づいた今、後悔が残る。私は、二人のお姉ちゃんだった。もっと、私がしっかりしていたら。


 そして、後ろを振り返る。山頂からは、捕縛されていく黄巾賊たちの姿が見えた。


「みんな……」


 私たちの夢を信じて、必死でついてきてくれた人がいた。私たちの歌が大好きだって、言ってくれる人がいた。一緒に死のうぜって、笑ってくれる人がいた。なのに、それを見捨てた。そうだ。見捨てたのは天の御遣いじゃない。楽になりたい、自分だった。


「わたし……」


 天和は、目の前に翻る黄色い旗を見上げた。「蒼天已死 黃天當立 歲在甲子 天下大吉」その夢も、終わったと思っていた。ああ、後悔ばかりの人生だ。でも――。


「――慶次さん。私、生き恥をさらします」

「……」

「曹操さんに、投降します」

「そうか」

「そして、予州を乗っ取ります!」

「阿呆!」


 天和の頭に慶次郎のげんこつが落ちた。目の前に、星が飛ぶ。いたたた。この人、結構本気で殴ったわ。そう思いながら、天和はこみ上げる思いを抑えることができなかった。


 私は、死ぬはずだった。


 でも、生きている。


 だったら、死ぬまで生きてやろう。


 地和の分まで。人和の分まで。お父さんの分まで。お母さんの分まで。私たちのために命を捨ててくれたみんなの分まで。


 今の私には、何もないけれど。


 どこまでできるかわからないけれど。


 私たちの歌を好きだって言ってくれたみんなのために、私は――。


 天和は決意を新たにする。そして、隣に立つ慶次郎を見上げた。この人は、自決しようとした私を慰めてはくれなかった。心地良い言葉をくれはしなかった。それどころか、叱りとばした。ようやく、死ぬことができると思ったのに。ああ。なんて――優しいのだろう。


 天和は、胸が温かくなるのを感じた。こんな時に、こんな気持ちになるのは間違っているとわかっている。そして、その気持ちを伝えることも。でも、私はもう「後悔しない」と決めたのだ。


「ねえ、慶次さん」

「ん?予州はそうやすやすとは渡さぬぞ」

「ううん。あのね、私――」


 次の瞬間。天和は慶次郎の腰に向かって体当たりをしていた。


◆◆◆


 慶次郎の体が揺れる。しかし、天和の体当たり程度では彼を動かすことはできない。慶次郎は体当たりしてきた天和の両肩を抱くと、ため息をついた。


「張角。今、ここから逃げ出しても何もできぬだろう。まずは――」

「天和」

「ん?」

「天和って、呼ん、で……」

「天和?」

「うん……」


 そう言うと、天和は慶次郎にゆっくりと体を預けた。その時、慶次郎は気づいた。彼女の右の首筋に矢が刺さっている。それは天和の胸を抜け、背中まで貫通していた。背中から付きだした矢じりから、血が滴っている。


 狙いは自分か。慶次郎は、左手に立つ望楼を見上げた。彼が屋敷に到着した時、すでにその望楼はその建物全体が業火に包まれていた。まさか、ここに人が残っていようとは。その櫓の付近から、黒く炭化した「何か」が身を乗り出している。そして、地面に落ちていった。


「慶次、さん……」

「声を出すな。傷に響く」

「……いいの。聞いて」


 天和は慶次郎にしがみついたまま、荒い息を吐いた。血の染みが背中に広がっていく。


「今度……時間があったらでいいんです。一緒に、街に出ませんか」

「ああ」

「そうしたら私、食べ歩きっていうの、やってみたいな」

「ああ」

「あと、新しい服が買いたいの。私、ずっと同じ服のままで……」


 そう言うと、天和は咳き込んだ。慶次郎の鎧に、赤いしぶきが飛ぶ。


「ああ、いいぞ。何でも好きな服を買ってやる」

「……やったあ。へへ、慶次さん、優しいね。約束だよ」

「ああ。約束だ」

「……ふふ」

「うん?」

「……やっぱり私、死ぬんだね」

「……」

「慶次さんは、嘘が下手」

「……」

「ふふ。死のうと思ったら、生かされて。生きようと思ったら、死ぬなんて。神様は、私が嫌いなのかな」

「……天和」

「でも、最後に慶次さんと一緒にいられるから……神様は……優しい……」


 そう言うと、天和の体から力が抜けた。慶次郎はその体をそっと支える。そして、ゆっくりと地面に寝かせた。


 天和の顔はすでに蒼白だった。息が浅くなっている。だが、苦しみの表情はない。かすかに微笑むその顔は、この世の人とは思えぬほどに美しかった。


「ねえ、慶次さん。もう一つ、約束して」

「ああ」

「黄巾賊のみんなを……助けてあげて」

「承知した」

「……いいの?そんな安請け合いして」

「ああ。嘘をついてしまったからな。今度は、約束を守ろう」

「ふふ。変な人……」


 天和がくすりと笑う。


「みんなに会ったら、伝えてね。生きて。死なないで。幸せになってね……って」

「ああ」

「みんなを助けてくれたら」

「……」

「きっと、慶次さんは『天の御遣い』だね」

「わしは」

「少なくとも、私にとって、慶次、さん、は……」


 言葉が途切れた。


 天の御遣いが、人々に希望を与え、救い導く存在であるとするならば。


 少なくとも、黄巾賊にとっておぬしたちこそ――。


 慶次郎は右手を天和の顔の上に伸ばす。そして、そのまぶたを閉じた。


 その命が尽きるまで最後まで生き抜いたその顔は、まるで春の日差しを受けてうたた寝をしているかのようで――とても、穏やかだった。


◆◆◆


 翌朝。慶次郎は山頂にいた。目の前には、炭になった三姉妹の屋敷がある。天和の亡骸は、屋敷の前に翻っていた黄巾賊の旗にその身を包み、昨日のうちに火葬していた。その骨は、妹たちが倒れた場所に埋めてある。


 石を集めて小さな塚をつくる。そして、野の花を供えた。両手を合わせる。


「昨日は、残念だったわね」

「華琳……」


 慶次郎は振り向いた。そこには、沈痛な表情の華琳が立っていた。少し離れて、竹簡を持った秘書が控えている。


 彼女からすれば、最善の案を提示したつもりだった。慶次郎が天和らに提案したように、彼女らが内乱を起こす可能性すら考慮して、華琳は受け入れることを決めたのだった。自分が良政を施すことで、黄巾賊たちを幸せにすることで、彼らを負の輪廻から解放したい。それが、真の意味での黄巾賊への勝利だと彼女は考えていた。


 しかし、そうした華琳の考えを思い量るには三姉妹はあまりにも幼かった。皆、自分のように考えられるわけではない。これまで何度も感じてきた思いを、彼女は再び感じていた。孤独。そして、その孤独を埋めてくれた男は、今――。


「――あれは、何じゃ?」


 慶次郎が問う。彼の視線の先では、縄でつながれた黄巾賊たちが騎馬兵にせきたてられている。


「都の兵よ」

「洛陽の?」


 見れば、騎馬兵の背中には「董」の文字の旗が翻っていた。


「先ほど、伝令が届いたわ」


 そう言うと、華琳は秘書に目をやった。秘書の手には、開封したばかりの竹簡がある。


「洛陽でも『屯田制』を導入することにしたらしいの。恐らく、先に牧を授けに来た副使が提言したのでしょう」


 慶次郎の頭に、音々音の姿が浮かぶ。


「予州の臥牛山で投降した黄巾賊も含めて、捕らえたすべての兵を洛陽に送れとのお達しよ」

「すべて?」

「ええ。予州には一人の黄巾賊も受け入れることができなかった。私たちは、ただ黄巾賊を殺し、自らの兵を殺されただけ」

「……」

「それにしても」


 華琳は、苦虫を噛み潰したような表情で眼下の光景を見下ろす。


「洛陽の兵が到着したのは、ついさっきよ。早過ぎると思わない?」

「……」

「私たちはこれ以上ない速度でこの山塞を落としたというのに、まるでこの結果はわかっていたとでもいうみたい。誰かの手のひらの上で、踊っているような気がしないでもないわ。実に、不快ね」


 華琳の言葉を聞きながら、慶次郎は黄巾賊たちの列に目をやった。董卓軍の騎馬兵達に両側を挟まれて、彼らは西の方向に向けて歩いていく。


「なあ、華琳」

「なあに?」

「世話になったな」

「……」

「そろそろ、旅に出ようと思う」

「……どこに?」

「さて。風の吹くまま」

「西の方角かしら」

「!」

「まったく。慶次は、嘘が下手ね」


 華琳は小さく手を挙げた。秘書が近寄ってくる。華琳は秘書から新しい竹簡と筆を受け取ると、さらさらと文字を書く。そして筆を戻すと代わりに印を受け取り、竹簡の最後に押した。それをちらりと読み直すと、慶次郎に渡す。


「餞別をあげるわ。私のお爺さまが洛陽にいた時に持っていた別宅。小さいけど、住みやすいと思う。貸してあげる。その旨、書いておいたから」

「華琳」

「受け取りなさい。でなきゃ、首に鎖をつなぐわよ」

「すまんな」

「いいのよ」

「星。連れて行くぞ」

「あなたの家臣よ。ご随意に」

「では、さらばだ」

「ええ。お達者で」


 慶次郎は竹簡を巻き取って懐に入れると、山門に向けて歩き出した。少しずつ小さくなるその背中を、華琳はじっと見送る。


 この人は、決して振り返らない。だから、安心して背中を見ていられる。


 今、振り返られたら困るもの。


 この人は、三姉妹の誰かに死を賭して何かを頼まれた。


 「みんなを助けて」。そんなところかしら。


 本当に、お人好しなんだから。


 なら、救いなさい。慶次。そして、天の御遣いとしての役割を果たしなさい。


 そうすれば、あなたは消えないわ。きっと、この世に止まり続けることができる。


 あなたが消えなければ、それでいい。


 どこにいても、また逢える。


 だから少しの間、待っててね。




 ――私がこの国を統べるまで。

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