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ドロットマン  作者: 蟹谷梅次
EPISODE 3
10/25

10 夕食

 救急隊員といつものやりとりをして〈こおりやま〉に帰ると、まだやってたので、「まだやってるんですか」と言った。


「今日のところはおうちに持って帰ったらどうです? ほらっ、明日は土曜日なんですよ! 一時間かけて決着がつかないなら、明日に持ち越したらいいじゃない!」


 守道が「ねっ」とウインク越しに念押しをすると、三人は顔を見合わせて「うーん」と唸った。


「──っていうことがあってね」


 その日の夕飯時に、明子に話してみる。


「店長さん、大丈夫かな」

「今年中に答えが出ることは無いだろうね〜」

「なんで?」

「人の心は簡単じゃないもの。明子で考えてみなよ。俺が結婚するってなったらどう思う?」

「詐欺かなって」

「あはは。でしょ〜? それをもうちょっとクリーミーに薄めた感じが今の氷山親子! 今年中に話が終わることなんてないよ」


 明子は味噌汁のわかめを弄りながら、聞いてみる。


「お兄ちゃん、彼女とかいないの?」

「えっ?」

「彼女、とか」

「いないよ〜ん。いるわけないじゃん俺に。欲しいとも思わないしね。たぶん俺は一生独身マン。悲しいなあ」

「タイプとかないの?」

「ゴースト」

「そっちじゃなくて」

「なんで妹と飯時にそんな、恋愛のお話しなくちゃならないのさ。あきれるなあ」

「いいじゃんやろうよ。私高校生だよ」

「俺は二十二歳の大男で〜す」


 守道はサバの味噌煮をふわふわ笑いながらつついて答えた。


「歳上とか好きじゃないの? そうじゃなくても歳下とかさ……」

「いやあ、俺って結構偏見持つタイプよ? 一歳でも歳離れてたら妹とか姉とか弟とか兄とかで見ちゃうなあ」

「へぇ〜〜そうなんだ。五歳歳下とかは?」

「五歳ってそれ、お前と同い年じゃ〜ん。嫌でしょ、兄貴の恋人が自分と同い年って。あっははは。そもそも俺人に好かれたことないから。人を好きになるのも無駄だよ」

「そうかな。お兄ちゃん、優しいからちゃんと人と関われば……ちゃんと人に好かれる人だと思うよ。だって、私とはちゃんと関わってくれたじゃん。私お兄ちゃんのこと好きだよ」

「いいのいいの」

「なにが?」

「人に好かれたらこの世に未練湧いちゃう」

「えっ?」


 夕食の時間は過ぎていく。

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