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邂逅〜ふたたびの始まり

記憶は二重に螺旋を描く。

それはキレイに平行線ではなく、たまに寄り添い混ざり合い、たまに離れて切れ切れになる。

ココロとカラダはその揺れに、いつも振り回されていく。

※色んな予兆を感じさせる回です。そしてまたまた、長いです。

そして、活動報告にも書きましたが、今週からちょっとの間、水曜日と日曜日、週2回投稿します。よろしくお願いします。

 祝勝会に出発する前に、オレは1人、まち姉と輝から離れて、トイレに向かった。

 そして、鏡の前で自分の顔を見て、大きくため息をついた。

 理由はわからないけど、何かオレはすごく混乱していて、今は息苦しいほどだった。

 山田から輝が田宮と2人でアイスを食べに行ったと聞いた時に、自分が感じたこと、言ったこと。

 その後に母親たちと話した時の、みんなの微妙な反応。

 オレは何か、勘違いしている?

 それとも、何か、大事なことを忘れている?

「忘れてる…?」と、声に出してみると、頭の奥の方に鈍い痛みを感じた。でも、その痛みを感じながら、忘れているなら、思い出したいと、強く思った。

 苦しい呼吸になんとか耐えているうちに、その痛みは消えて、息苦しさも薄らいできた。

「大丈夫だよな。」

 自分で鏡の中の自分に言い聞かせると、2人が待つところへ戻った。

 

「ごめん、ごめん、お待たせ。」

 2人のところに戻ると、まち姉と輝がなんだか深妙な雰囲気で話し込んでた。

「えっと、なんかあった?」

「あ、ううん、部活、これで終わるのかなぁって話してたら、ちょっとしんみりしちゃって。」

「あー、わかる。3年でも続けてる先輩もいるけどなぁ。」

 その人たちみたいな余裕はオレにはないし、輝は目指すところが違うから、余裕うんぬんの前に、切り替えが必要なのだ。

「それだけ、2人が頑張ってきたってことだね。」

 お疲れ様、とあらためてまち姉に2人、肩を叩かれた。

「あ、ちょっとごめんね、以知からだわ。」

 まち姉が電話に答えながらオレたちから離れて行った。

「そう言えば、部活やめたら、朝の待ち合わせどうする?やめる?」

 朝練、なくなるしなぁと思って、ふとそんな言葉がでた。まぁ、今まで朝練ない日も待ち合わせしてたけど。

「え?なんでそうなる?」

 怒ったわけじゃないみたいだけど、珍しく、輝から強く言い返された。

「あ、いや、なんか待たせること、多かったし。ほら、かがやの家、オレんちより駅チカじゃん?待ち合わせしなきゃ、早く行けるって思って。」

「オレは、待ちたくて、みずきを駅で迎えたくて、早く行ってんだよ。そんなこと気にするなら、遅く行く。だから、一緒に行こ。てか、これからも一緒に行きたい。」

 珍しく、輝が膨れっ面をして、オレに迫ってきた。イケメンって、どんな顔しても様になるんだな。

「わかった、わかった。これからも待ち合わせて行こ。それでいいだろ?」

 これも珍しく、オレが輝の頭をポンポンと撫でた。

 いつもはやられる方なんだけどな。

「うん、それなら、良い。」

 一番イケてるであろう、必殺技の笑顔で、輝が笑いかけてきた。

 この顔にオレは前から弱くて、結局いつも、なんでも許しちゃうんだ。

 あれ?今、なんて?なんて思った?前からって?

「どうした?疲れた?」

 固まったオレをみて、輝が覗き込んだ。

「あー、うん、ちょっと。でも、焼肉、楽しみだよな。」

 混乱はまだ治らなかった。

「お待たせ。ごめんね、なんか以知と匠も来たいって。千枝も来るっていってるし。大人数になっちゃうけど、良いよね?」

「えー、ウチの身内ばっかじゃん。輝、嫌じゃない?」

「いや、オレは全然。ウチの姉ちゃんもこられれば良かったんだけどな。せっかく誘ってもらったのに。」

「そんなこと気にしない。それに、里沙子ちゃんが一緒だと、みーが緊張して、焼肉食べられないんじゃない?」

「あー確かに。」

「やめろよ、みんなでからかって〜。」

 オレの言葉に2人がドッと笑った。

 

「みずきって、姉ちゃんみたいなのがタイプだったっけ?」

 まち姉の車に乗っても、まだそんなことをいわれた。

「いや、そういうことじゃなくて。」

「みーは単純に、美人さんに憧れているってことじゃないの?」

「そう!それ!そんな感じかな。」

 助け舟になるような、ならないようなことをまち姉に言われて、なんでもいいから、この話題から逃げたくてオレはそう言った。

「ふうん。」

「なんだよ、そのリアクション?」

「いや、別に。でもさ、オレ、姉ちゃんとそっくりって、よく言われるんだけど、オレはどうよ。」

「はぁ?なんの話ですか?」

 輝はふざけてるみたいで、ちょっとマジな顔してて、オレはちょっと照れて、茶化すしかなかった。

「はい、着いたよ。」

「え?ここ?」

「キングとかじゃないの?」

 着いた場所はここら辺で一番の高級焼肉店の駐車場。

「大昌園」と看板が恭しく輝いてる。

 ファミレス的な焼肉店を考えてたオレたち高校生は、かなり面くらった。

「今回は親がスポンサーに付いてるからね。遠慮しなくて大丈夫だよー!」

「おぉ!すげえ。オレ2回目?」

「オレも3回目?」

 悲しいレベルで、オレたちは盛り上がる。

 しかも、通されたのは奥まった個室。ちょっと緊張する。

 ちい姉が先に来ていて、オレたちを迎えてくれた。

「お疲れー。2人とも、頑張ったんだって?聞いたよ。私もバイト休んで、行けば良かった。」

「いや〜、気持ちは嬉しいけど、シャレにならないくらい、暑かったから、来なくて正解だったと思うよ。」

 そんなことを話してるうちに、いち兄が到着して、同じ会話が繰り返された。

 それから、みんながそれぞれ、飲み物を注文した時。

「ほーい、みんな、お待たせ〜。遅くなった。」

 まるで自分が主役のようなトーンで、たく兄が到着した。

 でも、その様子につっこむ前に、みんなが驚いたのは、たく兄の後ろから付いてきた人物。

 田宮だった。

「えー?どうしたの?」

「びっくり。久しぶりじゃない。わ〜相変わらず、可愛いねえ。」

 オレも輝も言葉が出てこないのに、姉2人は即、大歓迎だった。

「いや、図書館のとこで偶然、一緒になって。この後空いてるって言うから、連れてきた。」

 たく兄がまるで散歩にでも誘ったみたいに言うから、田宮も困った顔をしてた。

「あ、すみません、オレ。えっと、お久しぶりです。いや、焼肉って言うから、てっきりキングとかだと思って。こんなとこなら…」

 わかる、わかるぞ、とオレと輝は顔を見合わせて笑った。

 高校生の焼肉店と言えば…なのだ。

「びっくりした。けど、大丈夫だよ。今回は親がスポンサーに付いてるから。こっち、ここ座って。」

 オレがまち姉の受け売りの言葉を言って、自分の左隣の椅子を引いて、田宮を座らせた。

 オレの右隣には輝が座っていたから、オレはイケメン2人に挟まれる形になった。

「なんかさ、みー、どっちかに変わらない?席。」

「ああ?なんで。」

 ちい姉の言葉、意味がわかっただけに、つい絡み口調で答えた。

「いやー、自分の弟にこんなこと言うのも何ですが、お姉ちゃんはイケメンをセットで並べて、見ていたい。」

 そんな事を言われて、はいはい、わかりましたよ、と、オレが腰を上げかけた時。

「いや、みずき、ここにいて。」

 田宮がオレの腕を掴んで、止めた。

「うん、申し訳ないですけど、オレもきらも、みずきの隣がいいんで、このままで。」

 輝もそんなことを言って、オレをひきとめた。

「んー、そうだね、オレもこの位置が落ち着くかな。ごめん。」

「えー、残念。」

「まぁ、まぁ、いいじゃないの。3人並んでるの、可愛いじゃん。」

 まち姉がちい姉をなだめて。

 なんか、そんなわかるような、わからないような?訳で、席はそのままになった。

 それからみんなで乾杯をして、美味そうな前菜に始まり、タンやカルビがテーブルと焼き網の上、いっぱいになった頃。

「みずき、食べてる?」

 田宮…ていうか、希良が俺の皿を覗きこんだ。

「うん、大丈夫。」

「さっきから、焼いてばっかじゃん。ほらこれ、カルビ、オレが育てておいたから。」

「あ、ありがと。」

 今度は輝がオレの白飯の上にちょうど良く焼けたカルビをのせてくる。

 なんかわからないけど、この会が始まってからずっと、オレは両隣のイケメン2人に甲斐甲斐しく世話をやかれている。

「いいねぇ、仲良しさん。」

 いち兄が茶化すでもなく、まるで親鳥がヒナを見るような目でオレたちを見ていた。

 そんな雰囲気の中で、オレはまた、不思議な気持ちになって、希良の方を伺うと、恐る恐る、頭の中に浮かんだ事を言葉にしてみたくなった。

「あ、あのさ、ちょっとオレ、変なこと言うかもしれないけど、気に障ったら、ごめん。」

 オレの言葉に口いっぱいにご飯と上ロースを頬張ったばかりの希良が口を押さえながら振り向いた。

「ん?何?」

「きら、今日はなんで応援来てくれなかったの?」

「え?」口の中のモノを飲み込んで、希良がオレを見て、首を傾げた。

「前は必ず、応援に来てくれたのに。なんで、今日は…。」

「みー、それは…。」

 まち姉がオレの言葉を途中で止めた。

「あ、ごめん、聞かなかったことにして。」

 やっぱりおかしなことを言ったんだと、オレは希良から顔を背けた。

 でも希良は、そんなオレの肩を掴んで、振り向かせると、顔を覗き込んで声をかけてきた。

「みーずき?ちょっとオレ、見て。」

「え?うん。」

 顔を上げて、希良の顔を正面からみた。

 こんな風にしっかり向き合うって、最近?なかったけど、やっぱり希良って、アイドルみたいですごく可愛いな。

「オレ、なんか怒ってるように見える?」

「え?見えない。」

「じゃ、オレ、どんな?」

「どんなって…」

 可愛いよ、と言ったら、なんて思われるんだろう。

 そんなことを考えて、答えられずにいたら。

「可愛い?いつも通りに。」

 そう言われて、思わず吹き出してしまった。

「なんだよ、それ。」

「お前、自分で言うなよな。」

 輝も笑ってつっこむ。

「いいじゃん、どう?可愛い?みずき、いつも言ってくれるじゃん。」

 まだ言う。でも、いつもって?

「うん、可愛いよ。いつもと同じ、すっごく可愛い。」

 仕方なく、笑いながら、でも本心からそう言った。

「だろ。じゃ、みずきの言ったことは何もおかしい事じゃないし、オレは気に障るなんてこともないってことだよな。」

 ああ、そうか。希良はオレを安心させようと、そんなことを言ってくれたのか。

「うん、そっか、そうだね。ありがと。」

「ううん。今日はさ、塾の模試があって。それがなかったら、応援行きたかったんだけど。昨日、学校で話す時間なかった。ごめんな。」

 そう言って、また口いっぱいにご飯と今度はカルビを詰め込んだ。

やっと、3人が一緒になりました。

ここからは、3人の心や行動が混ざり合いながら、進んでいきます。ちょっと不自然に思えることもあると、思いますが。待っててね!

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