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輝と希良〜図書館

思う人がいる。思われる人がいる。

でもそれは、必ず通じると約束されることはない。

例えそれが真っ直ぐな思いでも。

※今回は初のイケメン2人目線です。

 ホントは瑞稀と来たかった地元の図書館に、今日は一人で来た。

 予備校のことで従兄弟に相談に行く、と言われて、無理に誘うことは出来なかったけど、やっぱり一緒が良かったな…と、心の中でつぶやく。

 やっと、一緒に試験勉強をすることができるようになったんだ。

 明日は日曜だけど、午前中、部活があるから、会えるのはわかっているのに。

 そして、この図書館に一人で来るのは初めてじゃないのに、自分がぽつんと置かれたような気分になる。

 窓際の奥の方に席をキープして、一時間くらい問題集を流した後、ちょっと息抜きにお気に入りの歴史関係の書棚を見に行こうとした時だった。

 入口から入ってくる見慣れた顔に気がついた。

 希良だった。

 向こうもオレに気がついて、近づいてきた。

「ひとり?」

 無言で頷くオレ。

「みずきは?一緒じゃないの?」

「今日は従兄弟のとこに行くからって。」

「そっか。いち兄のとこ?」

「多分。」

「ふうん。」

 それだけ言うと、希良は席を探しに奥の方に行ってしまった。

 話すことはないってことか、とオレは半ばため息みたいな息を吐いて、最初の目的の書棚に向かった。

 もう、1年以上、こんな関係を続けている。お互い、望んでのことじゃないんだけど、仕方ない。

 しばらく、書棚の前に立って、本の背表紙を見ていたが、全然頭に入ってこないことに苛立ち、頭をブンブン振ってから、希良を探しに行くことにした。

 でも、探す必要はなかった。

 書棚から通路に出るとすぐに、オレを探しているらしいヤツの姿が目に入ったから。

「きら。」

 小さく、でも伝わるように響く声で、名前を呼ぶ。

 それに気がついて、目が合ったのを確認すると、右手の指で書棚の奥を差す。先にオレが歩きだすと、希良も付いてくる。

 一番奥までいって、オレが振り向くと、何か言いたそうな顔をした希良がいた。

「やっと話せる。」

 ため息をつくような言い方だった。

 それはこっちのセリフだよ、いくら一緒にいないことにしても、LINEも何もやり取りなしにする必要、あるのか?と言いたかったが、お互い様で、これももう、仕方ないことなのでオレは黙っていた。

「かがや、お前、最近みずきと一緒にいるけど、なんなんだよ。」

 やっぱりな。それは言われると思っていたから、別にオレは驚きもせずに、淡々と返す。

「この前、お前のファンとかいう女子に、みずきが囲まれてた。」

「え?」

 さっきまでの威勢の良さが一気に萎むのがわかる。

 まぁ、かわいそうだけど、そうなるとわかって、言った言葉だった。

「いつ?」

「5月の終わり頃?朝練終わりのみずきに、お前が声かけたとかで、詰め寄られてた。」

「なん…。」

 ショックを隠そうともせず、希良は右手で目を覆った。

 気持ちはわかるから、そのままにして、何も言わない。

「それで、お前が?」

「うん、部室に忘れ物したって言って、連れ出した。」

「そか。」

 ため息みたいな「ありがとう」が聞こえた。

「勉強にしか興味ないヤツらがほとんどの、あの高校でも、あんなこと、あるんだなって、ちょっと焦った。」

 泣きそうな顔をした希良が頷く。

「油断してた。同じクラスで、いつも目が届いてる気がしてたから。」

「うん、わかる。お前が悪いなんて言ってないよ。でも、だから、もうちょっと近くで、一緒にいようって、思ったんだ。」

「そか。オレは…そうなると、ますます何もできないな。」

 慰めのように言った言葉でも、一度曇った希良の顔が晴れることはなかった。

「きらがみずきと同じクラスになって、オレは安心したし、今度の化学の発表会、お前が組めて良かったよ。みずきもすごい、喜んでた。」

「そうだな。オレも嬉しかった。久しぶりにみずきとマニアックな話、たくさん出来たし、あんなに長い時間、一緒に過ごすのも久しぶりだったから、ホントに楽しかった。」

 やっと少しだけ笑った希良は、ホントに嬉しそうだった。

 部活が一緒、行き帰りもたまに一緒になるオレと違って、希良が瑞稀と接するのはクラスの活動くらいだから…寂しいと思う。

「あ、でもこの前、そのことでお前と部活終わってから話した後、みずきの様子がおかしかったことがあったんだけど、なんか心当たりない?」

 瑞稀が、息もせずに走ってきたことを思い出した。

「え?それって、試験前の金曜日のこと?」

「そう。オレ、駅前の本屋にいたんだけど、帰ろうと外に出た時にみずきがすごい勢いで坂を駆け降りてきて。」

 希良の顔がみるみる青くなった。

「まさか…聞かれてた?みずきに?」

「なんだよ、それ?」

 悪気はないけど、つい、問い詰めるような言い方になってしまう。 

「いや、オレがみずきと仲良くしてるのを見た宮﨑がちょっと…。」

「宮﨑?お前の今彼?」

「やめろよ。そんなんじゃない。でも、そいつがみずきのこと睨んできたから、オレ、みずきと別れてから、1号館の裏でしめたんだよ。」

 なんだそれ、と、呆れた気持ちを隠せない。

「その時、みずきと別れて時間経ってたし、とっくに帰ってると思ってたから。でも、もし、その様子を聞いてたんなら…」

「そういうことか…。」

 何度も言うけど、オレは希良を責めるつもりはなかった。でも、無意識のうちに、やっぱりオレは希良を責めていた。

「それで、みずきは…?」

 泣きそうな、やっと絞り出したようなこえで、希良がオレを見る。

 そう、こいつも辛いんだよな…と思って、意識して口調を変える。

「大丈夫。マック連れてって、しばらく休んだら、落ち着いてた。」

「ホントに?」

「うん、その後、腹減ったって、チーズバーガーにポテナゲのLをペロリだった。」

 希良もやっと落ち着いたのか、半泣きの顔で、少し笑った。

「そう言えば、その前に、オレがレギュラー決まったお祝いって、もんじゃ焼き屋に行ったんだ。2人で。」

「なんだよ、それ。ずりぃな。」

 希良がいつもの調子でからんできた。

 それに安心したオレは、誰かに言いたくて、でも言えなかったことを話した。

「でも、やっぱりみずき、何にも覚えてなくて。オレ、みずきがトイレに行ってる間に、店のおばさんに、オレのこと知らないってことにしてくれって、頼み込んだんだ。」

「やっぱり…。そうなのか。」

 なんとも言えない空気になって、2人とも黙り込んでしまった。

「郡司は、あいつは今も変わらず、みずきと行ってるみたいなのにな。」

「郡司?」

 空気を変えようと思ったのか、希良がちょっとご無沙汰な名前を出してきた。

「つい最近、バスで会ったんだ。偶然。彼女が出来たって、浮かれてた。」

「なんだよ、それ。」

 マジで呆れた声になった。

「しかも、その彼女とやらが、同じ中学だったって。顔がわからないって言ったみずきに、卒アル見ろって言ったらしくて。」

「おい、それは!」

「アイツもさすがにミスったって、焦って、まち姉に泣きついて、なんとかしてもらったって。」

 腹が立って、思わず書棚を拳で叩いた。

 それを見て希良が同感するように笑った。

「オレも、バスの中じゃなければ、アイツのこと、ボコってた。」

「だな。一度、やるしかないな。」

 今日、会ってから初めて、2人で声を出して笑った。図書館でも、怒られないくらいの小声で。

なかなか話が進まず、申し訳ないですが、イケメン2人がウジウジする様子に、ちょっと萌えますww

よろしければ、お付き合いください。

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