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間章 1話 ちづこー01

旧【世界の狂う重さ】でいう所の【茉莉の日記】がこの間章に当たります。私は、理不尽な、というか納得できない展開が嫌いですので、この章が有ります。つまりこの場合、「【此処】にいる各人とそれぞれの距離感になったのにはそれなりの理由がある」という事です。会ってその日にいきなり親友とか気持ち悪いですからね。……別に「有り得ない」というつもりはありませんが。


3章と4章の間は1ヶ月~3ヶ月くらいです。しっかりとは決めない事にします。決める意味も特に有りませんし。


なお、この章は読まなくても大丈夫です。特に物語は進みません。日常生活的なものです。


長々とすみません。では、お付き合い頂けると嬉しいです。

「うーん」

何が変わる訳でも、誰かが聞いている訳でもないけれど、取り合えず唸ってみる。

やはり気が進まない。

というか、どう説明したものだろうか。

しおりは、どうせ君が上手い言い訳なんか思いつく訳が無いんだから、いさぎよく謝るのが一番いいと思うよ。と、半ば以上突き放すように、僕にそう言った。

……正直僕もそれが一番いいであろう事は分かっている。分かっているのだが、相手が相手なのだ。弱みを見せたくないというか、強みも見せたくないというか、コンスタントに付き合っていくのが一番いいだろう相手なのだ。まあ、出会ったばかりの相手に対して何を分かったような事を……とも思うが。

たかが第一印象、されど第一印象なのだ。

んー、やっぱり、後からさんざん馬鹿にされるのが簡単に予想できるけど、ここは栞に間に立ってもらいたいなあ。

「ん、あれ、茉莉まつり君、どうしたのもぞもぞして、トイレにでも行きたいの?」

遅かった。見つかってしまったのなら――それをどこか期待していたのかもしれない――仕方がない、出た所勝負で行くしかない。とりあえず分かりやすく下の方へ向かわせようとしている会話の軌道を修正する事から始めよう。

「トイレに行きたい人間が【映写室】の前でもぞもぞする訳ないでしょう、千鶴子ちづこさん。それにそれを言うならば、もぞもぞではなくてうろうろですよ」

「あら、分からないわよ。自分の致すシーンを永久に残しておこうとしたのかも……」

「いやいや、ありえないし。というか、……何でもないです」

致すって何だよ。変なぼかし方を。はっきり言われても困るけど。

「ふふふ、それで、何の用なの?」

「いや、コレを渡しに」

と、抱えた金属の塊を少し持ち上げる。

「あら、何それ?」

わざわざ僕を指名した癖に、変な惚け方をしないで欲しい。

「いや、これは……【びてびか】ですよ」

「【びてびか】?」

いや知らない訳無いでしょう!! と思わず突っ込みそうになったが、ぐっとこらえる。ここで向こうのペースに流されるからいけないのだ。きっと。

「ですから、び、えーと、微妙に、何だったかな」

「【微妙に鉄じみているビデオカメラ】?」

「そうそう……って、やっぱり知ってるんじゃないですか!!」

「いや知らないわよ? 何となくそう思っただけ」

どんな誤魔化し方だよ。

「いや、鞘香【さやか】さんに頼まれたんですけど。貴方に渡してくれって」

それと僕からしか受け取らないとか何とか変な条件を付けた事も……まあこれは変に言わない方がいいか。

「え? 何それ? 聞いてない。というか……てことはそれビデオなの? さっきから変な機械音がしてるのって、まさか……」

まだ誤魔化す気なのが気になるが、ついに来るべき時が来たと、謝ろうとした時、千鶴子さんが「キャー」と、文字通り「キャー」ともの凄くわかりやすく悲鳴を上げた。演技にしても下手糞すぎるが。

「それ動いてるの、きゃあちょっと茉莉君、この変態!! さっきから何処撮ってるのよ!!」

知らないよ。僕が聞きたいよ。これは何処にレンズが合って何処がが取れてるんだよ。

「いえ、止め方が分からなくなって……」

「……」

ふいに千鶴子さんがじとーと僕の事を黙って見てきた。

「駄目だよ茉莉君。そこでもっと慌ててくれなくちゃ」

「はあ、まあ、すみません」

本当はこれっぽっちも悪いと思っていないのに謝る僕。

そんな僕は、見ようによっては確かに偽善者なのかもしれなかった。

「……確かに受け取ったわ。ありがとう」

「あー、その、それで、壊れてないですか? 落としてしまって」

「大丈夫大丈夫。見た目どおりこれ物凄く丈夫だから」

と言いながら、千鶴子さんが鉄の一部分を押すと、機械の動作音が止まった。

その部分をよく観察してみたが、遠目からでは他の部分と全く区別が付かなかった。

「それじゃ」

「あ、茉莉君、せっかくだからお茶でも飲んでいかない?」

「……昨日の疲れが残っているので、また次の機会に」

今日も今日とて疲れましたし、と心の中で付け足す。千鶴子さんと上手く付き合う経験地が圧倒的に不足しているようだった。

「うん。じゃあ、またね」

と、千鶴子さんは素直に送り出してくれた。全く、どう接していいのか分からない人間である。

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