7.5話 マシンガントーカー
えーと、とりあえずフォリスに本気をちょっとだけ出して頂きました。
タイトルを見ても何となく分かるかもしれませんが、この話は飛ばしても全然問題ないです。
フォリスの言う言葉が支離滅裂でも、間違えていてもあまり気にしないでいただけると助かります。
「例えば笑うという言葉だけを取っても、さまざまな意味がある事からも分かるように、一言で笑うと表現するのは何てあさはかなのかとそう思ったのよ私は、あれは誰と話していて思ったのかしら、まあそんなのどうでもいいとしても、だから誰かが笑っているのを見てそれすなわち楽しいから笑っているなんて考えたら大間違いだという事よ、楽しくなくても、嬉しいから笑っているのかもしれないし、悲しいから笑っているのかもしれないし、困ったから笑っているのかもしれないし、腹が立ったから笑っているのかもしれないし、意味が分からないから笑っているのかもしれないし、意味が分かるから笑っているのかもしれないし、意味が無いから笑っているのかもしれないし、虚しいから笑っているのかもしれないし、寂しいから笑っているのかもしれないし、怒っているから笑っているのかもしれないし、馬鹿にして笑っているのかもしれないし、そもそも何となくわらっているのかもしれないじゃない、事ほど左様に笑うというのはどんな精神状態でもできるって何かの本に書いてあったような気がしたわ、それでね、そこからさらに話を進めるとして、笑い方にも色々あるのが問題で、あざ笑ったり、ほくそ笑んだり、太陽のように笑ったり、向日葵のように笑ったり、菫のように笑ったり、稲のように笑ったり、泣きながら笑ったり、怒りながら笑ったり、微笑したり、冷笑したり、声を出して笑ったり、声を殺して笑ったり、声を抑えて笑ったり、狂ったように笑ったり、そういう風に考えていくと、笑うと言う表現にはマイナスの要素の方が強いようにも思えて来たりすると思ったの、だからあの人は笑っていますなんて文章は相当に適当な文章だという事よ、そこに付加する様々な形容詞を取捨選択して選びに選んでそれでやっと一割程度その人が笑っている様子が表現できる程度じゃないかしら、そしてさらにそれと同じくらい笑っている人の目が重要ね、つまり目は口ほどにものを言うように、口がいくら楽しそうに笑っていた所で目が悲しんでいたら、目が死んでいたらその楽しそうな笑いには何の意味も必然性も見出せなくなってくるというかなんというか、つまり私がいいたいのは貴方が今しているようないわゆる苦笑いはとても気分が悪いから止めて欲しいとこういう事ね、苦笑いなんて笑いの中でもかなり低レベルなものだと思うわ、それに苦笑いは愛想笑いと通じる所があるし、愛想笑いなんて胸糞悪い笑いを投げ掛けられるくらいなら、何言ってるのと冷静な声で突っ込まれた方がいくらか気分的にもマシなんじゃないかって事で、私なんかに愛想を振りまいてそれでどうするっていうのかしら、愛想笑いなんてものは将来偉いだけで何も出来ない馬鹿な大人に振り向くために取っておく方がいくらか賢明な判断だと思うわ、そもそも愛想笑いをしている中に本当の友達なんているのかしら、私には友達なんか千鶴子くらいしかいないけれど、それだって怪しいものだけど、本当の友達の間で愛想笑いをしなきゃならないなんて悲しいんじゃないかしら、愛想笑いというのはやっぱり、その人と自分との間にある程度の距離がある場合に出てくるものだと思うし、そもそも本当に仲がいいんだったら、全然面白くない冗談やジョークで笑う必要がどこにあるのかしら、面白くないなら面白くないでそれを言い合える人間関係が素晴らしいわね、まあそこまで気の置けない関係になれる人間なんてこの世界を探してもせいぜい百人見つかればいい方なのじゃないかしらとおもわないでもないけれど、だからこそどちらも傷つかないで平気で互いに互いを罵倒しあえる関係もある意味素晴らしいというかなんというか、でも大抵の場合、軽口の言い合いはどちらかが割り増しで傷ついているか、本当は互いに嫌いあっているか、とにかくまともな人間関係ではないわね、あらあなたそういえばマツリとかいったあなた、あなた愛想笑いを止めるとそれなりに嫌味のない顔になるというか、もしかすると上手い事付き合っていける数少ない人間の一人かもしれないわね、何だか少し落ち着かないけど、それも気のせいかもしれないし、真顔が嫌味でない人間、すなわち真剣に話を聞いているように見える顔というのはある意味特だったりするかもしれないわね、真顔で聞いているのにお前笑ってんじゃねーと言われた人の話を聞いたことがあるし、真顔で話を聞いているのに、お前ちゃんと聞いているのかとあらぬ疑いをかけられた人の話も聞いた事があるし、これはどちらも同じ人から聞いた気がするんだけど誰だったかしら、ああそうそう確かエイチとかいう人が言ったんだったかしら、全然面白くなかったから、私の大嫌いな愛想笑いで返しておいたけど、あれはあれではたしてよかったのかしら、自分が笑えているかどうかなんて鏡を見ないと分からないけど、ねえマツリとかいう人、私は今笑っているように見えてる?」