6話 違和感ー02
「さてと、次にどの部屋に向かうかだけれど――」
部屋を出て一つ目の角を折れた所で栞が足を止めて聞いてきた。
「――食堂にでも行こうか? そろそろお腹も減って来た頃だろう?」
「確かに、空いては来たけど。食堂?」
「そうだよ」
「……」
食堂がある事に少し驚き、同時に疑問にも思ったが、いちいち突っ込んでるときりがなさそうな気がしてきたので、無言を通した。
「……ん? 何か聞きたい事があるかい?」
「……そうだな、じゃあ……その食堂に次に会う人がいるの?」
「いや?」
「という事は、自分達で作るの? 言っておくけど僕、ほとんど料理できないよ?」
「その心配は無用だ。食券を買ってそれを窓口に提出すれば、五分とかからず完成品が出てくる」
「はあ?」
何だそれ?
「どういう仕掛けなの、それ」
「さあ? どうやって出来てるか何てどうせ考えたって分からないんだし、どうでもいい事だろう? それでも答えが欲しいなら、誰かの【能
力】という事で納得してもらうしかないが」
「そう……なのか?」
やっぱり何かおかしい気がする。そんな簡単に見過ごしていい問題ではないような――
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些細な問題だ。否、そうじゃない。何かおかしいぞ? 全然ささいな問題じゃない、と思うのだが……。
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いや、よく考えてみると、確かに栞の言う通り、そんな事は瑣末な問題でしか無いように思える。
「どうしたんだい? 茉莉君、行くよ?」
「ああ、うん。分かった」