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1、白く染まった街へ

 その日は朝冷えのする、とても静かな始まりだった。

 

 重たい身体を起こし、布団を剥がしてカーテンを開いて外の景色に視線を向ける。そこにはすっかり枯れ木となった木々と一面の銀世界が広がり、シトシトと白い雪が粉雪となって降り続いている。

 窓ガラスに触れるとあまりの冷たさに驚き、私は一瞬で白い手を離してカーテンを閉めた。


 すっかり寒くなったものだと悪態を付きながら、私はもこもこのルームウェアを脱ぎ、校章の入った高校の制服に着替えた。時刻はもう八時前だった。


 冷え切った身体に鞭を打って長い黒髪を結び、部屋を出るとダイニングテーブルに置かれた千円札を手に取る。早朝になって仕事から帰って来た母は、もう深い眠りに落ちたようだ。


 元々三人暮らしの狭いアパートのせいもあるが、一人欠けただけであまりに家の中が静寂に包まれるものだと、私はストレスを感じながら実感した。


 何も状況は変わっていない、悪化の一途を辿っている、私は制服を破りたくなる衝動を抑えた。


 そうしていると最近になって頻繁に悩まされる腹痛がまた始まり、あまりの憂鬱に嫌気が差した私は冷蔵庫から紙パックに入った牛乳をコップに注ぎ一気に飲むと、そのままシンクで洗い部屋に戻った。食欲は当たり前のようになかった。


 部屋に戻った私は高校へ向かうのを諦めて制服から私服に着替えマフラーを巻いた。鏡に映し出された私は無表情で不愛想な女子高校の姿をしていた。

 私はあまりに見るに堪えないので簡易的に化粧を済ませると、それ以上、自分をよく見せようという感覚を失くし、今度はスカートが隠れるほどの白いコートに身を包み、真っすぐに家を出て駅へと向かった。

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