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2話

「はっ?えっ?」


 


 ホテルの近くのローソンの前。手には食べた筈の夕飯と明日の朝飯、そして食べ終わったガリガリ君の袋が握られている。


「戻ったのか?」


 スマホの画面は17時20分。自分の頬を抓れば確かに痛みを感じる。殴っても確かに痛い!

 これは…紛うこと無きタイムリープである!


 

「しゃあああああああ!!」


 

 歓喜に震えていると通行人やコンビニ内の客と店員からの目に気付く。恥ずかしくなって走って逃げ出し、ホテルに着いて、もう一度チェックイン手続きを行って部屋に入る。リュックもコンビニのビニール袋も放り出してベッドに大の字に寝そべる。


「嘘だろ!本当に!本当に過去に戻れた!!」


 過去に戻るなんて夢のような能力であるが、イマイチ発動条件が分からない。なぜあの時点に戻れたのか、いや、そもそもどういう形でのタイムリープなんだ?多分精神と記憶だけを過去の自分に送っているのだろうが、何度発動してもそうなのかは分からないし、タイムリープ先の条件も分からない。これは検証するしかない!


「先ずは前回と同じ状況を作ろう。再現性の確認を行わないことには何も始まらない。」


 シャワーを浴びて夕飯を食べ、テレビをダラダラ見て22時過ぎに就寝する。タイムリープが出来るように祈って


 


 


 

 目を開けると、そこはやはりローソンであった。



 手には1回目のリープ同様に今日の夕飯と明日の朝飯、そして食べ終わったガリガリ君の袋が握られている。


「偶々じゃなかったんだ!ちゃんと再度タイムリープができる!」


 素晴らしい!素晴らしいよ!タイムリープの再現性が確認出来た!次は任意の時刻にタイムリープが出来るか検証せねば。


 余りの嬉しさにスキップしながらホテルに向かう。しかし一々チェックイン手続きをするのは面倒だ。

 とは言えタイムリープの再現性は確かめられたが、それ以外の条件は一切不明。発動条件とリープ先時刻の確定条件が分からないことには使えたものではない。


 最悪横断歩道を渡っている途中の時刻にリープすれば、呆けている間に車に轢かれて死にかねない。面倒だがこれらの条件を突き止めるまでは実験過程を変えられない。


 2回目のリープと同様の手順で行動して就寝を行う。今回はガリガリ君を食べた後の10分後を指定してタイムリープしたいと願う。


 




 目を開けると前回と同じ時刻であった。


 持ち物も同じ。ただ物凄く眠い。


 多分就寝して意識が途切れた瞬間にリープ地点まで戻っているから、初ループ時から追加で10時間起きていることになる。眠いのも当たり前である?本当か?意識を過去に送るタイムリープに於いて、肉体はリープ地点の状態に巻き戻っている筈だから眠い筈がない。精神的な疲れならまだしも完全に肉体的にも眠いから、この能力によるタイムリープはリープ前の肉体の状態を引き継ぐということか。


 後そもそもタイムリープを願う時にガリガリ君完食10分後を指定したが、実際は初回と2回目のリープ時と同じ地点に巻き戻った。


 考えられることは3つ。


 1つ目はリープ時刻が固定、もしくは条件付き固定である可能性。


 2つ目は特定の場所にいる時点にしかリープできない可能性。


 3つ目は自分が特定の行動を行った地点にしかリープ出来ない可能性である。



 1つ目に関してはリープ開始時刻は大体揃えたが、分単位で揃えていないので開始時刻から指定時間前という説は無し。リープ時刻が完全に一致していることからランダムなタイミングにリープする説も無し。よって時間条件はなし。


 2つ目に関しては今のところローソンの前にリープしているからローソンの前にリープする説はある。


 3つ目に関してはガリガリ君を食べ終わった後にリープしているので最有力候補である。序ついでに寝るのをトリガーにタイムリープが発動している可能性もある。無条件に発動されると入眠できないので、任意に発動出来るようになるのが喫緊の課題である。


 

 という訳でまた2度目と同じようにチェックインをして部屋に入ったが、兎に角眠い。シャワーを浴びて夕飯食べて直ぐに寝る。なるべく実験環境を似せる為にテレビを無音で付けっぱなしにし、部屋の電気を点けた状態で22時まで仮眠を取り、その後起きてテレビを消して部屋の電気を消してもう一度寝る。今歯を磨きたい所だが、やはり条件は揃えるべきだろう。


 今は仮眠を取りたいからタイムリープするなと願いながら入眠した。


 


 

 4時間後


 まだ眠いながらもタイムリープすることなくきちんと寝ることができた。


「ふぁぁ…ちゃんと寝られた…タイムリープは入眠のみで発動する訳ではないこと確認出来て良かった〜」


 そして前回の手順通りに作業を行って入眠。今回は手順に仮眠を入れてしまったので、この変化がどのような影響を及ぼすのか不明なので、タイムリープして確かめたい。今度はタイムリープするように願って入眠した。


 



 目を開けると、そこはローソンだった。(4回目)


 周囲の様子と手に持っている物は同じ。つまり寝ること自体がトリガーになっている訳ではないらしい。少なくともタイムリープしたいと念じるかどうかは発動条件になっているということ、つまり自分の任意のタイミングでタイムリープは出来るらしい。


「取り敢えずこの調子でタイムリープ能力の仕様の洗い出しをしていくか。」


 

 とまあこんな感じで検証を続けると…


 5回目 「22時過ぎに寝ずに起きたまま念じたら視界が歪んだ後に戻ってきたぞ。つまりトリガーは念じることのみである可能性が高い。」


 6回目 「きちんとタイムリープ出来るか不安だったけど、シャワー・夕飯・テレビ・睡眠の順番を初回から全て変えても発動したぞ。つまり完全にトリガーは念じることのみだな。」


 7回目 「一々チェックインを繰り返すのも面倒だから、思い切って部屋に入った後に直ぐにローソンに戻ってからガリガリ君を買って食べたけどリープ地点は17時20分だったぞ。リープ先指定条件にガリガリ君は含まれないのか。トリガー条件と同じようにこの時刻にリープして来たいと念ずれはまいいのかな?」


 8回目 「予想は当たったな。部屋に入って直ぐに18時にローソンに戻ってきてから『ここをリープ先に指定したい』と願ったらちゃんと2度目のローソン時点に戻ってこれた。そう言えばタイムリープが意識のみなのか体ごと入れ替えているのか検証していないな。腕にマッキーで印を付けて見るか。」


 9回目 「腕に描いた星型マークはないから意識のみの転移だな。まあ体ごと転移していると自分の寿命が減るから良かったか。て言うかトリガー条件は念じるだけなんだから22時過ぎまで待つ必要なくない?」


 10回目 「やっぱりそうじゃん。今まで無駄なことしてたわ。次は場所の条件があるか確かめるか…」


             ・

             ・

             ・


 n回目 「これで検証終わり!いやぁ長かった〜もうさっさと帰って明日を迎えるかぁ〜体感2週間はループしてるからなぁ〜」



 分かったことは以下の5点


・タイムリープ能力(以下『セーブ&ロード』とする)は念じるとロードされ、セーブした地点まで戻る。ロード出来る条件は念じる以外にないが、セーブする条件は追加でコンビニまたは自販機のある場所でなくてはならない。但しコンビニであれば店内でも店外でも良い。


・『セーブ&ロード』は意識のみを過去に送るので眠い以外の肉体の状態は引き継がない。(眠いだけ引き継ぐ理由は不明)


・『セーブ&ロード』のセーブ枠は1つのみ。


・『セーブ&ロード』を会得した理由は不明。


・今のところ数時間前レベルのリープしかしていないが、どれくらい前まで遡れるのか、そもそも限界があるのかは不明。



「何日か経ってからまたリープを確かめてみないことには分からないけど、この時間帯は飽きたから後でセーブポイント更新しとくかぁ…帰って寝よ」


 足取り軽くホテルへ向かう。かれこれ体感2週間程同じ時間をループしていたのだ、もう飽きたのである。

 久しぶりの明日に期待に胸を膨らませる。きっと翌朝が今までで一番感動する朝になるであろう。


 俺はニコニコしながら床についた。

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