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リリアナ改めリリコと紫髪男は馬車に乗っていた。

紫髪男はニコニコ笑ってリリアナ改めリリコを見ている。

リリコは腕を組み足を組んで偉そうに座っている。


「おい、お前。リリアナのこと教えろ」

「ん?」

「リリアナは最後あのいけ好かない男のことと父ちゃんと母ちゃんみたいな人のことだけ考えて消えていったんだよ。とりあえずアイツはなんだ」

「リリアナの婚約者でこの国の第二王子だね」

「で?リリアナはほんとにあの女を虐めてたのか?」

「んー?どうだろうねぇ。婚約者がいるのにむやみに話しかけるなとか言ってたかもなぁ」

「は?それがいじめ?他には?」

「さぁ、あのミナって子はよく泣きながらリリアナにされたこと騒いでたなぁ」

「なんか証拠あんの?」

「ミナの証言があるじゃない」

「はっ、あほくさ」


リリコは鼻で笑ってギロリと紫髪男を睨んだ。


「じゃ、父ちゃんと母ちゃんは?」

「・・・???」

「おとーさまとおかーさま」

「あぁ、リリアナのことをよく可愛がっていたよ」

「ふぅん。家族仲は良好だったわけだ。馬鹿だね、リリアナは。あんな男の為にさ」


リリコはふぅとため息をついて窓の外を眺めた。

暗くて何も見えなくてまたため息をついた。

沈黙だけが満たす馬車が止まり、リリコは降りる為に立ち上がったがそれを紫髪男が阻止した。


「まだついてないよ」

「じゃ、なんで止まったし」

「聞いてほしい話がある」


リリコは座りなおし、聞いてやんよと言わんばかりに顎をしゃくった。


「私はね、リリアナとは幼馴染でね。幼い頃からずっとリリアナが好きだったんだ。でね、万一婚約破棄されたら私がリリアナを娶ろうと思っていたんだ」


熱っぽい瞳でリリコを見つめる紫髪男。

身を乗り出しリリコの手をとり、甲に口付けた。


「リリアナはもう傷物になってしまった。この先いい縁談は望めないだろう。だからね、私と婚姻を結んでほしい」


うっとりと微笑む紫髪男。

リリコは手を振り払い、ドレスに手の甲を擦り付けた。


「お前、きめぇな。もしかして、リリアナが婚約破棄されるの予想してたんだろ」

「・・・・・・」

「リリアナがあの男のことで泣いててもほっといたんだな?自分が手に入れる為に。てか、私はリリコだから」

「外見はリリアナじゃないか」

「うわ、まじきもい。まじサイテー」

「いいのかい?ここで私が助けないと、君は牢に入れられると思うよ?ミナへのいじめと第二王子殿下に対する不敬でね。君は今ここで頷くか、牢に行くかのどちらかしかないんだよ?」


ふぅん、とリリコは考える素振りをしてにっこり微笑んだ。

そして、紫髪男の耳元にそっと口を寄せ囁いた。


「そんなら私の答えは決まってる」



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