新しい生活が始まる10
86話
お風呂から出て寝るときはアリアとエルが添い寝にやってきた。
寝る前にアリアとエルにお風呂でのこと、ホントは嫌だったら拒否していいんだよって伝えてみた。
「奴隷には拒否なんてできませんよ。もし拒否できても、ミナト様にはよくしていただいてますから、拒否したりしませんけどね。」
「俺的には普通のつもりなんだけど。」
「ふふっ。ミナト様の普通はあまりふつうではないですね。」
「うーん。そうなのかな。みんなが辛いと思ってないならいいか。」
そう結論付けて今宵は寝ることにした。
次の日、ミリアリアさんとの約束まで時間があったので、商業ギルドへ行ってイリアさんを呼んでもらう。
イリアさんは今手が離せないので少し待ってほしいと言付かった職員に奥の部屋に案内された。
そこでお茶を飲みながらイリアさんが来るのを待つことに。
別に急ぎのようでもないから手が離せないなら出直すんだけど。
待つこと20分くらいでイリアさんはやってきた。
「ミナト様。お待たせして申し訳ありません。」
「えっ、様なんてやめてくださいよ。知らない仲じゃないんだから。」
「わかりました。ミナトさん、今日はどういったご用件でしたか?」
「これを登録したいんです。」と言ってパスタマシンを取り出す。
もちろんこれはベイカーさんに作ってもらったもので錬金したものではない。
「これは何ですか。」
「これはパスタマシンというんですけど、ちょっと使って見せますね。」
と言って練った生地を取り出してマシンにおいてハンドルを回す。
最初は細麵で、次に太さを変えて、更に脱着式の部分を交換してペンネを作って見せる。
今作ったものを茹でて簡単なホワイトソースでイリアさんに食べてもらう。
「これはどれも美味しいですね。」
「これでソースをいろいろ工夫すれば色々な味で楽しめるんです。ラーメンとはまた違ったものですけど。」
「これを登録してくださるんですか。引き留めておいて正解でしたね。」
イリアさんが怖い笑みをみせている。
「使用料とかはそちらにお任せします。場所を用意してくださったら試食会を開いてもいいですしね。」
「それは素晴らしいですね。もちろん場所は用意させていただきますよ。」
「じゃあまた決まったら連絡してください。私がいなければリーナか屋敷の管理をしてくれているジルクにでも伝えていただけたら大丈夫ですので。」
「わかりました。そうさせていただきます。」
その後はイリアさんに最近の王都について教えてもらうことができた。
最近王都ではボア肉の値段が安くなって一般的に出回るようになり、これまでボアを狩っていた腕利きの冒険者はアイアンウッドへと移動しているようだ。
商売人は引き続きボア肉を提供しているものと、オーク肉を提供するものに分かれ始めているとか。
いずれにせよ気軽に多くの人が肉を食べられるようになっているのはいいことだと思う。
その後ミリアリアさんとの約束の時間が近くなったので商業ギルドを後にして城へと向かった。
城に入るとリーナが待っていて、今日は執務室ではなくて応接室でとのことで案内してくれる。
応接室に入るとミリアリアさんは少し遅れるとのことで、ルリアさんがお茶を用意してくれていたのでリーナとお茶を飲んで待つことに。
せっかくだからこの前作ったベイクドチーズケーキを食べてもらったら、ルリアさんがえらく気に入っていたのでいくつか渡しておいた。
そうして歓談していたらミリアリアさんがきたのでケーキを勧めたら、美味しいとお代わりをしてくれた。
それから鉱山が見つかったこと、その鉱山についてはミリアリアさんに一任したいことを告げる。
「本当によいのか。見つけたのはミナトなのだから好きにしてよいのじゃよ。文句は言わせぬから。」
「ええかまいません。まだ領地の開発に手いっぱいですし、他の貴族からの嫉みを買いたくありませんから。」
「そういうことならば、そのあたりはこちらでうまくやってやろう。」
「よろしくお願いします。」
「ところでミナトよ。もうリーナと結婚したんだからいつでも義母と呼んでくれていいんじゃよ。」
「わかりました。次からはそうさせていただきます。」
これであとはミリアリアさんが味方になってくれる貴族を増やしてくれるだろう。
話も終わったのでリーナと一緒に退室してリーナの部屋へと。
リーナが膝枕をしてくれるというから存分に甘えさせてもらいました。
もっといろいろしたいとは思うけど、それはリーナがアイアンウッドに来てからすることに決めている。
さていい時間になったからアイアンウッドに帰ることにした。
アイアンウッドに帰った翌日、新たな一団が到着したと報告を受けた。
これで住人は900を超えたので千人までもう少し。
商売に来た商人の話では各村で生活が厳しい住人がここへと向かっているそうだが、盗賊被害も増えているとのことで情報を集めないと。
しかし今のアイアンウッド情報収集できる人材はいない。
そういう人材はどうやって育てたらいいのかもわからない。
シェリルさんに聞いてみたけどそういう伝手はないそうで謝られてしまった。
全然シェリルさんは悪くないですよ。
これまでそんなに情報が必要でもなかったから、考えてなかったんだ。
その日は一人で風呂に入って悩んでいたら突然背中に柔らかい感触が。
誰かに抱き着かれているようだ。
それが誰なのかを確かめようとしたが身体が動かせなかった。
これは非常にまずい状況なのではと思い始めたら耳元で「お久しぶりです。ミナト殿。」と聞き覚えのない声で語りかけてきた。
「ええっと、あなたはどなたですか。」
「忘れてしまったなんて悲しいです。」
会ったことある人なの?誰だか全くわからないんだけど。
「すいません。心当たりがないのです。」
「では教えようかの。カグツチじゃよ。」
「えっ。カグツチさんですか。本当に?」
確かに声はカグツチさんの声に変ったように感じる。
「そうじゃ。本当の名前はカグラというんじゃ。」
「本人なのはわかりましたけど、カグラさんはどうしてお風呂に。」
「ミナト殿とゆっくりと話ができそうなところはここだと思いましての。」
どうして風呂なのかはわからないけど、すぐにはあがれる感じではなさそうだ。
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