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冒険者登録と初依頼

8話



翌朝シズクさんに連れられてエルフィナさんの執務室へと行くとそこで黒い鎧一式を渡される。


あとはそれを装着して自由にしていいそうだ。


まずはエルフィナさんの執務室から出て誰もいないのを確認して自分の部屋へ転移する。


そして鎧一式を自分用に錬金でカスタマイズして、錬成で性能も上げておく。


あとはマップを見ながら誰にも会わないルートで城を出て冒険者ギルドを目指す。


中に入るとギルド内は依頼を受ける冒険者たちでごった返していた。


喧騒が落ち着くまで壁際にいようとしたら、


「当ギルドに何か御用ですか?」


と受付嬢っぽい人が声をかけてくれた。


「ええ、ギルドに登録したいんですが今は忙しそうなので。」


「それなら私が受け付けますよ。こちらへどうぞ。」と言って人のいないカウンターへ連れていかれる。


「わたしは冒険者ギルドで受け付けを担当しているライラといいます。登録ですのでこちらの用紙に記入をお願いします。名前以外は分からなければあけておいてくださいね。」


「いいんですかあちらに並んでいる人がたくさんいますが?」


「大丈夫ですよ。私登録と買取担当なので。」


「それならよかった。」と言って用紙に記入していく。


名前は本名はまずいからゲームで使ってたルシードにしておこう。


職業はどうしようかと思っていると『気工師は登録できないと思うわよ』ってティピに言われて無しにしておいた。


後は空欄で出しておこう。


「かけました。」と言って用紙を渡す。


「はい、ありがとうございます。では実力を見るテストがありますのでこちらにどうぞ。」と言ってライラさんは奥のドアに向かっていこうとする。


「テストなんてあるんですか?」と言うと立ち止まって答えてくれる。


「はい。実力がわからないとランクを決定できませんから。」


「そうですかわかりました。なるべく強い人でお願いします。」


「強い方がいいなんてルシードさんは変わってますね。」と言って今度こそドアを開けて入っていく。


ついていくとそこは訓練所みたいなところだった。


しばらくまっているとライラさんとムキムキの男がやってきた。


「待たせたな、俺が担当官のエグスだ。これでもBランクだ。強いのがいいらしいが俺以上は出払ってるんでな我慢してくれ。」


「ルシードです。よろしくお願いします。」


「よろしくルシード。では早速始めよう。」といって剣を構える。


「ではわたしが合図しますね。」というライラさんの言葉を聞きながらティピに呼びかける。


『私の見立てでは3000ってとこかしら。むこうがオーラを使っても武器なしオーラなしで手加減しないとおじさん死んじゃうと思うわよ。考える時間もいるでしょうから思考加速をつけておいたわ。』


というアドバイスをもらってどう戦うか頭の中でシミュレーションしてみる、今は全身金属の塊を付けているのを加味すると、パターン1、剣をよけて殴る顔面複雑骨折、パターン2、剣をよけて蹴る内臓破裂、パターン3攻撃される前に回り込んで押して転ばす、これしかないかも。


と考え終わったらライラさんが手を下ろすと同時に回り込んでエグスを押して転ばせる。


一瞬の出来事に二人ともポカンとしている。


「俺の勝ちでいいですか?」


「「はい。」」


こうして無事にテストも終わり、初登録で最高のCランクのカードをもらった。


「依頼は一つ上のランクまで受けられます。ルシードさんなら大丈夫と思いますがランクが上がると内容も一気に難しくなりますのでお気を付けください。」


「ありがとう。ところで素材の買取をお願いしたいのですがいいですか?」


「はい。なんでしょう。」


「オークなんですけど。」


「オークですか。ちょっとここではあれですのでついてきてもらえますか?」


そういって訓練所とは別の方向に歩いていくのでついていくと倉庫のようなところだった。


「ここなら大丈夫ですから出してもらえますか。」と言われたのでライガーの狩ったオークを10匹くらい出した。


「こんなにもいいんですか?」


「お願いしたいのはこちらなんですが何か問題ありました?」


「いえいえではすぐに査定させていただきますね。」と笑顔で言うとすぐに検分を始めた。


「全部で金貨60枚でどうでしょうか?」


「そんなにもらえるんですか?」


「大きさは格別ですし状態もいいので査定もプラスでつけさせていただきました。」


「じゃあよろしくお願いします。」


「お金をとってきますので少々お待ちくださいね。」と言ってライラさんが出て行ってすぐにエルフの男性が走って入ってきた。


そしてオークをみるとすぐに解体に取り掛かった。


その後ライラさんが戻って来て用紙にサインして金貨を受け取りついでにオークが高い理由を聞いてみた。


ここしばらく肉が角うさぎくらいしか出回っていないのが理由らしい。


ボアなんかの肉も倒した冒険者たちが食べてしまうか、独自の取引先に持って行ってしまうので市場になかなか出回らない。


ギルドにも肉を買いたいという依頼が多いがランクの低い冒険者では角うさぎが精一杯でここ最近はボアすらも来ない状況なので肉が高騰しているようだ。


にこにこ顔のライラさんに見送られてギルドを後にする。


ギルドから出ると『ちょっと狩りに行きましょう』とティピに言われて王都エルウッドから出て少し行ったところにある密林に向かう。


入るとすぐにゴブリンに出くわした。


『試しに倒してみなさい。』ってティピに言われて棍棒で殴ると見るも無残なモザイクなしでは直視できないものになってしまった。


「えっ、なんで!」


『ミナト、これが普通のゴブリンよ。そして当然他のモンスターも弱いのよ。手加減を覚えないと買取不可なものが量産されてしまうわ。』


「・・・・・・。」


今日はこの林でゴブリン相手に手加減を覚えよう。


かれこれ2時間ほどでスキル手加減を習得したがゴブリンの死体は無残な姿になってそこら中にある。


その間に出くわした角うさぎも原形をとどめていない。今や林の中は直視できない光景が広がっていて現実逃避して逃げ出した。


その後は一旦転移で自室に戻りガチャガチャを回して気分転換したのだった。



次の日、朝からギルドに行くとライラさんが近づいてきた。


「ルシードさん昨日はありがとうございました。売ってくださったオーク肉が昨日の夕方からギルド直営店で売り出しているんですけど大好評で今も行列ができてるんですよ。」


「それは良かったです。」


「今日はどうされましたか?」


「何か依頼を受けようかと思ったんですけど人が殺到しているので待っているんです。」


「そうでしたか。皆さんいい仕事を取ろうと必死ですからね。」


「ライラさんは受付しなくていいんですか?」


「わたしは買取と登録だけですから今は手空きなんです。」


「じゃあ手持ちの素材を見てもらってもいいですか?」


「大丈夫ですよ。ではこちらへどうぞ。」


そして昨日も来た倉庫にやってきた。


そこでホブゴブリン3体を取り出してみる。


「ホブゴブリンですか。かなり大きな個体ですね。ゴブリンは使い道がないのですがホブゴブリンの皮は防具素材になるので買取できますね。金額は1体につき銀貨2枚でどうですか?」


「いいですよ。」


「じゃあお金をとってきますね。」


と言って出ていくライラさんと入れ替わりに入ってくるエルフの男性。


解体をしている彼はホブゴブリンを一瞥した後奥の部屋へと入っていった。


ライラさんが戻ってきたので聞くとまだ奥ではオークの解体中のようだ。


まあ素材を持ち込むのは俺だけじゃないから大変なのだろう。


銀貨6枚を受け取ってギルドに戻ると依頼表の周辺は閑散としていたので見に行ってみる。


暇なので話し相手になってほしい、肩をもんでほしい、など大した依頼は残ってないようだ。


その中で一つ気になったのが苦いポーションが欲しいという依頼があったのでそれを受付に持っていく。


「こちらはギルドマスターの依頼になりますね。ちょっと確認してまいりますね。」


そういって奥の部屋へと入っていく受付嬢が入っていき少ししたら出てきて二階の部屋に案内された。


座って待ってるといかついおっさんが入ってきた。


「俺がギルドマスターのブルーノだ。よろしく。俺の依頼の苦いポーションを持ってきてくれたんだって。」


もんすごいいかつい目で睨むかのようにみられている。


フルフェイスの兜をしていなかったら目をそらしてしまうほどの威圧感だ。


「ルシードです。商品はこちらになります。」そういって失敗作のポーションを渡す。


「普通のポーションよりも苦いのがいいんだが大丈夫か?」と念押しされるので


「よければ味見してみてください。」というとポーションの蓋をあけて飲み干すと部屋から出て行った。


戻ってきたら「疑ってすまなかった。これは格別に不味い。これを幾つか用意できるのか。」


「できますが何に使うんですか?」


「最近調子に乗ってる新人が増えてきてな。依頼主からもクレームが発生してるんで、バツとして無償奉仕させているんだがそれくらいでは反省しないからなこいつを飲まそうと思う。もちろん水は無しだ。」


「・・・・・・。マスターも大変ですね。」


「それでいくつくらいあるんだ。」


「100本くらいならありますよ。」


どれだけ失敗してるんだよって自分でも突っ込みたくなる数である、しかもまだ全部でもない。


「全部もらおう。値段はどうする?」


「普通のポーションの半分の値でいいですよ。自分の失敗作ですから。でも効果は普通ですから。」


全部タダでもいいくらいだが買ってくれるなら売っておこうと思う。


「それは助かる。では受付に用意させるから受け取ってくれ。俺はまだ仕事があるんでな失礼する。」


そういってマスターと別れて受付で大銅貨1枚を受け取り、苦いポーション100本を納品する。


後日ギルドでは度々悶絶している冒険者が見受けられるようになったというのは別の話。




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